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【激痛茶館】  作者: 石田ヨネ
第三章 事態は動くか

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22/71

22 ちょっと、【月並みな動機】

 まあ、この神経伝達というか脳内物質の名前は、世の多くの人は、おおよそどこかで、聞いたことがあるだろう。

 頻繁でないにしろ、日常的にも、耳にしないことはなくもない言葉である。

 続けて、ドン・ヨンファが聞く。

「何だい? すると、“痛みに耐性がありそうな人”っていうのを、“客人”として“招待”している――、“ターゲット”として“拉致”している、ってことかな?」

「おっと……? “そいつ”の確信を、僕に求めないでくれよ。まあ、あくまで、そんな仮説ができるんじゃないか――? 程度の話だよ」

 ノア・ネルソンは、「そんな、迫るように聞かないでくれ」とのポーズをしつつも、そう答える。


 それで、仮説ということを踏まえ、ドン・ヨンファが、

「――で? そうすると、さ? この“茶会”の“主催者”は――、犯人ってのは、さ? “痛みに耐性のある人間”を、拉致しているのだとすると……、何て、言ったらいいのかな? その……、客人が痛みに悶える姿などを、鑑賞しているんだろうとは思うけど……、その……、対象が、普通の人じゃ満足しない、ってことなのかな?」

 と、たどたどしくも想像しながら、言葉にしてみた。

 こういうとき、もし、猟奇モノ愛好家のパク・ソユンであれば、“具体的なグロい内容”というのを、サラッと思い浮かぶのだろう。

 そのように、考えていると、

「まあ、そういうこと、なんじゃないか? しかし、“痛みに悶える姿を鑑賞”する――、とは、ね? ちょっと、【月並みな動機】な、気がするね」

 などと、ノア・ネルソンが言った。

「月並み、だって……?」

 ドン・ヨンファはキョトンとしながらも、まあ、そんな気もしなくもない、と思った。

 まるで、“あまり深く作りこまれていない猟奇モノ作品の犯人の動機”のように、聞こえなくもない。


 また、そこへ、

「その……、何か、無いのかい? せっかく、君たちの――、君のソユンにら招待状が届いたんだからさ」

「き、君のって――!? べ、別に、僕らはそんな関係じゃ……!!」

 と、イタズラっぽく言ったノア・ネルソンに、ドン・ヨンファが赤くなって反応する。

 まあ、ベタな反応であるが……

 別に、仲が良くも悪くもないのだが……、ただ、もし、パク・ソユン本人がこの場にいたら、ジトッ……とした目で「は? 何、言っている?」などと言って、自分たちふたりを殴っているところだろうか――?

 また、ノア・ネルソンが言う。

「まあ、それは、良いとして……、その、招待状か何かってのを、見せてごらんよ」

「あ、ああ……、分かったよ」

 ドン・ヨンファは、しぶしぶとノートパソコンを開き、招待状の画像を表示させる。

 そのまま、ふたりは一緒に見てみる。

「ほうほう……、『断るという選択肢は、貴殿には一切ございませんこと、どうぞ御了承くださいませ』だって……、ずいぶんと、厳しいこと言う主催者様だねぇ」

 ノア・ネルソンが、感心した様子で目を通す。

「厳しいというよりも、身勝手だよな」

 と、ドン・ヨンファが答える。

 それをよそに、

「心躍る春の陽気と……、【痛覚の饗宴】、ねぇ……」

 と、ノア・ネルソンは、ナニカが気に留まったように、最後の締めの文を口にしていた。

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