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退屈は僕を殺したい  作者: おどろん
第六章 七騎士編

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新たなる危機 ー 未知の怪物➀ ー

毎度、私の拙い物語を見ていただき、ありがとうございます。


先に言います。

今回の話は二本立てと言いますか、1話に纏めると長過ぎると思うので区切りました!


投稿頻度は死んでも守るというのを今の目標に設定しておりますれば、区切りは微妙なところを断腸の思いで止めました…。

最近は読者様が増えている傾向ですので、そちらを大切にしたいという私のワガママでございます。


よろしくお願いします。

ユキたちとの密会後、

3人はトリニティのアジトへ向かった。

無論、ユキに関しては潜みながらの行動。

シロとクロにくっついてアジトを周り、情報収集を行うとのことだった。


厄介かつ非常に強力な2人が味方なのでもう何も心配はいらないだろう。

俺に今回のテストを秘密にしておくためにメグにも余計な心配をかけたようだし、後で話をしておこう。

ユキと別れる前、『メグにはもう連絡をとった』と言っていたが、別に個人的に労う分には問題あるまい。


「さて…」


通信機の電源を入れる。



「杏さん、姉さん、アカネ。誰でもいい。聞こえますか?ユウトです。」



少し、焦ったような声色で3人に問いかける。

ユキとクロから聞いた状況的にアカネのはおそらく壊れてるだろうが、姉さんと杏とは通信が可能なはずだ。


『ユウト君!?無事なの!?』

『ユウ君!?良かった!今どこなの!?』


2人がほぼ同時に返事を寄越してくる。

どちらも俺をひどく心配していたのが声からも伝わってくる。


「すみません。今は混ぜる鬼憑きと戦った、例の雑木林の中にいます。」


『そんなところに!?とても心配したのよ!アカネも音信不通だし、ユウト君も鬼憑きを尾行するって言ってから一切連絡が入ってこないし…』


「ごめんなさい。件の鬼憑きとやむを得ず戦闘になってしまいまして。」


『戦闘!?ユウ君は大丈夫なの!?怪我はないの!?』


「落ち着いて、姉さん。俺は大丈夫だよ。敵の攻撃を避けるときに少し膝を擦りむいたけど、大きな怪我はない。敵も倒したよ。ただ…」


『ただ?何かあったの?ユウト君。』


「今回の作戦で同時に行動していた神社所属の狩人たちがいましたよね?彼らは全員、鬼憑きに殺されてしまっていました。かなり強力な鬼憑きだったので、無理はないかもしれませんが。」


『なんですって!?そこまで厄介な相手だったのね…。ユウト君が無事でいてくれて良かったわ。とりあえず、場所を教えてくれれば追加の人員を向かわせる!鬼憑きの特徴も教えてちょうだい!その後は急いでアカネのほうの確認よ!』


「分かりました!そういえば、姉さんは今どこに?」


『私はユウ君が最後の通信の時にいた地点で、ユウ君を探していたの。アカネならなんだかんだで心配はないと思ったから…』


「なるほど、ありがとう。状況は分かったよ。では杏さん、現場の状況と鬼憑きの特徴ですが…」


アカネとの戦闘で姉さんの話が全く出ていなかったから安心はしていたが、そういうことか。


俺は杏に現地での状況等を説明した。

杏は俺の説明に相槌を打ちながら聞いていたが、突如として声を張り上げる。


『えっ!?アカネ!?どうしたのその格好!大丈夫なの!?』


どうやらアカネが現場から家のほうに向かったようだった。

連絡も取れなかっただろうし、代わりの通信機を取りに戻ったといったところか。


『…ええ。……ええ。…そんなことが…』


ところどころ聞こえないが、アカネから状況の報告を聞いているようだ。


『ユウト君、神楽。状況が変わったわ。すぐに家に戻って。合流したら菊おばあ様のところへ向かうわよ。』


「了解です。」

『了解。』


通信が切られる。


「さてと、じゃあ戻るか。」


もうここに用はない。

すぐそこに転がった元体育教師の死体に視線を向ける。


特に、何も思うことはない。

動揺も後悔も、何もない。

あるのは当然の結果だけだ。


急いで戻るとしよう。

家からは結構離れているからな。


俺は小走りでその場を後にした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「…まずは、今回のバラバラ遺体の犯人の方から聞こう。」


