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退屈は僕を殺したい  作者: おどろん
第五章 組織襲撃 編

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異常事態

『ユウト君!神楽!捜索は一旦中止!!今すぐ駅方面に急行して!細かい場所は向かいながらで!それぞれ説明するわ!』


「了解!」 『了解!』


アカネに不意打ちを与えるなど余程の事だ。

先ほど考えていた二体の鬼憑きが再び頭を(よぎ)る。



やはり、あいつらなのか…?

それとも別の…



あんな恐ろしい存在が他にもたくさんいるなんて考えたくはない。

そもそもアカネに攻撃するメリットは?

アカネを倒す算段でもあるのか?

俺という例外的な存在でないと、殺すのはおろか怪我を負わせることすら不可能では…?

考えることが多すぎて思考が乱れる。


思考は冷静に、行動は迅速に。


深く呼吸をして、思考をクリアに戻す。

今はひとまずアカネの方に向かう。

動きながらでも考えることはできる。

俺は駆け出す。


動きながらでも考えることはできる。

状況を整理しろ。


今回のバラバラ死体の事件。

前回発生した鬼憑きと戦闘した場所。

そこで犯人はわざと結界を張り、鬼憑きの存在をアカネに…狩人に補足させた。

その街にいる狩人、俺たちがその捜索、討伐に当たるのは当然の流れだ。

そして、無敵のアカネが不意打ちを食らう。


これは、偶然ではない。

…誘導されている?


今動いている狩人は俺と姉さんにアカネ。

そして龍堂神社に所属する数名の狩人。

俺たちはソロで、他は例の雑木林一帯を見回っている。

しかし、たった今状況は一変した。

杏が俺達以外の者とやりとりしている声が聞こえてくる。

おそらくは雑木林のほうの狩人達だろう。

アカネの方に戦力を集中させるため、召集をかけているのだろう。


付近の狩人を炙り出し、1ヵ所に集める…?

集めることが目的…狩人を一網打尽にするため?

いや、ただでさえアカネがいるのにわざわざ敵を増やすのはナンセンスだ。

つまり、真の目的から目を逸らさせるため?

真の目的は…


考えても分からない。

答えを出す材料が足りない。

ただ嫌な予感だけがヒシヒシと感じられて非常に気持ちが悪い。

姉さんの方には異常はないだろうか?

アカネはなんだかんだできっと大丈夫だろう。

しかし、姉さんに同様の危機が訪れない保証はない。


「姉さ…」



「見つけた。アナタが天地優人ね。」



初めて聞く声だ。

透き通るように美しく、そして優しい声だ。

読む力(リーディング)に頼らずとも感じるその異質な空気。

それには覚えがあった。


「自己紹介をした覚えはないが?」


ゆっくりと振り返る。

そこには立派で艶がある漆黒の翼を広げた女が立っていた。

少し露出が多い格好をしているから目のやり場に若干戸惑うが、当人は気にした様子もないのでこちらも特に目を伏せたりはしない。

スタスタとこちらへゆっくりと歩み寄ってくる。

その主張の激しい翼と作り物を疑うような整った顔立ち。

それ(ゆえ)だろうか。


あまりに()()()()()()()


「驚かないの?どうやら肝が据わっているようね。」


感心したように言う鳥女。

それにしても最近は背後をよく取られる。

やはりというか、こいつにも読む力(リーディング)が発動しないようだ。

一体どういうカラクリなのかが全く分からない。

目の前まで来た鳥女は俺の顔右側に左手を添える。

端から見れば恋愛映画のワンシーンにも見えるだろうが、実際は蛇に睨まれた蛙だ。

女は動けない俺の右耳に指をかけ、インカムを取り外す。

とりあえず即座に殺されるということはなさそうだから神通力の無力化(ニュートラライズ)はまだ使わない。

無駄に不興を買うことはないだろう。


『ユウト君?どうしたの?誰かと話しているの?』


外されたインカムから杏の声が漏れでていた。

鳥女は面白そうにこちらを覗き込んでいる。

少し距離が開いているので大きめの声で話しかけた。


「杏さん。鬼憑きと思われる怪しい存在を確認しました。戦闘行為は避けて尾行だけして調査をします。かなり警戒心が強いようなので、一旦通信のほうも切ります。アカネの方はよろしくお願いします。」


『えっ?ちょっ、ユウト君!?』


鳥女の手からインカムをひったくり電源を落とす。


「それで?俺に何か用なのか?」


目的を聞き出す。

目的が話し合いというのならこちらとしても願ったり叶ったりだ。


「アナタに会いに来たのよ。クロが気になってるっていうね。」


「クロ…。あの白い獣みたいな女だな。」


「あら?名前まで聞いていたのね。あの子が他人を気にかけるなんて珍しいから、私も興味を持ったのよ。」


「そうか。じゃあ会えたからこれでもう用件は終わりか?」


俺がそう言うと、呆気にとられたのか少しフリーズしたが、クスクスと笑い始める。


「クロの言う通り、どうやらとても面白い子のようね。」


「さっきから言動がフワフワしてて要領を得ない。アンタの目的は…」


「シロよ。」


「…ん?」


「ワタシはシロ。アンタ…じゃなくシロと呼びなさい。」


今までで最も強い圧を感じる。

名前なんてどうでもいいとも思うが、本人にとって何か重要な意味があるのだろう。


…ってか本当にシロっていうのかよ。


つい最近口にした冗談が的を得ていたようで少し驚いた。


「じゃあシロ。目的はなんなんだ?」


そう聞くと先ほどまでの圧は消え去り、シロは再び笑みを浮かべて語り出した。


「ユウトのテストをしに来たのよ。()()()()がどういう存在なのかを確かめるためのね。」


「なんだと?」


それは一体どういう意味だ


そう言う前に()()()()羽交い絞めにされる。

正面にいたはずのシロが後ろから俺を拘束していた。


デタラメだ!!速すぎる!?


「テスト会場に招待するわ。()()を使ってはダメよ。」


少し抵抗してみたが、少なくても腕力では話しにならないようでまともに腕も動かせなかった。

苦しいほど強く締め付けられているわけではないが、こちらが力を込めたと判断すると即座に拘束力が強くなり、何もできなくなる。


ひとまずは流れに身を任すしかないか…


「じゃあ行くわね。暴れると危ないから大人しくしていなさい。」


そう聞こえたかと思うと、つい最近味わった暴風圧を一身に受けて景色は目まぐるしく変わっていく。



お疲れさまてます。

最近は管理画面を見ることも少し増えてきたのですが、投稿をしてから気付けば半年が経とうとしています。

一時期は1ヶ月ぐらい更新もできずにいた時もありましたが、最近はようやく安定して書けるようになってきました(自称)

少しずつでも毎回見てくれる人がいるようなので、正直とっても嬉しいです。

今後ともよろしくお願いします!

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