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「異世界?それも想定内だ。33年間、あらゆる可能性を生きてきた男」  作者: JX
第一章 「備えし者の記録」

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第99話 合流

洞窟組との合流を待つ、討伐隊の日々をお届けします。


「――出発する前に、少しだけ時間をください」ジェクスが、皆を見渡しながら言った。「皆さんと、一緒に体を合わせる訓練を、させてもらえませんか。……正直、自分の力が、どこまで伸びたのか、まだ自分でも掴みきれてないんです。胸を、貸してもらえたら助かります」


「――胸を貸せ、ねえ」ロルフが、意外そうな顔をしながらも、不敵に笑った。「悪くねえ話じゃねえか」


「――正直、380,000アニマなんて数字、俺自身、まだ実感が湧いてないんです」ジェクスが、静かに続けた。「実際に打ち合ってみないと、どこまで通用するのか、自分でも分かりません」


その言葉に、ガレスが、小さく笑った。


「――相変わらず、律儀な奴だな」


「――積み重ねるのが、性分なんです」


その返答に、周囲から、小さな笑いが漏れた。重い空気の中にも、確かな希望が、静かに灯り始めていた。


「――それと」ケインが、資料を見ながら付け加えた。「この先3週間程、この地に留まるとなると、船の食料だけでは、恐らく足りません」


「――だろうな」ガレスが、頷いた。「魔王領内の土地とはいえ、口にできるものはあるはずだ。周囲の生き物や植物を、見極めて確保する必要がある」


「――サバイバルも、俺の得意分野です」ジェクスが、静かに言った。「稽古と並行して、皆さんに、その知識も共有します」


「――偵察も、怠るなよ」オルグレンが、付け加えた。「敵地のど真ん中だ。いつ、何が起きてもおかしくない」


こうして、討伐隊は、洞窟組の帰還を待ちながら、稽古・サバイバル・周囲の偵察――その三本柱を軸に、戦力をさらに底上げする、新たな日々へと入っていった。


***


その日々は、稽古とサバイバル、そして周囲の偵察を繰り返しながら、静かに過ぎていった。


そんなある日、ジェクスは、物資を抱えて、洞窟へと向かった。


近づくにつれ、見覚えのある人影が、洞窟の入口に立っているのが見えた。


「――ギルさん!」


「――おう、待ってたぜ」


涼しい顔をしたギルが、軽く手を上げる。ジェクスは、持ってきた食料と物資を、その場で手渡した。


「――助かる。……ちょうど、腹が減ってたところだ」


一息ついたところで、ギルが、ふと口を開いた。


「――なあ。まだ時間があるなら、俺と手合わせしねえか」


「――望むところです」


二人の間に、静かな緊張が走る。詳細を語るまでもなく、それぞれの積み重ねてきたものが、ぶつかり合う音だけが、荒野に響いていった。


数日後、アクセルが姿を現すと、稽古の輪に、また一人が加わった。三人での攻防は、互いの呼吸を確かめ合うように、幾度も繰り返された。


そして、待ちに待った日が、ついに訪れた。


「――お待たせ」


洞窟の奥から、ぼろぼろになりながらも、確かな足取りで歩いてきたのは、カイドだった。以前より一回り引き締まったその体つきに、ジェクスは、思わず息を呑んだ。


「――遅くなってすみません」


その後を追うようにして、アリシャの姿も見えた。目に宿る強さが、以前とは、明らかに違っていた。長い旅路を耐え抜いた者だけが纏う、静かな自信が、その佇まいに滲んでいる。


「――全員、揃ったな」ギルが、満足げに笑った。


五人は、しばらくの間、互いの顔を、じっくりと見つめ合った。誰も、多くを語らなかった。だが、それぞれの表情――疲労の奥に確かに宿る、研ぎ澄まされた気配だけで、この試練が、それぞれに、大きな何かをもたらしたことが、はっきりと伝わってきた。


「――さあ」ジェクスが、静かに拳を握りしめた。「魔王の根城へ、行きましょう」


その一言に、五人は、力強く頷いた。積み重ねてきたもの全てを胸に、討伐隊は、いよいよ、最後の局面へと踏み出していくことになった。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

「胸を貸してもらえたら助かります」というジェクスの申し出から始まった稽古とサバイバルの日々——そしてついに、ギル、アクセル、カイド、アリシャが、それぞれの成長を胸に戻ってきました。「魔王の根城へ、行きましょう」——五人揃ったこの瞬間から、物語はいよいよ最終局面へと進んでいきます。

次話もお楽しみに。

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