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奴隷商人

 そこは、物置のような所だった。

 そこに居るのは、女。女。女。女。女。女。

 二十人ばかり居る。

 女性と呼べる大人な人や、女の子が居る。

 そのどれもが見惚れるような美人だ。

 そんな美人達が動物を入れるのようなゲージに入れられていた。

 そして、笑う男と、犬歯を剥き出しにして本を掲げていたあの女の子――フィナ (多分俺と同じ歳) がいた。

 期待の眼差しを向けていた女達とへらへら笑っている男と犬歯を剥き出しにしていたフィナは俺を認めた瞬間。

「え、ええええええええええええええええええええッッ!!??」

 ハモった。

「あ! フィナさんじゃないですか!」

 俺を突き飛ばして嬉々としてフィナの方へ向かう。

「アイツ……召喚された!?」

 困惑顔のフィナ。

「あ、あり得ねえ! 人間が異界に行ける筈が……」

 フィナはかぶりを振る。

「違うわ。魔力が通常の魔術師の五十倍あれば、行けるッて言う仮説が本に書いてあったわ」

「五じゅッ!!?」

 全員がまたまたハモった。

 五十倍ってヤバいくらい魔力があるって事か。

 いや、そうじゃねぇ!

「これはどういう事だよ! 何でゲージに入れられてんだ?」

「ハハッ! これ見て気付くだろ? 売るんだよ」

 う、売る?

 一瞬、自分の耳を疑った。

「ああ、いや~骨が折れたわ。わざわざ世界一のギルド、バルトックへ試験受けに行ったんだからよォ」

 ハハッ、と笑いながら腕を広げる。

「奴隷商人よ……」

 フィナが険悪な眼差しをラングドンに向ける。

 奴隷商人。

 あまり実感が湧かないが、人を売り飛ばす――最低な奴だとは分かった。

「そこで美人な奴ら、可愛い奴らを追跡 (トレース) を見つからないように取り付けたんだからな」

「なっ……?」

 心当たりがあったのか女達は肩の方へ手をやり、肩の黒いシミを取る。

 あれ……魔法だったのか?

「今頃オセェよ」

「ぶつかってきたのはそれが狙い……」

「ただ単にエロオヤジだと思ってたわ」

「私も~!」

 ピクリと、男のこめかみが動く。

「俺はラングドンって名前があるんだけどなぁ! エロオヤジじゃなくてぇ!」

「うわぁ、大人気ないなぁ」

 俺が呟いた直後。

「テメェは生かして帰す訳にはいかねえな!」

 男は高く売れねえしな、と言うと同時に男の影が変形する。

 おおっ!

 ギュン! 剣のように鋭い影になった男の影が俺を狙う。

「フリーズ!」

 青白い光と共に氷の塊がポケットから飛んで行った。

 ゴガンッ! 影が氷を割り、俺の方に飛んでくる。

 氷があちこちに飛ぶ。

 許して下さい皆さん。

 後でひたすら謝ります。

 影は車並みのスピードからパンチくらいのスピードに下がっている。

「終わりだ!」

「避けて!」

 ラングドンとフィナの声が交錯する。

 影が音もなく二つに別れる。

 頭と心臓を狙われる。

 パアン! と、言う音が物置小屋みたいな部屋に反響する。

「なんッ……!?」

 ラングドンは信じられない、といった顔をする。

 フィナは、「凄ッ!」と驚いている。

 女達は呆然としている。

「ハッ! で? 何が終わりな訳?」

 影を握り潰して訊く。

「どんな動体視力してやがる」

 ラングドンは呟く。

 俺は一気にラングドンとの距離を詰める。

「修行の成果だ」

 勿論嘘だ。

 本当は、不幸な人生の中で鍛え上げられた物だ。

 例えば、不良に追い掛け回されれば自ずと走るのが速くなっていく。

 遅かったら死ぬからだ。

 例えば、アメリカに旅行に行った時に白い粉を持ったまま、警察に追い掛け回され発砲されたりすると自ずと銃の飛ぶ速さが分かるとか。

 例えば、学校一可愛い子を誤って押し倒してしまい、学校中からリンチ喰らったりすると、自ずと自分の急所、防御の仕方、それを可能にする動体視力が付く。

 拳を岩のように握り締める。

「吹き飛べ!」

 例えば、どうしても誰かを殴り倒さなければならない場合――自ずと拳の威力は上がる。

 ゴガンッ! 頬に拳が激突し、ラングドンは吹き飛ぶ。

 頭から壁にぶち当たり、安物の材木を使っているのか、壁が壊れる。

「まあ、何回もそんな事起こってるから付いたんだけどな。拳も動体視力も」

 勿論、警察に発砲されたのは、人生において二、三回しかない。

「影でガードしてなきゃ、あぶねえなかったぜ! ちくしょう野郎共! やっちまえ!」

 なんッ!? 心臓が止まりそうになった。

 どう見ても悪人面の野郎共が十数人、十畳程の部屋に立っていた。

 俺が勝てるのは三対一まで。

 四対一になると危ないし、五対一になるとギリギリ勝てるかなぁ? と言った感じだ。

 十数人対一など勝率皆無だ。

「俺がフィナさんを守ってみせるぜ!」

 あ、一人追加。

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