「ああ、俺から説明する。」


場所は変わり、龍堂神社。

ババアの執務室だ。

俺、姉さん、アカネ、杏、ババアの5人。

人間が揃ったところでババアが会話を切り出した。


「男の素性もある程度分かっている。俺と姉さん、アカネが通うウチの学校の体育教師をやっていた男だ。」


「なんですって!?一体誰なの?」


「え~っと、名前は…ごめん。忘れたけど、1年をメインで見てる、若い男の先生だよ。よく教頭と一緒にいるイメージかな。」


「1年がメインで体育教師…藤沼先生じゃないか?」


「あっ!そう、それ!」


アカネの言葉に俺も思い出す。

そういえばそんな名字だったはずだ。


「…なぜ藤沼先生が…。気さくで良い先生だったのに…。元から鬼憑きとして、学校に潜伏していたの?それとも…」


商いおじさんやトリニティという存在そのものを知らない狩人たちでは考えても平行線になるだろう。


にしても、『気さくで良い先生』か。


「姉さんは話したことがあるの?」


「ええ。よく向こうから挨拶をしてもらえたし、物を運んでいる時に声をかけてきて、運ぶのを手伝ってもらったこともあるわ。」


「そっか。」


おそらくは下心だな。

実に小物らしく、良い顔で姉さんに近づいて下品な目で見ていたのだろう。


そんな蛆虫は死んで当然だ。


「俺はあまり接点がなかったからそこまでだけど、残念だね。鬼憑きとなった先生は…俺の予想にはなるけど、恐らく大気か何かを圧縮する力。そしてそれを解放したときに発生する圧力を操れる力だったんだ。被害者が漏れなくバラバラなのは内側から圧力を膨張させて吹き飛ばしたんだと思う。俺みたいに防げる手立てがなければどうしようもない、強力な力だったよ。」


「…そう。ユウ君は大丈夫?初めて、その…」


初めて敵を殺したが大丈夫か?


姉さんはそう聞きたいのだ。

だから俺は用意しておいた答えをそのまま言う。


「…覚悟はしていたけど、やっぱり少しきついね。躊躇をしちゃダメだっていうのは分かってるけど、こればっかりは場数で慣れていかないとかな。」


「そう…、そうよね。我慢とかしないで苦しい時は私に言うのよ?」


事が事だけに姉さんも心配だろうな。

実際は欠片も心配事などないのだが、それはそれで姉さんに別の不安を与える可能性もあるので下手なことは言えない。


「なるほどな。被害者の欠損部位の断面からして切断によるものではないのは分かっていたが、そんな特異な力を使う者がおるとはな。」


「そうですね。混ぜる鬼憑きの時もですが、視覚による判断ができないのがとても厄介ですね。殺傷能力も高い。」


ババアが納得したように頷き、杏もそれに追随する。

そして少しの沈黙を挟み、再びババアが口を開いた。


「それでだ。今回のイレギュラーの鬼憑きについてだが、どうなのじゃ?アカネ。」


もはや今回の事件より重要な案件となった、新たな脅威の出現。


クロとユキによる、アカネへの強襲。


「あれは危険すぎる。ヤツはアタシより速く、破壊力も並みの鬼憑きとは比べ物にならない。その2つだけでもとんでもない脅威だが、それよりヤバイのがすり抜ける能力と瞬間移動だ。…そうか!今思えば最初の不意打ちも…。」


