↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱スライムテイマーは超特化の力で最強へと至る  作者: 伊藤ほほほ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
30/44

30

 またいつも通りの日常が始まった。テイマーになる前と同じ生活だ。

 朝ごはんを食べて学校へ、帰ったら宿題を終わらせ、夕飯を食べて風呂に入って寝る。この繰り返し。

 違うのは、ラビちゃんがいないこと。いまだに音沙汰がないらしい。

 そして、決闘を見たクラスのみんなが、僕を腫れ物のように扱い距離を取っていることかな。

 ザンブとの戦いを見て、僕がどうやってスライムを育てたのか気になったらしく、色々と聞いてくるテイマーの子がいた。

 僕は嬉しかったんだけど、その子は周りから今はそっとしといてあげないと……だなんて注意されていた。

 ラビちゃんがいたときは、みんなともっと気軽に話せてたんだけどなぁ。

 だいぶ心は落ち着いたし、悲しくないと言ったら嘘になるけれど、気を遣わなくていいのに。

 ……でも、そのいつも通りは今日まで。


「ぶっひゃっひゃっひゃ! や~っと帰って来れたぜぇ。さて、俺っちの奴隷はどこかなぁ?」


 一

 あいつの姿を見た瞬間、嫌な光景が脳内を埋め尽くす。

 ……ダメだ、耐えられない。

 わざと視線を逸らし、窓の外を見て心を落ち着かせる。

 しかし、そんな時間は許してもらえなかった。


「おい、俺っちが呼んだら奴隷はすぐに駆けつけろ!」


 ザンブに首根っこを掴まれて持ち上げられ、強制的に対峙させられてしまう。

 スラマルとコロゾーを失い、追加ステータスがなくなってしまったので、ザンブの力に抗うことができない。

 そのまま無理矢理に引きずられ、ザンブの席まで連れていかれた。


「なんだよザンブ、痛いだろ」


「ザンブ様だろ奴隷! 俺っちが座る前にはイスを下げ、俺っちが立ったらイスを戻せ。まぁでもぉ、今日のところはぁ、まだ教育をしていなかったから仕方ないかなぁ? 敬語も使えない無能とは思わなかったけどぉ。……躾(しつけ)だ。おら、イスになれ!」


 自分のイスを蹴飛ばしたザンブは、片手で僕を投げ飛ばす。

 そして、床に手をつき四つん這いの形になった僕の上に、ドサッと無遠慮に座った。


 決闘で決めたことは絶対だ。逆らうことは許されない。

 負けたら奴隷になるという条件は、ザンブが一方的に突きつけてきたものだが、僕は感情に任せて同意してしまった。

 もし無かったことにしようものなら、最悪の場合は裁判にかけられる。

 嘘か真かを魔道具で判別され、犯罪者になってしまう。

 そうなれば、罰ゲームなんかじゃ済まされない。


「はい……すみません、ザンブ様」


「ぶひょほほほ! 分かればいいのよ分かればぁ!」


 先生がやって来て、イスになるのは免れたのだが、その後は地獄のような時を過ごした。

 常にザンブに気を配り、後ろをついて行かなければならない。

 イスを動かし、ドアを開ける。

 給食なんて当然のように奪われるし、トイレではザンブが用を足す間の見張りをさせられる。

 みんなの前で歌わされたり、廊下でザンブのすごいところを大声で言わされたり……そのたびに、クスクスとクラスメートにも知らない上級生や下級生にも笑われた。


「あ~あ、もう終わりかぁ。楽しかったなぁ奴隷くん?」


「……はい、ザンブ様」


 学校が終わり、ようやく解放してもらえそうだ。


「そうだぁ、いいこと思いついちゃったぁ! 俺っちってばぁ、奴隷にも優しいのよぉ。いや~、あれは気持ちよかったなぁ。お前のクソ雑魚スライムをプチって潰すのがさぁ! また決闘してぇ、奴隷にもし負けるようならぁ、この罰を無かったことにしてやるよぉ。なっ? 俺っちってば天才だろぉ?」


「……くっ」


「ん、何か言ったか?」


「いえ、そろそろ帰ります」


 血が出るほど歯を食いしばり、怒りを耐えた。

 こうなっているのも、自分が全て悪いのだ。奴隷になる罰ゲームを受け入れた自分が。

 ……でも、我慢できない。

 何がザンブ様だ!

 僕の家族を殺しておいて、何が楽しいだ!

 下を向き、逃げ出すように学校を後にする。


 僕は走った。がむしゃらに走った。

 力一杯拳を握りしめて。

 肩が外れそうなほど、大きく両手を振って。


 着いたのは、パッセさんの工房。

 ザンブが復帰したら、顔を出すように言われていた。


「パッセの親方、いますか?」


「おう坊ちゃん! ちょっと待っててー!」


 扉を開けると、作業中のダグラスさんが出迎えてくれた。

 いつものイスに座って待っていると、親方が両腕を広げてストレッチしながらやってきた。


「坊主、どうだ調子は? おいダグラス、てめえどこ行きやがる。さっさと座れ!」


「えぇ? あの机、今日中に仕上げろって言ったの親方じゃないですか! 仕事に戻らないと間に合わないっすよ! 今日デートなのに」


「ごちゃごちゃうるせえな、残業しろよ。デートなんざ、ゴブ美を行かせとけ。お前もゴブリンも変わんねえだろ」


「そんなぁ、酷いっすよ親方ぁ!」


 いや、変わると思うけど……。

 大事な用事があるみたいなのに、大丈夫なのかなダグラスさん。

 それにゴブ美ちゃんて、名前からしてメスじゃないの?

 待て待て、人間とゴブリンをデートさせようってのがまずおかしいか。

 僕も毒されてるみたい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。