第111話 各国の思い
ここからが正式な第二章になります!
皆それぞれの想いを持って国に帰ります。
五日間にわたる五大国合同会議――その最終日、王城の広間には、重い緊張と、僅かな安堵が入り混じっていた。
「――結論としては」国王が、居並ぶ各国の代表を見渡しながら、静かに告げた。「五大国それぞれが、独自に、神の伝承を調べ直す。並行して、討伐隊は、今後の対応を検討する。……それでよろしいか」
その言葉に、代表たちが、それぞれ、静かに頷いた。
「――では、これにて、閉会とする。各国代表は、自国へ戻り、それぞれの立場で、この件に当たられよ」
その一言を最後に、会議は、静かに幕を閉じた。
***
翌朝、王都の船着き場は、旅立つ者たちで賑わっていた。
「――世話になったな」ロルフが、大盾を担ぎ直しながら、ガレスへと手を差し出した。「グランヴェルに戻り次第、伝承の調査、こっちでも進める」
「――頼む」ガレスが、その手を握り返した。
「――私も、アストリアで、できる限りのことはするわ」ネリアが、静かに言った。「魔導国の書庫には、他の国にはない資料もあるはずよ」
「――お互い、無事でな」ジェクスが、それぞれと、握手を交わしていく。
「――それじゃあな」シグルドが、いつもの気だるげな調子で、片手を上げた。「ノルドは、ノルドで、やることがある」
その一言に、ジェクスは、僅かに、違和感を覚えた。いつもより、その目に、確かな熱がこもっているように見えた。
「――やる気になったな、珍しく」
「――……まあな」シグルドは、それだけ答えると、アイラを伴い、静かに、船へと乗り込んでいった。
各国の代表たちを乗せた船が、次々と、王都の空を飛び立っていく。討伐隊の面々は、その光景を、見送りながら、静かに立ち尽くしていた。
「――これから、どうなるんでしょうね」フィンが、小さく呟いた。
「――俺たちにできることを、やるしかない」ガレスが、静かに答えた。「それぞれの場所で、それぞれの積み重ねを」
***
数日後、王都は、いつも通りの喧騒を取り戻していた。
ギルドの一角、いつもの席に腰掛けたジェクスは、湯気の立つスープを前に、小さく息を吐いた。
「――会議が終わって、まだ数日か」
向かいの席で、カイドが、パンを頬張りながら頷いた。
「――正直、実感が湧かねえよな」カイドが、パンの最後の一口を頬張りながら、呟いた。「こうやって、いつも通り飯食ってると、あの根城での出来事が、夢だったんじゃねえかって思う時がある」
「――俺も、同じだ」
その言葉に、二人は、しばらくの間、無言のまま、それぞれの食事に手をつけていた。
「――そういえば」カイドが、ふと思い出したように、口を開いた。「あの鏡の魔道具、あれからどうなった」
「――ガレスさんが、預かってる。移動日数と合わせりゃ、10日経つのは、もう間もなくだ」
「――もう、そろそろだな」
その一言に、ジェクスの胸の奥で、静かな緊張が疼いた。
日常という名の、束の間の余白――だが、その余白の底には、確かに、これから始まる大きな戦いの気配が、静かに横たわっていた。
***
昼下がり、ジェクスは、ギルドの資料室に立ち寄っていた。
「――お、来ましたね」ライアスが、資料の山から顔を上げる。「例の会議の件、聞きましたよ。……信じられないような話ばかりで、正直、まだ頭が追いついてません」
「――俺たちも、同じですよ」
「――それにしても」ライアスは、興奮を隠しきれない様子で、続けた。「神々の正体、ダンジョンの真実――これまで積み上げてきた研究の、根本が覆るような話です。ある意味、研究者冥利に尽きるっていうか」
その言葉に、ジェクスは、小さく笑った。
「――ライアスさんらしいですね」
「――で、これから、どうするんですか」ライアスが、真剣な表情に戻って尋ねた。
「――7人、揃えないといけません」ジェクスは、静かに答えた。「魔王を倒せるほどの強者を、5年以内に」
「――7人、ですか」
ライアスは、しばらくの間、考え込むように、腕を組んでいた。
「――どういう基準で、選ぶつもりです?」
その問いに、ジェクスは、まだ、明確な答えを持っていなかった。
(――誰を、選べばいいんだろうな)
想定録の棚を辿りながら、ジェクスは、これから始まる、新たな積み重ねの日々を、静かに思い描いていた。
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次はいよいよ神の証拠を探し出します!




