宣戦布告
お疲れ様です。
絶賛夜勤中ですが、隙を見てサボっ…
コホン
執筆を進めております。
5/25には私が信仰している神、『衣笠』様のよう実新巻が出てしまうので、できるだけ書き進めていかないと!と言ったところでございます。
あー楽しみや。
クロードが日本に現れてから1週間が経過した。
相変わらずユリヤとかいうやつが日本に…というか龍堂神社に顔を見せることはない。
杏が尊敬している存在であるようだが、時間にはルーズであるのか。
あるいは、杏がその女の表面の良いところしか見えていなかった…なども考えられる。
クロードはこの1週間、街を食べ歩き…もとい警戒しながら鬼憑きを探しているが、当然成果はない。
ユキやトリニティがアクションを起こさない限り、鬼憑きの自然発生などほとんど皆無なのだ。
強いて言えば狩人が鬼憑きに成った場合はあるが、それでも例外中の例外だろう。
「おーい。ユウト、聞いてるのか?」
前の席に座っているハヤテだ。
現在は授業も終わり、最後のホームルームも終わったところ。
クラスメイト達も何名かは既に帰宅、あるいは部活に向かっているようだった。
「ああ。全然聞いてなかった。」
「いや、だから駅前で路上ライブしてる娘がスゲーかわいいって話だよ!」
言われてみれば確かにそんなようなことをさっきから言っていた気がする。
どうでもいいから途中から聞き流していた。
「それって確か緑色の髪した人だよね?私も見たことあるよ!」
隣のハルカも話題に食いついてきた。
はて…?
駅前、路上ライブ、緑色の髪…
…あいつか。
「ああ…そういやいたな、そんなやつ。この前も見たぞ。」
言われて思い出す。
特徴的な髪をしていたが、顔はハッキリとは見ていない。
「そんなに可愛いのか?」
「ああ!俺はSNSで回ってきた写真見ただけだけど、アイドルか!?って思ったくらいだ!お前、生で見たのになんとも思わなかったのか!?」
「んー、髪に目がいってたし、本当に一瞬だったからな。まぁアーティストを目指すなら顔なんて二の次だろ。」
「ったく。全然分かってねーな、ユウトは。」
ヤレヤレといった様子で溜め息を吐くハヤテ。
とりあえずぶん殴りたい。
「しっかり歌もうまいんだよ!それで可愛いから最強って話なんだろうが!!」
殴ってやろうとしたが、すごい勢いで怒鳴り散らかしてきたため少し面食らってしまう。
「そ、そうか。悪かった。」
別に俺は何も悪くないはずだが、口をついて謝罪が出てしまった。
なぜか敗北感。
「だが、そんなに可愛いなら自分で見に行けば良いじゃないか。駅前で路上ライブしてるんだろ?確かにお前の家からは少し遠いかもしれんが。」
売れたいのならそれこそSNSなんかで告知なり何なりしているはずだ。
警察に使用許可も届出しているだろうし、ゲリラライブなんてこのご時世そうそうない。
「いや、それなんだがよ。彼女は告知とか一切やらねぇんだよ。SNSとかもな。生で見るにはもうずっと張ってるしかねーんだわ。」
それは流石に想定外。
「それじゃあどうやって売れるんだよ?お前が知らないだけじゃないのか?例えば配ってるCDにQRコードが付いていて、そこから本人に繋がる何かしらに飛ぶとかあるんだろきっと。」
路上ライブしているくらいだ。
自分の曲をCDなんかに焼いて配ったりしていることもだろう。
その曲の終わりとかに挨拶でも入れているパターンなんかもあるかもしれない。
「いや、そういうこともしてないんだ。急に現れて、歌って、すぐ帰っちゃうんだよ。」
「なんだそりゃ。売れる気がないのか?」
何のためにワザワザ路上ライブなんかしているんだ?
注目されたいだけ?
…だがそれならSNSは絶対にやるよな?
