番外編 バレンタインデー②
今日はつづりんと久しぶりのコラボ配信をした。気づけばつづりんはいつも視聴者さんに弄られている。
それを見ているのはとっても楽しい。なにより、つづりんの反応が一々可愛いんだよねー!
「ふんふふん♪」
あれから数日経ったある日の夜、配信終わりに寮へと帰り、夕飯を作っていた。今日はカレーだ。
「あれ?何か忘れている気がする……?」
ふとそんな風に思い思案する。
なんだろう?何を忘れているんだろう?
「あ!!!」
やがて思い出した。明日はそう、バレンタインの日だった!
この間のつづりんとのコラボ配信で、散々バレンタインの話をしていたのに忘れるなんて。うっかりしてた。
忙しさのあまり気を取られて何も用意していなかったのだ。
どうしよう。今からスーパー間に合うかな?
時刻は夜の8時を回るところだった。
カレー作りは一旦置いといて、わたしは着替えを済ませて寮を飛び出す。
寮の門限は、一応9時だ。それまでに帰ってくればセーフだろう。
わたしはスーパーまで走った。
幸いなことに、スーパーまでそんなに距離は無い。あっという間にたどり着いたスーパーは、まだ営業していた。
「よかったぁ」
息を切らしながら、中へとはいる。
何を作るかなんて考えて居なかった。そもそもこの時期だ。材料すらあるかどうか分からない。
「ん?みこ?ここで何してるんだ?」
振り向くとそこに立っていたのは、黒のジャージ姿のチャラい男、牛王蓮だった。
「蓮くん、来てたんだね」
「夕飯探しに来たんだよ。それより、こんな夜更けに可愛い女の子が外、出歩いてるのは危ないぞ」
最初彼に出会った時は、心無いことを言われて酷く悲しんだ。けど本当は、とても優しい子だってことを私はもう知っている。
「ほんとに優しいね蓮くん」
「あぁそうだよ。俺は優しいんだ」
なんだか誇ったように、言い出す蓮くんが面白い。
「ふふ」
「何笑ってるんだよ」
「なんでもないよー」
「なんなんだよ……」
そうだ。そんなことより早く材料見つけなきゃ。時間がない。
「わたし、バレンタインの材料を探しに来たの」
「はぁ?バレンタインって……明日じゃん。間に合わなくね?てか、そもそもあるのかよ」
全てごもっともな話だ。
バイト続きで時間がなかったとは言え、そんなのは言い訳に過ぎない。
「やっぱりそうだよね……どうしよう……」
「今日は諦めて、ホワイトデーに作れば?じゃ、夕飯探してくるんで。気をつけて帰れよ」
そう言って蓮くんは立ち去っていった。
その後も材料を探していたけれど、どれも品切れだった。
前日のこの時間だもの。そりゃそうだよね。
仕方ない今回は諦めよう。
わたしは寮へ戻るため、スーパーを後にすることにした。
自動ドアが開閉し、わたしが外へ出ると柱の影になにやら見覚えのある人影が見えた。
「こんなところで何してるの?」
近づき声をかけると、その主は驚いていた。
「うわ!なんだみこか……後ろから声かけるなよ驚くだろ」
先程、わたしに後ろから声をかけてきたのは誰だったっけ?
「ごめんごめん」
「はい、これ」
差し出されたのは、一つのビニール袋だった。
受け取り中身を確認する。
「え、どこにあったの!?」
中にはチョコを作るのに必要な材料が入っていた。
「さぁな。夕飯と間違って買ったんだ。やるよ」
蓮くんはそう言って立ち去ろうとする。
「あ、待って!お金……」
「いらねぇよ。代わりに俺にも作ってくれよな」
そう言ってどこかへ消えてしまった。
なんとも蓮くんらしいやり方だった。
そうだね。せっかくだから蓮くんにも作ってあげよう。
わたしは一人で微笑み、寮へと帰っていった。
読んでくださりありがとうございます!
蓮くんの優しさを表現するのが楽しかったです⸜(*˙꒳˙*)⸝
では次回もお楽しみに!




