1ポテトフライ.(番外編)両親への結婚報告
私は船に乗って、馬車に乗り換え、ピクルス国のローズベルト家へ帰還した。
「旦那様・奥様、サラサが帰還致しました」
「マリエッタはどうした?」
「折入って話がありますが、お嬢様は異国のタクアン国にて、ご結婚されました」
「あのマリエッタちゃんが結婚!?」
「ありのままのお嬢様を受け入れてくださる殿方に出会えたのです。この国では叶わなかったでしょう」
「マリエッタは生涯を異国で過ごすのか?直接の挨拶もなしに?」
「2人のペースに任せるつもりです」
「それは許されん。こちらから乗り込んでやるか」
「サラサも案内役として来なさい。マリエッタちゃんの相手を見なくては、気がすまないわ」
「もちろんでございます。誠心誠意、務めさせていただきます」
こうして、当主夫妻を連れて、家を出た。
「サラサ、その荷物はなんだ。ずいぶん少ないじゃないか」
「お嬢様と出国した際、船の火事で命からがら逃げ出し、荷物は海に沈みました」
「お金もなしに、どうやって生活してたの?」
「近くを通りかかった漁船に助けられ、漁師の家で寝泊まりしておりました。私は、あちこちで仕事をしてある程度稼ぎましたが、帰国費用が少々足りず借りたのです」
「マリエッタは、その漁師に見初められて結婚したのか?」
「そうです。ご当主様達とは違い、恋愛結婚ですが」
「ロマンチックじゃない♡ワタクシもそんな経験がしたかったわ」
「政略結婚に不満があるのか。誰の金で贅を尽くしてると思ってるんだ!」
「ごめんなさい…」
「落ち着いてください。馬車引きがいるのですから」
「そうだな…」
ついに船乗場まで来た。馬車での食事は、2人ともひたすらハンバーガーを食べていた。
「飽きずにハンバーガーを食べられましたね。お嬢様は旅の間、1つ半しか食べてませんよ」
「国民食を食べないピクルス人がいるのか?マリエッタは弱くなったもんだ」
「ワタクシ達は、いくらでも食べられますのよ」
船に乗ってからも魚料理には目もくれず、特製ハンバーガーのみを食べていた。ここまで来ると、もはや狂気である。
「船が火事になったと聞いたが、原因はなんだ?」
「天候悪化による落雷です。渡航最終日だった為、タクアン国の船が通りかかったのでしょう」
「無事に渡れる事を祈るしかないわね」
「お嬢様を悲しませない為にも、生きて辿り着きましょう」
最終日まで天候が穏やかだったので、無事にタクアン国の港まで辿り着いた。
「漁師の家はどこだ?似たような作りで分からん」
「案内致しますので、ご安心を」
ようやくヒジカタさんの家へ戻って来れた。当主夫妻同行のはずではなかったが。
戸を叩き、来訪を知らせる。
「どちら様ですか?」
「サラサです。お嬢様のご両親も一緒ですが」
「入ってくれ。マリエッタを呼んで来る」
こうして長旅を終えた私はほっと息をついた。
「どうしてパパとママがいるの?」
「お前達が挨拶に来ないから来てやった。感謝しろ」
「それは失礼しました。サラサさんが無事に戻って来たら、折を見て伺うつもりでした」
「あなた、名前は何と言うのかしら?」
「俺は土方悟と言います。俺の両親は最近、流行病で亡くなりました」
「そうなのね。ワタクシはエリザ・ローズベルトですわ。主人の方はジョージよ」
「この場を借りさせていただきますが、娘さんを俺にください。お願いします!」
「すでに結婚していると聞いたが」
「順番が遅くなり、申し訳ありません」
「マリエッタを幸せにしてくれるならいいじゃない。そうでしょ?」
「必ずや彼女を幸せにします!!」
「あたしからもお願いしたいわ。彼以上の人はいないの!」
「仕方ない。履歴に傷が付いては今後不利になるから許そう。ただし、娘を傷つけたらただではおかんぞ」
「ありがとうございます!!」
「あたし、幸せになるね!」
「帰るか。ハンバーガーのない国には、いつまでもおれん」
「そうね。食べたくなってきたわ」
「では、私は2人を連れて帰路に着きます。お嬢様は私がいなくても大丈夫ですよね?」
「ええ、分からない事は皆が教えてくれるから大丈夫よ!」
「最後にこれを。お2人で食べてくださいね。借りたお金も別に入れておきました」
そう言い残して、私は夫妻を追いかけた。
以前、ヒジカタさんが食べたがっていた特製ハンバーガーを包んで渡すと2人は笑顔だった…。
完
読んでいただきありがとうございます!
小話⑪この異様な光景に耐えられるサラサのメンタルは鋼ですw




