4ピクルス.過酷な旅の終わりと新たな始まり
どれぐらい経っただろうか。ふと気付くと、さっきまでの荒れた天気が嘘のように晴れ渡った。
霞む視界の中で船が近付いてきた。
「お嬢様、神は私達を見捨ててはいません。船が来たようです!」
「…」
寒さであたしは上手く話す事ができず、かすかに頷いた。
「お~い!この船に乗ってくれ。何人いる?」
「お客様が多数おりますので、そちらから優先していただけますか?」
「了解!全員は乗せられないから、救助部隊に連絡した。後の人はもう少し待ってくれ」
「ありがとうございます!そこの女性2人から乗せてください」
あたし達は、近くを通りかかった漁船に助けられた。他の宿泊客も数人乗せ、その場を後にした…。
「よく頑張ったな。低体温症だから、これをかけて暖まってくれ。白湯もあるから少しずつ飲んで欲しい」
「助けていただきありがとうございます。このご恩は忘れません」
ブランケットのようなものにくるまって、温かい白湯を飲んでいると少しずつ体の感覚が戻ってきた。
「ありがとう。体が温まったわ。ところで、あなたの名前は?」
「俺は漁師の土方だ。そこにあるタクアン国という島国に住んでいる」
「ヒジカタね!あたしの名前はマリエッタ・ローズベルトで、彼女は侍女のサラサ。ピクルス国から来たの」
「旅行中の災難だったわけか。大変だったな」
「他の人も無事かしら」
「俺達が助けられなかった人達は、救助部隊に救われたはずだ。連絡を入れたからな」
「他の宿泊客の方々も無事でなによりです」
船は、ゆっくり港へと進む。さっきまではぼんやりとしか見えていなかった島が、輪郭を現してくる。
「荷物は沈んじまったみたいだが、行くあてはあるのか?」
「ポケットにチップが少々あるのみですから、あてなどありません」
「歩けそうなら俺の家に来るか?古い家だから、客間はある」
「お嬢様だけでもお願いできますか?私は野宿でも構いませんので」
「5人くらいは泊まれるから大丈夫。女1人で野宿される方が不安だ」
「サラサがいないと、あたしは何もできないのよ」
「分かりました。ヒジカタ様、僭越ながら一緒にお邪魔させていただきます」
「俺はボンボンじゃないから、『様』なんかいらねえよ」
「かしこまりました。では、ヒジカタ『さん』でよろしいでしょうか?」
「侍女の限界はそこだよな。いいぜ」
「あたしは基本、誰でも呼び捨てするわ」
「お嬢様の事は聞いておりませんが。しゃしゃり出る必要はありませんよ」
「おいおい、本当に侍女か?普通は、主人に対してそんな口聞けないよな」
「あたしが生まれた時からの専属だから、遠慮がないのよ。親が注意する事もないし、むしろ厳しく接するよう言われてるわ」
「お嬢様ってのも大変なんだな…」
こうして、あたし達はヒジカタの家に行く事になった。港はもう、目の前まで来ていた…。
5ピクルスへ続く…
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小話④私は色んな作品を読んで、たくさんの作者さんと交流をしてきました。新しい出会いで日々脳の活性化をしております。




