最強(アカネ) VS 怪物 & 闇女(クロ&ユキ)
お疲れ様です。
過去のエピソードを見直してテコ入れ進めていますが、酷すぎましたね!
当初は本当に趣味で書き進めてたものを保存するくらいの気持ちでここに書き込んでいたので、添削も【できるだけ】という形でした。
現在章の設定も行い、第一章(ep.11までかな?)まではテコ入れも完了しておりますので、よろしければご一読していただけると嬉しいです。
『いい?最初に不意打ちだけして、後は牽制しながら逃げ回るのよ。間違っても正面から打ち合おうなんて考えてはダメ。分かった?』
現在位置は駅前にある一番大きいビルの上、
ユキの力でクロと一緒に潜伏している。
ここに来る前に準備を終わらせ、ユウトがテスト会場に着くまでの待機中というわけだ。
例のオモチャと呼ばれる鬼憑きによって、組織にツケがあった…という者を2名程殺害、ユウトがこの前戦闘を行った場所に放置された。
その後に結界をわざと目立つように大きく張り、即座に撤収。
ユキの力により、制限付きで鬼憑きの男も現場に隠蔽しているので絶対にバレることはない。
ちなみにその男は最初にユキを見た時は下品にも劣情を催し、『俺の女になれ』などと妄言を吐いていたが、シロに一睨みされたところすぐに大人しくなった。
おそらくは過去に相当絞られたのだろう。
反抗する気は全く起きないようで、『すみません!!』とすぐに謝罪してきた。
どうやら偶然にもユウトの通う学校の教師であったらしく、天地神楽のことも知っているようなので、彼女以外の狩人なら殺せというシロからの命令だけ残して男は置いてきた。
そうして準備が完了し、ユウトを含め狩人達が出てきてたのでユウト以外の狩人達を呼び寄せやすいように街の中心部の駅近くに潜伏しているという状況であった。
ちなみにそのメインターゲットである龍堂茜だが、なんと同じビルの屋上…すぐ目の前にいる。
ユキの隠匿能力は完璧なので、シロとクロ、ユウトを例外として見つかることはない。
しかし、目の前に目標がいることでクロを制止するのが大変に困難なのだ。
再三の確認になるが、クロに対して何度も龍堂茜に関する注意をするが、本人はどこ吹く風…という様子であまり真剣に聞いてくれない。
「分かった分かった。大丈夫だから信じてくれ。」
「本当に大丈夫かしら…。」
「任せろ。絶対にワタシが勝つ。」
やはり何も分かっていなかった。
正攻法では勝てないと口を酸っぱくしているが、どうにも伝わってくれない。
それともまさか、正攻法ではない秘策でもあるのだろうか?
…おそらくそんなことはないでしょうね。
龍堂茜が少しでも攻撃の姿勢をとったら私がこの子を隠すしかないわ。
リンクはもう出来ている。
この子が何をしようといざとなれば強制的に…
「ん?」
龍堂茜が反応する。
集中力を欠きすぎた!
今はシロとも回線を繋いでいるからいつもより集中しないといけないのに!
慌てて力の制御に集中する。
「んー、多分気のせいだ。」
とりあえず誤魔化せた。
まぁ仮に何かがいると感づかれても、クロの時と同様にこちらが攻撃を受ける可能性はないのだが。
そんなこともありつつ、ヒヤヒヤしながらクロを宥めていたが、遂にそのときは来た。
『ターゲットと接触。作戦開始よ。』
「よっしゃっ!!」
待ってましたと言わんばかりにクロが自身の拳を握る。
ユキもこの際、クロと組んだ場合で龍堂茜相手にどこまでやれるかを確認しておこうと意識を切り替える。
「せーので行くわよ。準備はいいわね?」
「いつでも行けるぜ!相棒!」
会って3日も経っていないというのに、気の良い子というか単純というか…。
少し、自分も気を張りすぎていたかもしれない。
そうだ。
龍堂茜が最強と呼ばれようとも、私だって特別なんだ。
それにクロだっている。
御して見せる、私たちで。
「OKよ相棒。どうせ死にやしないから最初から全力でぶちかましなさい!…せーのっ!」
2人のタイミングは完璧。
端に立っていた龍堂茜をビル屋上から強制的に地上に叩き落とすことに成功する。
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突如として後頭部を殴られる。
いや、実際には殴られたのかどうかも分からない。
とてつもない威力で斜下方向に吹き飛ばされ、噴水広場に叩きつけられる。
その衝撃で噴水周りは無惨に破壊され、アカネ自身地面に少しめり込む形となる。
何がなんだか分からなかったが、攻撃を受けたという事実だけは理解していた。
背後を取られた気配は一切なかった。
こんなことは初めてだ。
以前、今の最高速を手に入れることになった鬼憑きとの戦闘の時も避けられなかっただけで、寸前で気付くこと自体はできた。
しかし、今のは違う。
殴られる瞬間まで全く気付けなかった。
コレは明らかな異常だった。
何がいる…?
地面からめり込んだ頭を引っこ抜く。
怪我はない。
というか痛くもないが、この場合問題なのは自分以外のことだ。
時間も時間とはいえ、駅前だ。
轟音に気づいた付近の者がこちらを見ている。
このままでは危険なので結界を張る。
とりあえずこの場から一般人は離さないといけない。
このままでは何人も巻き込まれて死ぬことになる。
過去一番、危険な相手だ。
幸い、結界を張って一般人を追い出す最中に追撃はなかった。
敵の目的は虐殺ではなく、自分であると認識する。
「おもしれぇっ!!」
人払いも完了し、上に視線を向ける。
ソレは黙ってこちらを見下ろしていた。
小柄な少女だった。
しかし、普通ではない。
真っ白な髪、腕先にも白い体毛に覆われ、そして何と言っても頭の耳。
「……コスプレ?」
見た目も可愛らしい女の子が猫のコスプレをしているとしか言いようがないが、その危険度はもう疑う余地がない。
おそらく、自分以外のほとんどの狩人が相手に出来ないレベルだろう。
【3位以上】のメンツならいけるか…?
