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最弱スライムテイマーは超特化の力で最強へと至る  作者: 伊藤ほほほ


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「カイトちゃ~ん、分かってんだろうなぁ……っておい! どこに行きやがる!」


 放課後を告げるチャイムと同時に、全力ダッシュで家に帰る。

 信じられない物を見るような目で、僕の姿を追っていたザンブの顔。思いだすと笑いが止まらない。

 罰ゲームらしいことは何一つ受けなかったけど、昼も含めた休み時間中ずーっとザンブの姿を気にしなければならなかったのは少し疲れたかも。ご飯も食べれなかったしね。それはあいつも同じだろうけど。

 でっぷり太ったあの体型を維持するには、かなりのカロリーが必要なはずなのに、昼飯を抜いてまで僕を追いかける執念は敵ながらあっぱれだ。

 これを毎日続ければ、ザンブも痩せて健康になるかもしれない。

 そう考えたら、僕ってご主人様の体調を気遣ういい奴隷かも?


「ただいまー! コロマル、寂しくなかった? 今日から特訓だよ!」


"うんっ、カイトのママが色々教えてくれたから大丈夫だった! もっともっと強くなれるんだね!"


 玄関の扉を開くと、コロマルがリビングからひょっこり顔をだす。

 色々って、何を教わったんだ?

 まあ、スラマルとコロゾーも家事を仕込まれてたみたいだし、だいたい想像はつく。


 僕はこれから森に向かう。

 授業中に考えていたんだけど、やっぱりコロマルの姿はあまり人に見せない方がいいという結論に至った。

 倉庫から二輪のリアカーを取り出してコロマルを乗せる。その上からシートを被せてやれば中身は分からない。これで完璧だ。

 カラカラと音を立てながら走りだす。


 昨日パパとママに相談していたことは、ザンブとの決闘だ。今度こそ絶対に勝てると自信がついたら、こちらから挑むつもり。僕の現状を理解しているからこそ、二人とも納得してくれた。


 朝はコロマルの合体。学校が終わったらレベル上げや戦闘の練習。家に戻ったら槍を振ったり本を読んだりして自分を磨く。こんな感じでいこうと思う。

 たとえレベル30のオークが10体出てこようとも、ボコボコにできるくらいまで成長するのがとりあえずの目標かな。

 普通のスライムテイマーなら難しいかもしれない。でも、今の僕らなら、そう遠くない未来に実現できるはず。


 迷惑をかけっぱなしのパッセ工房のみなさんにもコロマルを紹介したいけど、強くなることが最優先なのでまだ我慢。早く親方たちの驚く顔が見たい。


「まずはローリングアタックから覚えていこう! ……こんな感じで体を丸く固めて、転がりながら加速するんだ!」


"分かった! やってみる!"


 森に到着。

 スラマルとコロゾーに教えたように、でんぐり返しを見せてやる。

 コロマルはすぐに理解してくれたみたい。体を少し伸ばして振り子の要領で勢いをつけ、巨大な球体となって転がっていく。

 コロンコロンではなくゴロンゴロン。大迫力のローリングアタックだ。

 重さも直径もスライムよりあるためか、初速は遅いものの、加速が乗りきったあとの最高速度が凄まじい。

 山頂から崩れ落ちてきた岩石の如し。あれは流石に僕でも追いつけなさそう。


「上手上手! その勢いのまま飛び上がって体当たり……それがローリングアタックだ!」


"カイト見ててー! こんな感じ?"


 放物線ではなく直線。巨大な球体が空を飛んだ。

 まるで、城壁でも破ろうとしてるのかってくらいに、馬鹿でかい大砲から撃ち出された砲弾みたい。

 どうやら狙いはイーチョの木。トゲトゲした黄色の葉っぱが特徴の、建築資材にも使われるそこそこ頑丈な植物だ。

 そんな生木が、コロマルのローリングアタックで鉛筆のようにへし折れてしまった。

 近くの木々まで揺らしながら、巨大な衝撃音が響く。


「……えぇ?」


"すごい? ねえカイト、コロってすごい?"


 オークの体を支えるのは、太く丈夫な骨と異常なまでに発達した筋肉。その上に分厚い脂肪がかぶさって、硬い毛皮のおかげで防御力も高い。

 そんな質量を思う存分振り回すオークが体当たりをしたところで、あれほどの威力が出せるのだろうか?


「すごいで片付けちゃっていいのかな? 僕の想像を軽く超えちゃって、開いた口が塞がらないよ」


"やったぁ! ローリングアタックって楽しいね!"


 ブヨンボヨンと飛び跳ね、全身で喜びを表現するコロマル。周りの惨状も相まって、森の王みたいな風格がある。


「次はレベルを上げてみようか」


"よーし、やっちゃうよー!"


 触手を腕みたいにして、コロマルがシュッシュとパンチを繰りだす。気合い十分だ。

 あんなのどこで覚えたんだろう。誓って僕は教えていない。

 もうゴブリンだって倒せそうだけど、油断は禁物。まずはスライム相手にゆっくり育てていこう。


"えいっ!"


 ふわりと飛んだコロマルが、お散歩中のスライムを押し潰す。


"やあああっ!"


 球体となったコロマルが、呑気に日向ぼっこしていた3体のスライムをまとめて轢(ひ)いていく。


 僕はただ後ろをついて行くだけ。

 移動も速いし、安心して見てられる。

 この調子なら、明日は少し森の中まで入っても大丈夫そうだな。

 合体の効率をよくするために、僕のレベルも上げておきたいところ。


 【名 前】 コロマル

 【種 族】 ヒュージスライム(24)

 【レベル】 4

 【魔 力】 8

 【筋 力】 8(24)

 【防御力】 8(24)


 一方的な蹂躙は、空が暗くなるまで続いた。

 スライムは1レベルにつき各ステータスが1ずつ増えていたが、ヒュージスライムはその倍の2ずつ増えるらしい。

 上がったレベルは3つだけど、慎重にやっていたし、初日としては大満足の結果だと思う。

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