「待て!」


アカネは敵の脅威を説明するが、堪らずババアが待ったをかける。


「アカネ。お前より速い、というのはどういう意味じゃ?お前には【超越】があるじゃろう?」


当然の疑問だろう。

というか、俺含めこの場にいる全員が気になる。

確かにクロはとんでもない速さなんだろうが、アカネの権能はそれを越えてくるはずだ。


ババアもその認識だからこその質問だと思うが…


「アタシも最初は勘違いだと思った。だけど、間違いない。あの鬼憑き…クロにはアタシの【超越】が発動しない。」


「なんじゃと!?一体どういうことじゃ!?」


驚愕の事実。

それはとてつもなく重要な要素だ。


「アカネの勘違い、ということはないの?アカネ程度の速さを持っていたのは間違いないのだろうけど、アカネより速くなかったんじゃないかしら?実際には。」


そう言うのは杏だ。

敵が想定より速すぎたために、アカネが自分より速いと勘違いした可能性。


「俺もそう思う。そもそもアカネより速いってのが俺には想像がつかない。」


一応そう言っておくが、実際のところは分からない。

ただ、俺が考えるにアカネの【超越】というのは絶対のものだ。

場合によって発動しない、なんて中途半端なものではアカネは今の位置にはきっといないだろう。


「アカネ自身は速くなっているけど気付いていない…ということはないのかしら?比べる相手なんてもはやいないでしょうし。」


確かに。

姉さんの意見も最もだ。

自分が世界一速い存在であったとしても、それを比べる相手がいないのなら確かめようもない。


「いや、間違いない。確かにアイツはアタシより速くて、【超越】も発動しなかった。」


「なぜそう言いきれるのだ?」


ババアが代表して皆の疑問を意見する。


「言ったところで誰にも分かってもらえないから言ったことはなかったけど、アタシが【超越】を発動させたとき、自分の中に…なんて言うのかな、力が流れ込んでくるんだ。その感覚の後、アタシはもう相手を越えていた。でも今回はその感覚もなかった…戦ってるときは気付かなかったけど、間違いない。それにアタシが避けることもできずにガードせざるを得ない段階でアタシより速いのも確実だ。」


「その話が事実なら…」


その話が事実なら、クロは…いやシロもだろうが、アカネにとっての天敵となり得るかもしれない。


「どうやって、ソイツを倒せば良いんだ?」


勝てる。

アカネにも勝てる。


考えてみれば、シロとクロには俺の読む力(リーディング)すらも通じない。

神通力の無力化(ニュートラライズ)をまだ扱えなかった時はババアの【領域の操作(エリア・コントロール)】で防がれたことはあるが、そうでなければアカネ相手にも問題なく通用する力だ。


やはり、たまたま効かなかったのではない。


あの2人が、異質で、特別なのだ。

ユキよりも、俺よりも、【超越】すらも越える、圧倒的イレギュラー。


ひょっとしたら俺の【神通力の無力化(ニュートラライズ)】も通じないのではないだろうか?

協力関係を結べていなかったらと思うとゾッとする。


「そうね…アカネより速いというのなら、少なくてもアカネ以外の狩人では認識する前に殺されるだけでしょうね。アカネに堂々と喧嘩を売って、いとも簡単に逃げ切れる存在なんて考えたこともなかったわ。少なくても、私や神楽じゃ絶対に勝てない。ユウト君は未知数だけど、油断してるところを狙われたら絶対に攻撃を防げないと思うわ。人間の反射速度でどうにかなるものとも思えないし。」


杏の分析には心から同意する。

俺の直感、敵対するべきではないというのは正しい選択だった。


「…非常に由々しき事態じゃ。それが事実として、それに加えてすり抜け能力と瞬間移動を使いこなすとは…。そんなもの、打つ手がないではないか。」


「それに関しては少し腑に落ちないことがあるんだ。」



話は、脅威はまだ終わらない。


この度、本作品

『退屈は僕を殺したい』

ですが、

PV3000を突破いたしました。


最初は完全趣味の自己満足作文でしたが、予想外に見てくれる人がいて、考え直して過去の拙い文章の添削に翻弄する日々。


本当にありがとうございます。

今後とも精進して参りますので、

どうぞ長い付き合いをよろしくお願いいたします。


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