いや、とりあえず集中だ。
コイツは絶対に逃がしてはいけないヤツだ。
この場にいない者のことを考えていてもしょうがない。
この怪物をこの場で倒すのが自分の責務であることを強く実感する。
…にしても、なんだあのモヤモヤは?
すごい嫌な感じだ。
その少女が纏っている黒いモヤモヤ。
オーラのように白い少女の周りにあるが、
それ単体で異質な気配を放っている。
「お前、名前は?」
会話をする気があるかは分からないが、問いかけてみる。
「ワタシはクロだ!…えっ?名乗るなって?」
普通に名乗ってきた。
が、その後によく分からない独り言を言っている。
なぜか少し気落ちした様子で正面に降りてきた。
「とりあえず、龍堂茜!お前をぶっ飛ばす!他の狩人も呼んで良いぞ!」
よほど自信があるのだろうが、自分を相手に仲間を呼んで良いなどと宣言をしたのも目の前の存在が初めてだ。
しかし、来られるとマズいな…
神楽やユウトでもかなり危険だ。
他の4人では話にもならないだろう。
そう思って杏にこの場に近づかないように言おうとしたが、先ほどの衝撃で通信機も破壊されてしまっている。
「来ないならこっちから行くぞっ!」
速いっ!?
真正面から向かってきたのに避けることも叶わず、ガードせざるを得ない。
あまりの衝撃に後ろに3m程引きずられることになるが、おそらく他の人間ではとんでもない距離を吹き飛ぶことになる…いや、その鋭さにその場で身体に風穴が空いていたかもしれない。
何にしても相手を確実に殺せる攻撃だ。
この時点で分かったことがある。
それは、自分より速いということだ。
火力に関しても自分に引けを取らない。
正真正銘の怪物だな。
こんな目立つヤツならもっと噂になってそうなもんだが…
「お前、一体どんな身体をしてるんだ?殴ってるこっちが痛いぞ!」
こっちに怨み節を言ってくるその鬼憑きは、自分の理不尽さを考慮していない。
「お前こそ、速すぎだ。それだけの力を持って今までどこでコソコソと生きてきた?」
そう言われたことが嬉しかったのか、
少女は無い胸を張り、自慢を始める。
「そりゃそうだ!ワタシとシロは最強……えっ?あっ、ごめんって…。」
さっきから何か様子が変だが、明らかな隙だ。
神楽やユウト、他の狩人が来る前にコイツを殺り切る。
「今度はこっちから行くぞ!」
こっちも最初から全力で。
最高速…先程までの自分の最高速よりさらに速い速度で少女に向けて拳を放つ。
少女も驚愕した表情で慌ててガードを選択したようだが甘い。
避けられなければ一発で倒せる。
絶対の自信があるし、事実これまでの敵はほぼ一発で倒してきた。
ガードなど関係ない。
必殺の攻撃だ。
だから、目の前の光景が受け入れられない。
自分の必殺の拳。
それがガードされるでもなく、
避けられるでもなく、
すり抜けている。
コレが、コイツの神通力かっ!?
次の行動が読めないので一旦距離を開ける。
不可解なのは、少女自身とても驚いている表情なことだ。
それだけじゃない。
「今のが、アタシの最高速度か…?今までと変わらない気が…」
この少女が自分より速い、速かったのは間違いない。
だからこそ、【超越】の権能によって今の自分の速度はそれを超えるはずなのだが、違和感を感じる。
速すぎて自分でも分かっていないのか…?
そんなこと、今までにも無かったはずだが。
「び、びっくりしたぁ~!ワタシと同じくらい速いんだな!にしてもスゴいな!ユ…」
バチンッ
急に少女が、まるで何かに頬を叩かれたかのように顔を背ける。
「ご、ごめんって…。」
先程から独り言がおかしい。
まさか、他に何かいるのか?
周囲に気を配る。
特に神通力などは感じないが…
「あれ?アイツどこに…」
瞬間、後ろから殴られる。
意味が分からない。
周囲に少し気を配っただけで、別に目の前の少女から目を反らしたわけではない。
なのに、いなくなったと認識した瞬間に後ろから殴られた。
これを説明できる能力は1つしかあり得ない。
「アタシ並みの速さに力、それに加えてすり抜けに瞬間移動だと!?バカ過ぎるだろ!!」
今のは絶対に速いとかそういう概念のものではなかった。
こんなヤツどうやって倒せばいいんだ!?
逃げに徹されたらどうしようも…
策も、何も浮かばない。
そういうのはユウトの得意分野だ。
しかしユウトはこの場にいないし、来たとしても危険すぎる。
守れる保証すらない。
どうしようかと考えていると、その時を迎えてしまう。
「え?テスト終了?これから面白くなるところだったのに…。」
少女が構えを解いてしまう。
マズい!逃げる気か!?
しかし、それに気づいたところで止める術など無い。
「じゃあな、龍堂茜。また戦おうなー。」
「待てっ!!」
またも最高速で拳を入れるが、そこにいたはずの少女はもうどこにもいない。
「逃げられたか…。なにも、できなかった。」
後に、龍堂神社に所属している4名の狩人の無惨なバラバラ死体の発見と、それをやった鬼憑きをユウトが討伐したという知らせが入ることになる。
そしてこの日、最強の本気からいとも易々と逃げる鬼憑きが出たと、狩人協会で最大警戒態勢が取られることになるが、それは当然に何の意味も為すことはなかった。




