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聖女召喚に巻き込まれなかったモブ夫はダンジョン無双で迎えに行きます!  作者: 如月いさみ


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聖女召喚に……巻き込まれなかった? 5

 更に悪いことに真司は

「あのさ、高科警部の事なんだけどな。いま半狂乱でお前に会おうとしていてな」

 と告げた。

「神崎さんがまだ事故で眠っているから状況を見てからって止めてくれたんだ」


 玖路はそれに淡く笑みを浮かべると

「神崎さんには礼を言わないとだな」

 と答えた。


 高科警部とは高科千穂美の兄、高科千歳のことだ。現役警部で玖路と真司の遥か上になる。文京中央署の刑事だ。


 彼が妹の高科千穂美をどれだけ大切にしているかも知っている。

 自分との結婚を一番強固に大反対したのも高科千歳だった。

 天涯孤独の上に高校出のノンキャリア警察官だ。


 彼女の実家は父親が代議士で兄がキャリアの警察官。

 正に身分違いだったのだ。


 玖路は拳を握りしめて

「千穂は、生きてる。千玖だって無事に決まってる」

 と呟いた。


 そして、真司を見ると

「浅草、俺はやっぱり千穂と千玖の行方を探そうと思う」

 と告げた。


 とどのつまりは、警察を辞めて探そうと考えているという事だ。


 大切な女性だ。そして、自分とその女性との愛の結晶だ。

 消えたからと言って忘れて生きるなんて出来るわけがない。


 真司は玖路を見て

「そうか」

 と言い

「気持ちはわかる。だがな、選ばれなかったモブな俺たちは異世界なんて触れることもできずに生きていくしかない」

 と告げた。


 冷たいようだが、それが現実だ。

「ラノベや小説は何時も召喚された側しか書いてないからな。召喚されなかった人間は小説なら『いなくなって嘆き悲しんだ』程度の一行で終わるんだよな」


 真司はそんなことを考えて力ない苦い笑いを零すと息を吐き出し

「神木、あのさ。お前さ、生活どうするんだ? 働かなきゃ金は入らないぞ? 食っていけないってことだ」

 と告げた。


 玖路は顔を顰めた。

 言っていることが正論だからだ。


 真司は玖路の肩を軽く叩き

「取り合えず、仕事は辞めるな。他にも二人消えたって言っているし、死者も出ているから警察も大々的に動くから状況を把握して動け。俺も手伝う」

 と告げた。

「相方だからな」


 玖路は目を見開くと笑みをうかべた。


 その瞬間であった。

 病室の戸が激しく開くと高科千歳が姿を見せた。


「神木、気が付いたようだな」


 後ろには神崎洋三が立っており真司に表情で『すまん』と告げた。止められなかったという事だ。


 玖路は千歳を見ると

「千穂美さんは消えたけれど生きてます。俺が必ず見つけます」

 と告げた。

「絶対に!」


 千歳はそれに

「……やはり、そうか。軽症者の話は本当だったようだな」

 と言い

「だが、お前ごときに何かできる力がある訳じゃないだろ。黙って仕事をしていればいい」

 と踵を返して背を向けた。

「事故現場に幻影のように巨大な門が浮かんでいたが……それが先ほど実体化した。同じような現象が大阪や宮崎、他の地域にも現れて中から動物の鳴き声のようなモノが響いて自衛隊と警察が警戒に当たっている」


 真司も目を見開いて

「マジか」

 と思わず呟いた。


 千歳は足を踏み出し

「日本自体が変わる。千穂美は俺が救う。お前は身を守ってろ」

 というと立ち去った。


 千歳の言う通り……いや、日本だけでなく世界が大きく変わることになったのだ。


 世界各地にダンジョンが姿を見せ、そこから異形の生物が現れたのである。


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