「ただ単に、歌を聞いてほしい…とか?」
ハルカはそう言うが、それはつまりアーティストとして成功するのが目的ではなく、言ってしまえば趣味だということだ。
しかし、今分かってる材料で判断すればそれが正しい気もしてくるが…。
「あ、姉御だ。」
ハヤテが唐突に呟く。
ハヤテが言う【姉御】というのは、とある1人を指した表現だ。
「こんにちは。アカネさん。」
「おうハルカ、久しぶりだな。そしてお前。姉御はやめろ。…悪いがユウトを借りていくぞ。」
どうやら俺に用があるようだ。
「何の用か知らんが、ここじゃダメなのか?」
「えぇ~。後輩の前だとぉ~、恥ずいしぃ~。」
腰をモジモジとくねらせ、頬を赤らめるアカネ。
猫なで声なのが絶妙に腹が立つ。
「ユ、ユウト君!?一体アカネさんと何を…?」
「くそっ!!なんでユウトばっかり!!」
アカネの馬鹿みたいな演技に完全に惑わされているアホが2名。
「いつもの悪ふざけだろ。深く考えるな。」
アホ共を一蹴し、アカネを見やる。
そのふざけた態度とは裏腹に、その内心は冷静であることが窺える。
…鬼憑き絡みか。
「じゃあ生徒会室で待ってるぞー。神楽も待ってるから早く来いよー。」
そう言ってアカネは立ち去っていった。
「じゃあ行ってくるわ。多分遅いからお前らももう帰れ。」
姉さんを待たせるわけにはいかない。
立ち上がり、教室を出るためドアの方に歩いていく。
しかし、出る前に立ち止まって振り返った。
「お前ら、今日はあんまり外を出歩かないほうがいいぞ。」
「えっ?なんで?」
「まぁ今日はバイトもないけど…」
すぐに疑問を返してくる。
「なんでもだ。アレだ。占いでやってたんだよ。お前らが今日の夜出歩くと死ぬかもしれないって。」
「俺たち限定!?どんな占いだそれは!」
「私は占い信じないんだけど…」
「いいから。用がないなら出歩くなよ?」
2人は怪訝な顔をしているが、まぁしょうがないだろう。
今日は状況が動く、動かす日となる。
2人を巻き込みたくはないからな。
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「急に呼んでごめんなさいね、ユウ君。緊急事態なの。」
生徒会室には姉さん、アカネ、そして学校では見たことがなかった人物がもう1人。
「杏さんまでここにいるということは、それなりにでかい案件なんですね?」
首から『入校許可証』をぶら下げている杏に話しかける。
「ええ。それなり、なんていうレベルではないわ。大事件よ。」
「大事件…ですか?被害はどの程度で?」
ふむ。
まだ行動は起こしていないはずだが。
予定外のことでも起きたか?
「被害があったというわけではないの。ついさっき…1時間くらい前のことなんだけどね、龍堂神社の、菊おばあ様の執務室の机の上にこんな物が置いてあったの。」
スッと、手紙のような小さい紙を差し出してくる杏。
受け取って見てみると、『緊急事態』『大事件』と表現した意味が分かった。
「これはまさか…闇女からですか?」
軽く冒頭に目を通しただけで理解できた。
「ええ。ユウト君も来たし、一度全部読むわね。」
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
「では…コホン、」
咳払いをして、杏は手紙の内容を口に出してゆっくりと読み始めた。
「『初めまして、狩人の皆さん。私はあなた達から【闇女】と呼ばれている存在です。この度は狩人、天地優人君を貰い受けるべく、こうして手紙をしたためさせていただきました。』」
場の空気が一層緊張感に包まれる。
特に、姉さんの気が張り詰めていくのを肌で感じる。
「『強引な手段でも良いかと思いましたが、天地優人君を素直に引き渡してくれるというのなら、狩人並びに他の一般の方々にも危害を加えないことを約束いたします。抵抗など無意味ですので、懸命な判断を期待します。』」
「抵抗など無意味だと?舐め切ってやがるな。」
杏はアカネを一瞥して続ける。
何故か少し言い辛そうにしていたが。
「『最強と呼ばれる龍堂茜さんも、私の配下であるクロに対して何もできなかったご様子。最近、少し強い力を持った狩人もこの街にやって来たようですが、正直茜さん以下ならいてもいなくても一緒かと思いますので、邪魔をしないでもらえると助かります。』」
「ふざけんなっ!!」
バキッ!
生徒会室の長机を真っ二つに叩き折るアカネ。
「あの反則みたいなすり抜けや瞬間移動さえなければ、あんなヤツに…」
「アカネ。学校の備品を壊さないで。話を最後まで聞きなさい。」
そう言う姉さんも、内心では激しい怒りが渦巻いている。
俺を狙うという文言に加え、自分たちなど歯牙にもかけないと思われていることに、ひどく苛立っているようだ。
「続けるわよ?『つきましては今夜。龍堂神社に私の配下を3人程、送ります。彼らに天地優人君を引き渡し、そのまま見送ってください。それだけであなた達の安全は保証されます。邪魔をするのも良いですが、その場合は命の保証はできませんので、悪しからず。』」
「どこまで舐め腐ってやがるっ!?」
バキャッ!!
二つ目の長机も、再びアカネの手によって真っ二つに叩き折られる。
「神社に配下を送るですって…?本当に私たちのことを驚異どころか何とも思っていないようね…」
今度は姉さんも、アカネを諌める余裕が無いようだ。
「上等じゃない…。ユウ君は絶対に渡さないわ!何が来ても、必ず倒して見せる!」
姉さんは強く意気込んでいる。
今夜は大きく事が動く。
ユリヤが来ないというのならそれでもいい。
クロードを先に殺るだけだ。
俺たちは今夜の作戦を話し合いつつ、
その時が来るのを待つのだった。
Xやってます。
ふぉろーしてね!
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