特訓 ー 神通力の無力化 ー
ルビが打てることを初めて知りました(笑)
以前のエピソードもちょくちょく直していきたいと思います。
強調したいのに全部『』の表現を使っているので、なんかくどいかなぁ…なんて考えていたので助かりました。
訓練パートもう少し続けますが、日常パートも入れていきたいですねぇ…
あー。時間がねぇ…
「姉さんが、悪と定める…?」
それはつまり、
姉さんが相手を悪だと認識すれば、その炎は相手を燃やす力を発揮するということか?
善悪の判断に、敵の意思や第三者からの視点は一切関係ない。
姉さんが悪と定めたもの、それが【悪】なのだ。
確かに、姉さんが『好きではない』と言っていた意味はよく分かった。
性格的に、受け入れにくい能力だろう。
「なるほど、でもこんな熱くもない炎で鬼憑きに効くの?それとも姉さんが悪と認識した途端に高熱になったり?」
「いいえ、温度は関係ないの。熱くはなくても、私が悪と定めるものは炎に触れたところから徐々に燃え広がり、焼失し、最後には灰も残らない。善悪の判断を私の裁量で決めて、相手を断罪。この世から消し去る。神の真似事みたいな、傲慢な力なの。」
「そっか。杏さんも言ってたけど、やっぱり姉さんの能力もすごいんだね。姉さんは自分の力を好きになれないみたいだけど、俺は姉さんにふさわしい力だと思う。…これも杏さん、言ってましたっけ?」
杏に視線を向けると微笑みを返される。
しかし、姉さんは逆にショックを受けてしまっているようだ。
天地神楽には傲慢な力がふさわしい
…と思われたとでも勘違いしているんだろう。
「姉さん。俺はこの力にふさわしい人種…というより条件かな、それは2つだと思う。」
「2つの条件?」
「うん。まずは当たり前だけど『善悪を判断できること』だね。姉さんはとっても優しくて、強い芯もある。極めて品行方正だし、人間性に一切の問題もない。姉さんの判断は基本的に大多数の人に支持されるものだと思うよ。そして一番大事なもの、それは迷う心だ。」
「迷う心?」
「うん。おれは鬼憑きなんて闇女を除けば1体しか見たことないけど、人を食い散らかしたりしているような化物だ。そんな恐ろしい存在、普通は誰でも『いないほうがいい、消えてしまえ』と考えるはずだ。でも姉さんは多分、そんなやつでも躊躇してしまうんじゃないかな?」
「それは…」
もちろん姉さんが狩人として今まで無事で、今ここに生きているということは最終的には敵を断罪してきたのだろう。しかし、姉さんのことだ。必ずそこには『迷い』があったはず。
「確かに一方的に善悪を判断して、一方的に断罪する。そこだけ聞くと傲慢というにふさわしい。使い手に『迷い』がなければやがて、まさに傲慢の象徴のような存在なるだろうね。でも姉さんは違う。誰が見ても『悪』な存在にも、元が人間と考えるだけで躊躇してしまうその迷いこそが、『傲慢』に支配されずに姉さんのままであり続けられるための素質だと思うよ。姉さんがそのままであり続けられる限り、姉さんは選択を、判断を誤らない。何故なら姉さんのそばには俺たちがいるからね。」
「ユウ君…ありがとう」
姉さんは少し瞳を潤ませながら礼を言った。
「す、すごいわユウト君。私もよく神楽を励ましていたけど、なんというか…言語化?
