↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
摘めない芽  作者: ノカミ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
14/15

14 帰り道[表]


 ファミレスを出ると、すっかり日が落ちて秋の冷たい風が通り抜けた。


 打ち上げの余韻を残したまま駅に向かう途中、途中で方向が違うやつらが一人、また一人と抜けていき、気づけば俺と水瀬の二人だけになっていた。


 「う〜、ちょっと寒くなってきたね」


 隣を歩く水瀬が、制服の袖を少し引っ張って肩をすぼめる。


 (上着……貸すか?)


 一瞬頭をよぎったが、自分のブレザーを脱いで渡すなんてキザすぎて無理だ。


 結局言い出せないまま、俺は歩幅を少し緩めて水瀬の隣に並び直した。

そのタイミングで、歩道の内側に入り込むようにしてそっと車道側へと移動する。


 「あ、ありがとう。一ノ瀬くんって、さりげなく車道側歩いてくれるよね」


 水瀬がこちらを見上げて、無邪気にへへっと笑った。


 (気づいてたのかよ……)


 見透かされたのが恥ずかしくて、俺は慌てて顔を反対側に向けた。

  

 「……別に。たまたまだろ」


 「ふふ、そういうことにしとくね」


 水瀬は特に深追いすることもなく、楽しそうに歩道橋の階段を上っていく。


 本人は本当に何気なく言っただけなのだろうが、こっちは一言ひとことに心臓を揺さぶられている。


 自分の上着のポケットに両手を突っ込み、少し先を行く水瀬の背中を追いかける。


 当の本人は、今日が楽しかったことや文化祭の感想を無邪気に話し続けている。

 

 自分がどれだけ俺の調子を狂わせているか、これっぽっちも分かっていない顔で。


 「……はぁ」


 小さく吐き出した吐息は白い息となり、胸の中に渦巻くモヤと混ざり合って、一瞬だけ視界が白くなった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。