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【激痛茶館】  作者: 石田ヨネ
第四章 茶室への招き

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38/71

38 少しお堅くもハードボイルドに



          ******



 場面は、変わって――

 こんどは、すこし“お堅く”もハードボイルドに、ソウル市内の警察署にて。


「マーさん、すまない。大至急、協力してほしいことがある」


 と、いつもとは違った様子で、カン・ロウンが、刑事のマー・ドンゴンたちに頼んだ。

「な、何だ? 大至急とは、いったい?」

「どうしたんです? 急に」

 と、聞き返すマー・ドンゴンとチャク・シウに、

「私たちのメンバーの、パク・ソユンがな、恐らく、【茶会】に拉致された」

「な、何だって――!?」

「な、何ですと!?」

 と、重い様子で答えたカン・ロウンに、ふたりはほぼ同時に驚きの声をあげた。

 そこへ、カン・ロウンと同行していたキム・テヤンが、

「俺も、さっき、ちょっと調べてみたんだけどな……、恐らく、ソユンのヤツは【何者かに指示されて】動いている」

「ちょっと調べたって、どうせ、妙な調べ方したんだろ? キム」

「まあ、そこは多めに見てくれよ」

 と、顔をしかめるマー・ドンゴンに、キム・テヤンが言う。

「まったく……」

 マー・ドンゴンは呆れつつも、続きを聞いてやる。

「とりあえず、だ……、すまんが、俺の力だけでは、どこまで追跡できるか分からんでな……、アンタたちの協力で、監視カメラ網の情報から、ソユンを拉致したと思しきヤツを追えないか?」

「まあ、分かったよ。……ただ、あんまり俺たちをあてにしすぎるなよ」

 と、マー・ドンゴンが答えているところ、


「マー部長!! 例の【茶会】に関して――、その、パク・ソユンに関して新しい情報が入りました!! パク・ソユンの、仕事仲間のふたりも、失踪したとの情報が、」


 と、慌てた様子でやって来た捜査班たちの、女性刑事が報告してきた。

「何だと!?」

「「「――!?」」」

 と、マー・ドンゴンの声とともに、カン・ロウンやチャク・シウたちにも衝撃が走る。

「何だ!? 【茶会】に招待されたってのは、パク・ソユンだけじゃねぇのか!?」

「いや、たぶん……、その仕事仲間のふたりは、何か【別の理由】で拉致されたのではないか? マーさん?」

 と、声を大きくして疑問を口にするマー・ドンゴンに、カン・ロウンが答える。

「別の理由……、だと?」

 怪訝な顔をするマー・ドンゴンと、

「もしかして……、【人質】、とかですか?」

 と、チャク・シウが、横から何気なく言ったところと、

「ああ……、恐らくだ」

 と、カン・ロウンが、また少々重い様子で答えた。

「【人質】……、だと?」

 と、顔をしかめたままのマー・ドンゴンに、キム・テヤンが、

「まあ、そうすると、話が合うかもな。ソユンのヤツは、部屋にスマホを置いて――、まるで、俺たちからも逃げるようにして、姿を隠しているわけだが、」

「ああ? 単に、お前たちのことが嫌になっただけなんじゃねぇか?」

「けっ、うるせぇな……。まあ、前の夜に、ヨンファのヤツが余計なこと言いやがって、機嫌悪くさせちまったのは確かだけどよ」

 と、キム・テヤンは、茶化してくるマー・ドンゴンに反応しつつ、

「まあ、それは置いておき……、ソユンのヤツも、調査を進めるうえでは、万が一、【何か】があったとしてもだ……、少なくとも、俺たちが追跡できるようにしておくはずだ。今回だと、最悪、【茶会の主催者】ってヤツに自分が拉致された場合でも……、それを逆手にとって、自分を【囮】にして、追跡調査できるようにするはずだろう」

 と、パク・ソユンのことを信頼した様子で、そう説明した。


「ふ、む……」

「……」

 と、マー・ドンゴンとチャク・シウは、続きを聞く。

「だた、今回は、な……? まるで、俺たちの追跡がいっさいできないように、姿をくらまそうとしているようにも見えるのだ」

「……」

 と、無言で耳を傾けるマー・ドンゴンに、

「まあ、確証はできないのが、もし、アイツの仕事仲間が、人質に取られていたとすれば、だ――、恐らくは、【こんな風に】脅されているんじゃないか? 例えば、もし【妙な動き】を――、発信機とかを仕込むなどして、俺たち、SPY探偵団が追尾できるようにしたりすれば、だ――」

「まさ、か……、」

「……!」、

 と、ふたりは次の言葉を待ちながらも、予想できる内容に戦慄しつつ、


「――人質にも、その、ギンピギンピで苦痛を与えると」



 と、間を置いて言ったキム・テヤンの言葉に、場に沈黙が漂った。

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