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最弱スライムテイマーは超特化の力で最強へと至る  作者: 伊藤ほほほ


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 夕暮れ前の森は静かで、木々の隙間を通り抜ける涼しい風が葉っぱを揺らす。カサカサと乾いた音だけが聞こえる。

 ここはスラマルとコロゾーに出会った場所。

 テイマーとしての僕は、ここから始まったんだ。

 ラビちゃんとも一緒によく遊んだなぁ。空を見上げると、懐かしさが込み上げてくる。

 あの決闘があって、もうこの森には来れないんじゃないかと思っていた。

 またここに来れたら、やりたいことがあったんだ。


「お墓を作ってあげないとね」


 下を見ながら、ある物を探す。

 二人の魂を供養するにも、お墓の目印がなければ始まらない。


「これなんていいかも」


 少し形は歪(いびつ)だけど、スライムに似た半円状の石を拾い上げる。大きさは僕の握り拳くらい。

 踏み荒らされたりしないように、大きな木の裏側でちょっとだけ盛り上がったところに石を置く。

 スラマルとコロゾーの形見は何も残ってないけど、僕の思い出を詰め込む。


「二人と一緒に強くなりたかった。ラビちゃんにも会わせてあげたかった。僕が弱かったばっかりに……。スラマル、コロゾー、君たちのことは一生忘れない。遅くなっちゃってごめんね」


 瞳を閉じ、手のひらを合わせ、心に二人の姿を浮かべながら祈りを捧げる。

 死んだらみんな、空の上にある幸せな国で暮らすらしい。

 スラマルとコロゾーも、きっとそこにいるはず。

 僕の気持ちが届いてくれるといいな。


「僕はもう泣かないよ。強くなるんだ! スラマルとコロゾーが心配しなくていいように……だから、空の上から見ててね? 君らの主人は凄いんだって、いつか二人が胸を張って自慢できるテイマーになるよ!」


 目を開けると、お墓の近くに生えていたフェアリーマッシュが光の胞子を放つ。

 キラキラと美しく輝いて、まるで僕を祝福してくれてるみたいだ。

 もしかして、スラマルとコロゾーが……頑張れって言ってるのかも。


「うん、任せて!」


 空に向かって拳を突き上げ、笑顔を向ける。

 パッセの親方、ダグラスさん、ありがとう。

 パパ、ママ、もう心配要らないよ。


 ダグランス一号を握り締めると、力が湧いてくる。

 弱い自分はもう捨てた。

 今度こそ僕は変わるんだ!


 ……誓いを立てたそのとき、茂みが揺れた。

 ぷるりと揺れる半透明の体を、僕はよく知っている。

 スライムだ。

 このタイミングで現れてくれたことに、どうしても運命を感じでしまう。


「ねぇ、僕と友達にならない?」


 掬い上げるようにコロコロと転がしてやると、向こうもやる気になったらしい。

 体をへこませ、伸び上がると同時に飛び上がる。

 今のこの子にできる最強の攻撃――体当たりだ。


「ふふっ、元気一杯だね。その調子その調子! でも、僕と一緒に来てくれれば、もっと強くなれるよ!」


 下手投げで放られたボールをふんわりと受け止めるように、体当たりしてきたスライムを抱きしめる。

 僕の両腕の中から必死に逃げようと暴れるが、ステータスの差がそれを許さない。

 力は込めず、優しく愛情を注ぎながら、ただ相手の自由を奪う。

 ……やがて、観念したのか、スライムが動きを止める。


「君を傷つけたりなんかしない。大切にするって約束するよ。だから、僕の従魔になって欲しい。――テイム!」


 両手に包まれたスライムが光を放つ。

 僕とこの子が繋がっていく。

 よかった、テイムに成功したみたいだ。


「よろしくね、僕はカイト。君の名前は……コロマルだよ!」


 出会った瞬間に、スラマルとコロゾーから半分ずつ取ったこの名前にしようと決めていた。


 【名 前】 コロマル

 【種 族】 スライム

 【レベル】 1

 【魔 力】 1/1

 【筋 力】 1

 【防御力】 1

 【スキル】 なし


 レベル1……ここからまた始まるんだ。


 【名 前】 カイト・フェルト

 【適 性】 スライム超特化テイマー

 【レベル】 12

 【魔 力】 11/12

 【筋 力】 23(2)

 【防御力】 23(2)

 【召喚枠】 1

 【スキル】 テイム、モンスター鑑定


 僕にもコロマルのステータスが加算されている。


"名前……嬉しい! カイト、ありがとう!"


 すごく喜んでるみたい。

 二人が従魔になってくれたときの光景が脳裏に浮かぶ。

 ……ダメだ。もう泣かないって決めたんだから。

 下唇を噛み締め、上を向いて涙を堪える。


「そうだ、一人じゃ寂しいよね」


 今日はもう一体テイムして家に帰ろう。

 新しい仲間をパパとママに紹介するんだ。

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