表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
退屈は僕を殺したい  作者: おどろん
第六章 七騎士編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
95/111

変態

「ユウ君も知らない、記憶喪失以前の記憶を。」


記憶喪失以前の記憶。

つまり、俺が姉さんと会う前の記憶。

興味がないと言えば嘘になるが、必要ないと言えばそれまでだ。


「そんなものを見てどうするんだ?」


「さぁ?それは見てから判断します。」


「なんだそりゃ。」


「ちなみに、おそらくその記憶は私が見るだけです。ユウ君には見せてあげられないと思います。」


「ええ…?」


相変わらずめちゃくちゃだな。


俺の物なのに、俺に共有する気が無いだと?


「なんか協力したくなくなってきたな。」


「そう言わないでください。キスしてあげますから。」


「アカネみたいなことを言うな。そんなんで俺が素直に首を縦に振ると思うなよ?」


「二人きりの時に他の女性の名前を言うとは感心しませんよ。」


頭をガッチリ両手で掴まれる。

弱々しく見える手だが、抵抗しようにもビクともしない。

契約があるから神通力の無力化を使うわけにもいかんし。


「本当に嫌だったら抵抗してくださいね。」


「い、いや…そもそも逃げられないんだが…」


徐々に近づいてくるユリヤの顔、

というか唇。

顔自体は非常に整っている。

間違いなく美人の分類。

頭の中はかなりぶっ飛んでいるサイコ野郎だが、流石に緊張してしまう。


「中々に失礼ですね。ですが、ユウ君なら許せてしまうのが不思議です。」


もうほとんど目の前まで来た顔。

コイツ、本気なのか?

いっそのことキスでもなんでも好きにやらせて、俺にベタ惚れさせたら最終的に狩人を寝返ったりしないだろうか?


「それは非常に面白い考えですね。」


息を肌で感じるくらい近づいたものの、ユリヤはそっと離れた。

顔もその両手から解放される。


「やはり、こういうのはお互いの合意が大切だと思います。」


「ようやく分かってくれたか。」


「ですが…先程のユウ君の考えが魅力的過ぎて、このままめちゃくちゃに…なんてことも正直考えました。」


「頼むから考えるだけにしておいてくれな。」


「悩ましいです。」


ユリヤは本気で悩んでいる。

煩悩と理性が渦巻き、戦っている。

煩悩が勝てば、俺は『めちゃくちゃ』にされてしまうのだろうか?


「そんな目で見ないでください…。そそるじゃないですか…。」


俺は慌てて目を閉じた。

確信した。

ユリヤはドが付く変態である。

これ以上、ヤツを刺激してはならない。


しかし、目を閉じたのとほぼ同時だった。

右の頬に柔らかい感触。

すぐに目を開けると、どうやら不意打ちでキスされてしまったようだ。


「今回は、この程度にしておきましょう。」


「今回で終わりにしてほしいものだな。」


「ふふっ。実は今、私は1つ大きな『賭け』に勝ったのです。」


また急に何を言い出すんだ?


「先程の契約、覚えていますか?ユウ君が追加した物です。」


「俺が追加した…?『俺の意思をねじ曲げるような操作や誘導』の禁止ってやつか?」


「ええ、そうです。ユウ君が心の底から私を拒否していれば、キスしたと同時に私はユウ君に絶対服従になるはずでした。私のこと、少しは異性として見てくれているのですね。」


「いや、それは勘違いだろ。操作や誘導なんて…」


考える。

先程のユリヤの言葉。


そんな目で見ないでください


…俺にキスするために、俺が目を閉じるように『誘導』したということか?


俺が本気でコイツを拒否していれば、それで勝敗は決していた…?


「そういうことです。」


「だが最初だって…」


いや、最初も同じだ。

俺はユリヤに『操作』されていた。

逃げようとしても頭を掴まれ全く動けず、ただ結果を受け入れるしかなかった。

ユリヤは気まぐれで止めたが、あのままキスまでいっていたら俺に絶対服従していた?

…おそらくそれはない。


「そう。あなたは私を心から否定していない。劣情か、優しさか、興味心かは分かりません。…私は前者の2つを期待しますが。」


「…もうさっさと本題に入ってくれ。」


これ以上、この変態と話していても疲れるだけだ。

記憶だかなんだか知らんが、もう好きにさせよう。


「ありがとうございます。では私をそこのソファまで運んでもらえますか?」


「ん?ああ、分かった。」


ユリヤの背後にいって車椅子を押そうと思ったが、横に並んだところで手を掴まれて止められる。


「なんだ?」


「私の子供の頃の憧れに、騎士に抱き上げられる姫…という構図がありまして。」


「………」


めんどくさいから何も言わない。

ユリヤの左手を取って俺の肩に回し、両ひざを左腕で受ける。

右でユリアの上半身を支えて立ち上がる。

これはズバリ…お姫様抱っこ、というやつだ。


「ああ、素敵です。胸が高鳴って…またキスしたくなってきました。」


「よし、来い。」


今度はこの変態(ユリヤ)を服従させられる気がする。


「…いえ、やめておきましょう。悪いことを考えていますね?」


バレたようだ。

ユリヤをソファまで運び、上半身からゆっくりと座らせる。


「優しいですね。ユウ君は紳士です。」


「機嫌を損ねたくないだけだ。」


「また強がりを…。まあいいです。ではユウ君、こちらに。」


ユリヤは座りながら両手を広げて、俺を見る。

何がしたいのか、求めているのか分からない。


「こちらに?どういうことだ?」


「察しが悪いですよ、ユウ君。じゃあ私の隣に座ってください。」


「…分かった。」


特に気にせずユリヤの隣に腰かける。


「これで()っ!?」


頭を掴まれたのだと思う。

すごい力でユリヤのほうに持っていかれ、身体も同時にユリヤの方に倒れ込む。


「殺す気か!?この野郎!!」


首が痛い。

当たり前だ。

俺の反射神経で合わせなければ、頭だけ持っていかれてたのではないかと不安になるぐらいだ。


「失敬な!これは膝枕と言って、日本の漫画にもよく出てくる由緒正しい…」


「やり方が間違ってるんだよっ!!」


コイツはダンクシュートのやり方でも見たのだろうか?

膝枕で首を折りかける漫画などないと思いたいが…。


「膝枕がしたいならそう言えば良いだろ。」


「…少し、恥ずかしかったので。」


コイツの恥ずかしい基準というのが全く分からない。


「…で?記憶を見るんじゃないのか?」


「はい。この体制が一番制御しやすいので。ユウ君も記憶の喪失の後、神楽さんと出会うくらいまでは一緒に行きましょう。ソコから先は多分行けませんが。」


「行くって何を言って…」


途端、目まぐるしく景色が変わる。

場所が変わる。

時間が変わる。


ここは、俺の記憶?


そうですよ。

私は1度見ていますが、ユウ君は初めてなのでもう一回ゆっくり見ましょうか。


正確には初めてじゃなくて2回目と言うべきじゃないか?


ふふっ。そうかもしれませんね。

さぁ、楽しいデートの始まりです!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