14 某二桁億再生されたプロモの踊るオッサン
(3)
場面は、再びソウル市内にもどる。
肝心の、SPY探偵団のリーダー、“スタイル”ことカン・ロウンのこと。
一見すると、某二桁億再生されたプロモの踊るオッサンのごとく、自由人のように謎めいてみえる男。
そんな、カン・ロウンだが、
――タッ、タッ、タッタカ――♪ タッ、タッ、タッタカ――♪
と、先日の屋台の時のように、コミカルなステップを刻んでいたのは警察署の中であった。
それだけでなく、まるで、シュールなプロモーションビデオのごとく――
署員や刑事たちもカン・ロウンのもとへ集まり、大勢で踊り出すという。
なお、その昔、マイケル・ジャクソンが登場するアクション・ゲームがあり、その必殺技として『MJのダンスに画面上の敵を巻込み、一緒にダンスしたあと、敵キャラが斜めに倒れて全滅する』というのがあるが……
まあ、それはさておき、中には、軽快にリズムに乗りながら、いちおうは機密性のある捜査資料を持ってくる者――
また、ある者は、捜査情報の詰まったノートパソコンを頭上で、豪快に振り回すという有り様だった。
そんなふうに、カオスさの増す警察署であったが、
――パチンッ……!!
と、カン・ロウンが指を鳴らすとともに、
――フッ……
と、催眠が解けるがごとく――
踊っていた署員や刑事らが、ピタッと動きを止めた。
そんな、誰もが、ハッ――と、我に返るような中、
「――おいおい!! また、こんどは何をしに来たんだ!! ロウン!!」
との声がして、ガタイのでっかい、無精ひげを伸ばした体育教師のような刑事、マー・ドンゴンが現れ、
「……そうですよ、まったく。しっちゃかめっちゃかにして。何で、踊る必要あるんですか?」
と続いて、彼とは対照的に、韓流スターのような美形のイケメン刑事、チャク・シウが現れた。
なお、このふたりは、カン・ロウンとは顔なじみという。
「――で? 今度はまた、何に首を突っ込もうとしてんだ? “探偵団”さんよ?」
マー・ドンゴンが強調しつつ、聞いた。
「ああ、マーさん。ちょっと、例の、“茶会の招待状”の件について調べたいことがあるんだ」
「おいおい? いま、俺の部署でも調べている事件じゃねぇか」
「はぁ……、何ですか? 貴方たちも、調べているんですか?」
「だから、そうだ、と言ったじゃないか」
顔をしかめるマー・ドンゴンと、愛想のなく表情の変わらないチャク・シウのふたりに、カン・ロウンは答える。
「――で、調べたいのはいいが、まず、お前たちはどんな調査をしているかを聞かせろ。ロウン」
「そうですよ、どうして、我々が一方的に、貴方たちに情報を教える必要があるんですか?」
「分かりましたよ」