そこまでうまくできないわ。これも兄弟愛のなせる技なのかしら。」
「神楽のことになると無限の可能性を引き出すんだ、ユウトは。」
姉さんは目元を指で拭い、先ほどまでの不安な様子は全くない様子で俺に向き直る。
「雰囲気を暗くしてごめんなさい、ユウ君。もう大丈夫よ。早速修行に入りましょう!」
「はい、姉さん。よろしくお願いします!」
パチパチパチパチ…
何故か後ろの観客2人から拍手が起きるが、無視しておこう。
「ではまず最初に、この炎を消してみましょう。」
そう言って姉さんが手の上の炎のサイズを小さくした。
ゴムボールくらいの小さなものだ、息を吹きかければすぐにでも消えてしまいそうだが。
試しにと思い、フッと短く息を吹きかけてみるが、その小さき炎は揺らぐことすらしなかった。
「こんなに小さいのに、全然消えないね。」
「フフッ、ユウ君ったら。息なんかでは消えないわ。さっきは言いそびれたけれど、私の炎はどこにでも発生させられるし、風ではもちろん、水の中でも真空下においてすらも絶対に消えることがない。私が悪と定めたものを焼き尽くして消滅させるまで。だから消すにはユウ君の能力…神通力の無力化の力を使うしかないわ。」
さりげなく言ったがとんでもない性能だな。
『どこにでも発生させられる』が言葉通りの意味なら、実質防御不可能の一撃必殺技なのではないか?
ユキが危険な目に合わないよう、今後、条件や弱点のようなものを把握しておかなければ。
「なるほど…でも俺は力の使い方なんて分からないよ?」
「問題はそこね。でもユウ君は一昨日、アカネを殴り飛ばしてケガを負わせたわ。あれは力を発動させた何よりの証拠。あの時の感覚を思い出すの。」
「あれは痛かったなぁ…」
「あんたが思い出してどうするのよ。」
あの時か…。
あの時はとにかく必死だったことしか覚えていない。
自分が死の寸前だったという事実。
その窮地に追い込んだアカネに対する激しい怒り。
「あの時は、何が何でもアカネをぶっ飛ばしてボコボコにしてやりたいって思ってた。」
「…やっぱり修行やめないか?なんか怖くなってきたんだが。」
「あきらめなさい。あれは確信があったとはいえ、ユウト君に本気の攻撃を仕掛けたアカネに責があるわ。」
「…ぐすん…。」
「トリガー的には焦りとか、怒りとか…ピンチな状況ってことかな?少年漫画とかだとそういうのは結構多いよね。」
「私はユウ君ではないから分からないけど、少なくても明確な意思は必要だと思う。例えばアカネの時は『アカネを殴る』という思いに【神通力の無力化】が答えた結果が、アカネの防御を打ち消したことに繋がっているのだと思うわ。だから少なくても『この炎を消す』という思いを強く持っていたほうが成功の確率は間違いなく上がると思う。なんなら言葉に出してみても良いんじゃないかしら?何事も挑戦よ。」
「なるほど…。」
とりあえず何も分からないんだ。
試せることは全て試そう。
「炎、消えろ!」
俺が手を炎に向けてそう叫んだ瞬間、炎はフッとすぐに消えた。
…なんてことは当然無く、相変わらず揺らぎもしない。
別にそんなことで落ち込みはしないが、後ろから腹立たしい笑い声が聞こえてきた。
「ぷぷっ…ユウトだっせー♪『炎、消えろ!』だって…厨二病かよ、ぷぷぷ。」
「アカネ、消えろ!!」
ブォン!
本気の拳をお見舞いしたかったがギリギリで避けられる。
「うわっ!何すんだ!?危ないだろユウト!」
「おい避けるな。修行にならんだろう。」
「洒落にもなっとらんわ!!」
「アカネ、ユウト君の修行の邪魔をしちゃだめよ。」
まぁ悪ふざけはともかく、正直自分で何か力を使ったという感覚も一切起きなかった。
何かコツみたいなものが分かればいいのだが。
「杏さん。力を使うときには何かコツのようなものがあるんでしょうか?」
「あるにはあるわ。神通力っていうのはね、魂の奥底に宿っているの。混ざっていると言ったほうがいいかもしれないわね。で、神通力を扱うというのはその奥深くから力を引っ張ってきて表に出すような行為ね。体の芯のところにある『力』を体全体に引き伸ばしていく感覚…そうね、一般的に使われている言葉で言い表すなら『体の芯から温まる』という表現が一番近いかしら。」
「なるほどですね。ありがとうございます。」
『混ざっている』か。
ユキもその表現を使っていたな。
胸の‥心臓辺りに意識を集中させる。
熱でも痛みでもなんでもいい。
何か違和感を感じられれば…、
しかし現実は無情である。
その後、10分程自分の中にある『何か』を探してみるものの、何の手掛かりもなく時間だけが過ぎていった。
3人とも黙って見ていてくれているが、それぞれから諦観の感情が流れてくるのが分かる。
別に呆れられたとかではないだろうが、期待をされていた以上は何とか少しでも結果を出したいが…、
杏や姉さんは少し苦笑いの表情である。
まぁ初日だし、無理に決まっている。
最初からできなくてもしょうがない。
そんなところだろうか。
対してアカネは顔に『もう飽きた』と書いてあるレベルだ。
そのふざけたツラをぶん殴ってやりたいが、今の俺ではアカネに対して何もダメージを与えられないだろう。
そんなことを思っていると、ふと疑問が生じる。
アカネに攻撃が効かないのは衝撃を神通力で防いでいるんだよな?
