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「異世界?それも想定内だ。33年間、あらゆる可能性を生きてきた男」  作者: JX
第一章 勝利は準備を愛する

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第104話 支えられる事

覚醒したジェクスと、仲間たちの連携をお届けします。


圧倒的な魔力を纏ったジェクスの姿に、討伐隊の面々が、目を見張った。


「――ジェクス……!?」ガレスが、思わず声を上げる。


「――生きてる……! 生きてるぞ、あいつ!」カイドが、拳を握りしめながら叫んだ。


だが、その声に構う間もなく、ジェクスは、既に地を蹴っていた。一人、魔王へと、真っ直ぐに突き進んでいく。


「――ぐ、っ!」


行く手を阻むように、無数の触手が、槍のように突き出された。一本、二本と斬り払っても、その隙間から、さらに次の一本が迫ってくる。あまりの数に、間合いを詰めることすら、ままならなかった。


「――近づけねえ……!」


その様子を、ガレスが、じっと見つめていた。


「――何を、突っ立ってやがる」オルグレンが、鋼の武器を構え直しながら、低く言った。「あいつ一人に、道を切り開かせる気か」


「――だな」ガレスが、剣を握り直す。「俺が、二本引き受ける!」


その一言を合図に、討伐隊の面々が、一斉に動き出した。


「――こっちも、二本だ!」ロルフが、大盾を構え、渾身の盾撃を叩き込む。


シグルドが、残る魔力を振り絞り、味方を癒しながら、自らも触手へと立ち向かう。ネリア、アイラ、ダグラス、それぞれが、必殺の一撃を、惜しみなく解き放っていった。


触手の壁に、次々と綻びが生まれていく。その隙間を、ジェクスは、はっきりと感じ取った。


(――一人じゃ、なかったのか)


想定録の棚を辿るまでもなく、その事実が、はっきりと胸に染み渡っていく。


(――転移する前は、一人で頑張るのが、当たり前だった)


誰にも頼らず、誰も頼ってこず、ただ、自分の力だけで、積み重ねてきた日々。それが、当然のことだと、ずっと思っていた。


(――共に頑張ることが、こんなにも、力になるなんてな)


その温かさが、じんわりと、胸の奥に広がっていった。


「――今のうちだ、ジェクス!」


その叫びに、ジェクスは、力強く頷いた。


「――ありがとうございます」


炎を纏った両の拳を握りしめ、ジェクスは、魔王――巨大な黒い獣へと、一直線に駆け出した。


「――ほう」


魔王が、僅かに、興味深そうな声を漏らす。


「――死に戻りとは、面白い余興だ」


その言葉と同時に、魔王の口元に、禍々しい魔力が、収束していく。


「――喰らえ」


放たれたのは、漆黒の魔弾だった。ジェクスは、即座に、その軌道を読み取った。


(――反射する)


だが、その瞬間だった。


「――ぬるいぞ」


魔弾に込められていた属性が、一瞬にして、雷へと切り替わった。


「――なっ!?」


読み違えた軌道に、体が反応しきれない。雷を纏った一撃が、ジェクスの体を、真正面から捉えた。


「――ぐああっ!」


爆音とともに、爆煙が、辺りを覆い尽くした。


「――ジェクス!」アリシャの叫びが、遠くから響く。


だが――。


煙の中、ジェクスの全身を、いつもの温かな炎が、優しく包み込んでいた。まるで、不死鳥がその身を纏うかのように。焦げついた部分から、炎が静かに立ち上り、その熱と共に、傷が、内側から塞がっていく。鋭い痛みが、確かに、体を貫いていた。


「――いってーなあ、くそ……」


ジェクスは、痛みに顔を歪めながらも、ゆっくりと、煙の中から立ち上がった。


「――ギフトで、魔力で、治癒力を底上げしてるからって」ジェクスは、荒い息を整えながら、静かに続けた。「痛みまで、消えるわけじゃ、ないんだよ」


その声に、魔王が、僅かに眉を寄せた。


煙が晴れると、そこには、焦げた衣服こそあれ、傷一つない、ジェクスの姿があった。


ジェクスは、剣を魔王へと真っ直ぐに突き向けながら、静かに言った。


「――簡単に、ギフトを奪えると思うなよ」


「――ほう」


「――今の一撃くらいじゃ、止まらない」


その言葉とともに、ジェクスは、再び、魔王へと向けて、地を蹴った。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

一人で突っ込もうとしたジェクスを見て、仲間たちが自発的に動く場面——「転移する前は、一人で頑張るのが当たり前だった」という彼の内省も、これまでの積み重ねを踏まえると、より深く響くのではないでしょうか。魔王の奇襲を受けても、痛みを感じながらも立ち上がる姿——覚醒後の力の一端が見えてきました。

次話もお楽しみに。

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