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【完結済】お肌ボロボロのピクルス国令嬢は、お肌ツルツルのタクアン国市民に恋をする  作者: 眠れぬ夜の小鳥


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3/13

3ピクルス.船で向かうって、どんだけ遠いの?

息を切らしながらもギリギリ辿り着いたあたしは、すでに吐きそうだった。


「やばい、船に乗る前から終わりそう…」

「ちんたら話しながら食べるのが悪いのです。船にさえ乗ればいくらでもしゃべって構いません」

「うっ…」

「海でどうぞ。ここでスッキリさせた方が、迷惑かけませんから」


あたしは宿屋の人に申し訳ないと思いながらも、限界には耐えられなかった。


「…これで大丈夫かしら?」

「お辛かったでしょう。水をどうぞ」

「助かるわ」

「まあ、船に乗れば体質によっては地獄を見ますが」

「不安になって来たわ」

「行きますよ。後には戻れませんから」


こうしてあたし達はようやく船に乗り込んだ。


「2名様ですね…外から見てたけど、乗る前からその様子で大丈夫なの?」

「今は落ち着いたので、多分大丈夫よ」

「あっそう。長旅なので頑張ってね」

「はい…」


船はゆっくりと進んで行く。今日は波が穏やかで助かった。荒れると大変らしい。


「陽の光に反射して輝いてるわ!」

「表面はきれいですが、海の中では弱肉強食の世界です」

「怖い事言わないでよ」

「お嬢様が魚であれば、すぐに食べられていたでしょう。人でよかったですね」

「どうせあたしは雑魚よ」


最初は見慣れぬ景色に感動していたが、同じ様な波の音や景色が永遠に続くので次第に飽きてきた。


「いつまで経っても変わらないわね」

「目的地までは1週間かかります。まだ半日も経ってないですよ」

「そうなの!?ずいぶん過ぎた気がしたけど」

「気晴らしに泳いでみますか?」

「気持ち的には泳いでみたいけど、かなづちなの知ってるでしょ?」

「ええ、存じ上げております。『浮き袋で泳ぐ』なんて言わなくてよかったです。この辺はサメの群れがいますし、体調不良の船員がいたのでどのみち止めましたが」

「あたしは察する事を覚えたのよ。サラサの提案には罠があると」

「そうですか。これからも、ちゃんと脳みそ使ってくださいね」


こんなやり取りでも、不毛な時間を退屈させない為のサラサなりの気遣いだと思えた。


夜は船内で豪華な食事がでた。宿泊客はレストランで食事を取る。営業時間は、明け方から夜の6時までだ。海産物はもちろんの事、特製ハンバーガーなどの海の幸以外も充実していた。ちなみに、いつ行ってもメニューの差はない。


「お嬢様の大好物ですよ!好きなだけ食べてくださいね」

「今は海産物が食べたいわ。ハンバーガーはいつでも食べられるもの」

「確かに船内にいる間はいつでもあります。しかし、目的地にはハンバーガーの文化はありませんので、最後までには召し上がっていただいた方がよろしいかと」

「そうね。海産物に飽きたら、1つくらいは食べようかしら」

「あれほど騒いでいたのが嘘のようですね。頭でも打ちました?」

「海産物の美味しさを知ったのよ。どこにもぶつけてないわ」


メニューを見ながら何を食べるか決める。ソテーからフライまで多種多様な料理が並んでいた。


「ソテーにするわ。ソースも選べるのね」

「どちらも食べたいでしょうから、2種類頼みましょうか?」

「ほんと、エスパーね。隠し事はできないわ」

「優柔不断ゆえに分かるのです。私はエスパーではありません」


しばらくして料理が運ばれてきた。白身魚のソテーには、それぞれ濃厚ソースと辛味のあるソースがかけてあった。それをバゲットと共に食べる。


「ん~、美味しい!いくらでもいけるわね。そっちもちょうだい」

「どうぞ。こちらはお嬢様には少し辛いかと思いますが」

「食べてみるわ…か、辛いわね。ゴホゴホッ」

「水をお飲みになってください」

「ありがとう」


個室に戻り、シャワーを浴びた。船内において真水は貴重な為、普段より使える量には限りがある。


「手早くお願いします。すぐに出なくなるので、石鹸は少量がおすすめです」

「いつものようにはいかないのね」


サラサからの忠告を受けてよかった。流しきれない泡にまみれずに済んだから。


「上手くできたようでなによりです。飲料水を確保できました」

「一応対策はあったんだ」

「とりあえずは考えますが、使いたくはなかったので」

「そりゃそうよね」

「では、早めに寝てください。揺れる船内でろうそくの火は危ないので」

「分かったわ」


こうしてあたしは初めて船で夜を明かした。


それから6日が過ぎ、ようやく島らしき物が見えた。


「サラサ、向こうに何かあるわよ!」

「これこそが目的地です。船旅はもうすぐ終わりです」

「やったわ!」

「海外でも基本的な話し言葉はそのまま伝わるので、勉強の1つすらろくに覚えられないお嬢様でも、安心して会話ができます」

「一言多いのよ」


しかし、突然空が曇りだし、大雨が降ってきた。穏やかだった波も大うなりをあげだした。


「どうやら、海の神様を怒らせてしまったようです」

「あたし、何かした?」

「誰のせいでもありません。海の天気は変わりやすいのです」


ゴロゴロゴロ…ピカッ!


最悪な事に雷が鳴りだし、嵐になった。


「この船はある程度は丈夫ですが、転覆する可能性はあります。気をつけてください!」

「分かったわ!」


ゴロゴロ…ドーン!!


「近くに落ちたようです。安全の為、私が覆いかぶさりますが、命の保証はできません。申し訳ありません」

「そんな…」

「おい、雷が落ちた影響で船が燃えてるぞ!海に飛び込め!!」


あたし達は慌てて海へ飛び込んだ。サラサが手を引いて船から離れてくれた。ふと船を見ると、真っ赤な炎をあげていた…。


「お嬢様、気を確かに!助けは必ず来ます!!」

「いいのよ、サラサ。あなたと旅行ができて楽しかったわ」


(あたしはここで息絶えるのね。あの時、パパとママに別れを告げてよかったわ…)


4ピクルスへ続く…

読んでいただきありがとうございます!


小話③皆さんは目的地に早く向かいたい派ですか?それとも景色を見ながらゆっくり向かいたい派ですか?

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