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【完結済】お肌ボロボロのピクルス国令嬢は、お肌ツルツルのタクアン国市民に恋をする  作者: 眠れぬ夜の小鳥


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6ピクルス.鏡は真実を語る

「そういや、話が盛り上がってお茶の1つも出さなくてすまない。待っててくれ」

「その暇がなかったでしょうから、お気になさらず」


ヒジカタは、すぐさまお茶とせんべいを持ってきた。


「緑のお茶なのね。美味しいわ」

「固いせんべいはいいですね。お嬢様はハンバーガーより固い食べ物は口にしませんので、歯が弱いかと」

「少しずつ食べればいいんでしょ」

「小さく割って食べるといい」

「これなら大丈夫よ。癖になる塩加減ね」

「気に入ってくれてよかった」

「向こうの国では刺身は食べるのか?」

「焼き魚や揚げ物が主流です」

「なら、晩飯は新鮮な刺し身を食わせてやろう。せんべいをたくさん食べたから、今は腹いっぱいだろ?」

「ええ、美味しくて手が止まらなかったわ。ごちそうさま」

「思い出したが、マリエッタは鏡で自分の姿を見たいと言ったな。案内しよう」

「忘れてたわ」


ヒジカタの寝室に全身鏡があった。あたしは恐る恐るそこへ立った。


「これはあたしではないわ!こんなに細くないし、ニキビが減ってる」

「紛れもなく今のお嬢様です。過酷な旅とハンバーガーを控えたおかげです」

「よかったな。毎日魚を食べれば、更に改善するぞ」


そう言って頭をなでるヒジカタの手にどきりとした。

鏡越しに彼を見ると、肌は日焼けしながらも、ニキビ1つなくツルツルしていて、結構イケてる事に今更ながら気付いた。


「どうした?」

「な、なんでもないわ」

「どうやら『白馬の王子様』は現実にいたようです」


サラサがぼそっとつぶやく。あたしにはよく聞こえなかったが、何かが変わる気がした。


その後も家の案内は続いた。母屋だけでなく離れまで全てを周った後、家族はいないのかと聞いたら、『俺は1人で住んでるからいくらでもいていい』と言われた。


あたし達は改めてお礼を言った。せめてものとサラサが晩飯の手伝いをする事になった。

ちなみにあたしは、筆で字の練習をしていた。細筆ならペンに近いからと、サラサに言われて筆記体を書くけど、やっぱり太くて字が潰れてしまう。慣れるまでの辛抱だからと必死に練習していたら、手に豆ができていた。痛みはあったけど、ペンではここまで練習した事がなかったからなんだか嬉しかった。


「刺身の盛り合わせとあら汁ができたから食べてくれ」

「ありがとう。片付けるわね」

「お嬢様、大分上手くなりましたが、力の入れ過ぎです。豆がたくさんできては痛いでしょう」

「頑張った証よ!」

「俺が食べさせてやろうか?」

「お嬢様にはまだ早いです。私が食べさせますので、ご安心を(圧)」

「警戒されてるな…」


一悶着ありつつも食事をする。生の魚は初めて食べたが、臭みがなく程よく溶ける。あら汁もピクルス国のスープとは違い、味わい深かった。


「お粗末さまでした」

「私達で片付けますので、お嬢様は休んでくださいね。豆が潰れては余計に痛いので」

「分かったわ。何もできないのも、もどかしいわね…」

「風呂に入ってから手当てした方がよさそうだ。沸かしてこよう」

「お願いします」


皿洗いの音と風呂の火を起こす音が響く中で、あたしはうとうとしていた。


「お嬢様、起きてください。じきにお風呂も沸きますから眠られては困ります」

「ふぁい…わ、分かったわよ」


いつの間にか皿洗いを終えていたサラサに、ゆすり起こされる。手だけでなく首まで負傷しそうだ。


「眠気は覚めましたか?」

「強くゆすられたらさすがに起きるわ。首がもげそうだったもの」

「もげなくてなによりです。力加減は心得ております」

「そういう問題じゃないわ」


そんな会話をしていると、ヒジカタが戻ってきた。


「お~い、風呂が沸いたぞ!熱いかもしれないから、水がめから水を入れて調節してくれ。それと、来客用の寝間着を用意したからそれに着替えろ」

「ありがとう。助かるわ」

「私がお嬢様を湯に入れますので、ヒジカタさんは休んでくださいね(圧)」

「サラサは怖いな。食事の時点で諦めてるさ」

「分かればいいんです。私がいながら、大事なお嬢様に傷をつけるわけにはいきませんので」

「あたし、すでにケガしてるわよ」

「手の傷は、努力の証ですから違います。男につけられた心の傷は一生残りますので」

「よく分からないわ」

「トラウマにならないよう、私が守りますので今は分からずとも大丈夫です」

「湯が冷めるから入ってくれ。沸かし直すのも大変なんだぞ!」

「お嬢様、行きますよ」

「ええ」


あたし達は、ようやく風呂場へ向かった。金属製らしき風呂釜のの中に湯が張ってあった。


「これは、五右衛門風呂と言います。温度を確認するので少々お待ちください」

「分かったわ」

「む?磯の香りがしますね。沿岸部では、海水を使っているようです」

「普通は違うの?」

「大抵は真水を沸かします。居住地に海があるとは限りませんし、塩水ではかびますから」

「海がある地域の人は便利ね」

「水は貴重ですから節約はできます。ただ、入浴後に真水で洗い流す必要があります。体に塩分が残るとベタベタしますし、風呂釜の手入れも大変です」

「良し悪しがあるのね」

「そうです。手を入れた所、温度が高いので足し水をいたします…これくらいでよいでしょう」


入浴準備が整ったので、早速入ろうとしたら手を引かれた。


「段差がありますので気をつけてお入りください。それと、踏み板があるのでその上に立ってください。やけど防止の為です」

「ありがとう、転ぶ所だったわ」

「初めてでは、勝手が分からなくて当然です」

「…ちょうどいい温度ね。シャワーを浴びるのとは違うわ」

「そうですね。シャワーと比べ、疲れや匂いが取れやすいのが特徴です」


入浴を先に終えたあたしは居間に戻った。船の火災で海に飛び込んだ体がスッキリした。


「ずいぶん時間がかかったな」

「慣れてないからよ。今はサラサが入っているわ」

「そうか。潮湯はどうだった?」

「あの湯船は『シオユ』と言うのね。手の豆にはしみたし、お湯も深くて少し飲んでしまってしょっぱかったわ。でも、体がまだ温かいわ」

「塩の保温効果のおかげだな。冬でも冷めにくい」


サラサがようやく戻ってきた。疲れ切っていた顔色が心なしか良くなっている気がする。


「海水風呂は初めてでしたが、人の家で入るならありです」

「これからは手伝ってもらおう。居候なのだから」

「もちろん、ここにいさせていただく限りは仕事として請け負います」

「寝間着のサイズは大丈夫か?」

「丈を詰めたのでおそらくは大丈夫かと」

「確かに、マリエッタはパンパンだな。太って見える」

「失礼ね。小さいから仕方ないじゃない」


汚れた自前の服でなければもう、なんでも良かった。海で死にかけた時より快適なのだから…。


7ピクルスへ続く…

読んでいただきありがとうございます!


小話⑥私は自分の容姿に自信が持てないタイプです。アトピー肌で化粧はおろか、服も着れない素材があります。少しでも前向きになる為に何かいい方法を知ってる方がおりましたら、ぜひ教えてください。

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