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追放召喚者のダンジョンには、最強竜と魔狼(もふもふ)が住んでいます ~魔力SSSで始めるスロー・ダンジョンライフ~  作者: 黒猫ている


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53:ハンバーグ作戦

という訳で、エディさんと大勢のドワーフ達を引き連れて、ダンジョンに戻ってきました!

ドワーフ達と相談して、聖域フロアの少し上に鉱山地帯エリアを設置。

本人達は死の大地エリアでも良いって言っていたんだけど、流石に竜がうじゃうじゃ居て危ないし、何より枯れ果てた死の大地じゃ鉱石もあまり採れないみたいだからね。


聖域エリアの近くに配置することで、世界樹の影響をより強く受けて、鉱山に住む精霊達も活発に動けるみたい。

どうせ土地は余っているんだから、住みやすい所の方が良いに決まっている。


最初は私とガルムとレムスだけだったダンジョンも、ヴィルベルが来て、竜が住み着いて、エルフ達が来て、冒険者も出入りするようになった。

ダグラスさんが加わり、さらにドワーフまで移ってきて、随分賑やかになってきた。


エディさんはすぐロドニー王国に戻るつもりらしいので、それまではドワーフ達のお引っ越しを手伝ってもらうことにした。

彼自身はダグラスさんとジェレミーさんも一緒に帰ってほしいようなのだけれど、二人はまだ悩んでいるみたい。


なにせ聖女に追っ手をかけられて殺されそうになったダグラスさんと、王太子によって追放されたジェレミーさんだ。

今のロドニー王国に戻ったところで、二人とも大変なのは目に見えている。


ま、二人がどうするかは、お任せしよう。

私が口を出すようなことではない。

彼等が心を決める迄の間は、いつも通り、地下99階でののんびりとした暮らしが待っている。




「スズカ殿」


思い詰めた表情でダグラスさんが声を掛けてきたのは、私が厨房でカレーを煮込んでいる時だった。

意を決して近付いてきたのだろうが、鍋から立ち上るスパイシーな香りに、一瞬表情が揺れる。

深刻な顔をしていたのに、鼻先だけは正直だ。


「……味見してみます?」

「少しだけ」


人間、空腹には勝てないのだよ。

しかも、カレーの匂いって食欲をそそるからね。

小皿にカレーをすくい入れて、ダグラスさんに差し出す。


「これは……こんな複雑な味、一体どのように?」

「私が住んでいた世界では、簡単に作れちゃうんですよね~」


複雑なカレーの風味も、スパイスの香りも、市販のカレー粉やカレールウで一発だ。

異世界に来て、改めて日本の食卓は恵まれているなぁって実感する。


「ご飯と一緒に食べると、すごく美味しいんですよ」

「それは楽しみだ」


さっきまで暗く沈んでいたダグラスさんの顔に、笑みが浮かんだ。

よかった、ちょっとは気が晴れたかな?


「……スズカ殿の世界は、凄いところなのだな」

「この世界より科学が発達しているという点では、そうかもしれません。でも魔法もスキルもなければ、精霊もモンスターも居ませんよ」


ヴィルベルやレムスはすっかり日本通になったけれど、ダグラスさんとジェレミーさんは、それほど詳しい訳ではない。


「それでも……何も知らぬままに、貴女を役立たずと決め付けて森に打ち捨てた我等は、愚かの極みだ」


ダグラスさんの端正な顔に、苦渋の色が浮かぶ。

ま、否定はしない。

捨てられた張本人だしね。

でも……ダグラスさんがそれを望んでいなかったことも、十分に理解している。


「悪いのは王太子でしょう」

「ええ、王太子殿下と聖女さえ居なければ……まだ、我が国は立て直せると信じています」


一度唇を引き結んだダグラスさんが、顔を上げた。

黒い瞳が、真っ直ぐにこちらを見据える。


「だから……スズカ殿に、お願いしたい。どうか、聖女の魅了を解いてはいただけないだろうか」


ダグラスさんの声が、静かなキッチンに響いた。


……そう言われるだろうことは、ある程度は予想していた。

国を救おうと思えば、それ以外に手はないもの。

簡単に国を見捨てるには、ダグラスさんもジェレミーさんも、責任感が強すぎる。

彼等は手酷い目に遭いながらも、なおロドニー王国を助けたいと願っているのだ。


彼等は、異世界から来た私とは違う。

祖国に愛情も愛着もあるのだろう。

そんな彼等を見捨てられるほど──私も、薄情にはなれそうにない。


「ちょっとね、考えていることがあるんですよ」

「考えていること?」


私の言葉に、ダグラスさんが小さく首を傾げた。


「私の祖国には、便利なアイテムがいっぱいあるんです」


私の声で、魅了が解けるのならば──試してみる価値は、十分にある。

その為には──、


「ヴィルベルを説得しないとだなぁ」


私が零すと、ダグラスさんの表情が強張った。

ヴィルベルの正体を知ってからというもの、苦手意識というほどではないが、どうも恐怖心が拭い切れないらしい。

ま、取り扱い注意な劇薬であることは間違いないからね。

爆発に巻き込まれたら、自分だけでなく周囲一帯が被害に遭う。


「説得……出来るだろうか」

「もちろん」


ダグラスさんの言葉に、自身満々に頷く。

そうして取り出したのは、ちょっとお高い和牛を使った合い挽き肉。

あとはパン粉に、タマネギに、ナツメグと牛乳もあった方がいいかな。


「こ、これで一体何を……?」

「決まっているじゃないですか、ハンバーグを作るんですよ」


見慣れぬ食材を前に挙動不審になっていたダグラスさんは、聞き慣れない単語に、ついには固まってしまった。

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