ならば不意打ちは効くのか?
いや、そんなことはないだろう。
こいつはおそらく常に神通力を纏っているんだ。
出力やら容量やらは知らんが、こいつの馬鹿げた力はそれこそ睡眠時でさえも発揮されているんだろう。
つまり今もアカネには膨大な神通力が体を駆け巡っているんだ。
「…………」
「な、なんだユウト?そんなに無言で見つめられても、これ以上アタシの好感度は上がらないぞ?」
「……………………」
「2人の前なのにず、随分大胆じゃあないか?いや、まぁアタシは構わないんだけど…。」
「ユ、ユウ君?どうしたの?そんなにアカネを見つめて…」
「ユウト君…ついにアカネの無駄にある色香に引っかかって…」
周りが騒がしいが無視してアカネに近づいていく。
そのまま硬直しているアカネの両手をそれぞれの手で摑む。
アカネの手はビクッと震えた後、弱弱しく引こうとするもがっしりと抑える。
「!ユ、ユウト!?本気…なのか?」
「黙ってろ。」
「は、はい…」
何故か敬語のアカネは目を閉じる。
それと同時に背後の二人から絶望のような感情が雪崩れ込んできたが、なぜかよく分からないし、今はこっちが大事だ。
アカネの手に意識を集中させる。
アカネとの接触は長い付き合いだし当然何回もあるが、これまで特に何か特別なものを感じたことはない。
しかし、今は違った。
ユキや姉さん、杏にアカネ。
それぞれの力を見て、体験してきた俺はアカネに流れる力、言葉で説明することのできない、不思議な感覚を知覚することができた。
コレを…消す!
心の中で強く念じる。
先ほどまで強く感じていたアカネの力が途端に感じられなくなる。
「ん?」
アカネも違和感を感じたようだが、まだ何が起こったかを正確に把握していないようだった。
その隙をついて自分の指に意識を集中させ、目の前にあるアカネのおでこに『軽く』デコピンを食らわす。
「いたっ!?……え?」
俺が本気で脛を蹴り上げた時と似たようなリアクション。
どうやらうまくできたようだな。
「姉さん、また炎を出してくれるかな?」
「え?…ええ、分かったわ。」
姉さんが先ほどのように手の上に炎を発生させる。
俺はその全く熱を持たない炎に手を被せると、アカネとは少し違う感じではあるが、確かに『力』を感じた。
そしてアカネの時と同様、それを消すと念じると同時に炎はすぐさま消失する。
「えっ…嘘…。」
「信じられない…。」
姉さんと杏子から驚愕している様子がうかがえる。
そして直後に背後、左右の3方向から攻撃の気配が来る。
攻撃と言っても害意は全くなく、おそらくは確認程度の力。
当たっても痛い程度で済むだろう。
気配の強さ、つまり順番に来る攻撃をそれぞれ俺に到達したタイミングで消していく。
「…神楽。この子、本当に何者なの?」
「わ、分からないわ。ユウ君は本当に小さい頃からなんでもできて…もう天賦の才としか…」
「天才って言葉じゃ済まないわよ!ありえないでしょ!」
「ありがとうございます、杏さん。手加減もしてくれていたようですね。おかげである程度急な攻撃でも対応できると分かりました。」
「ど、ドウイタシマシテ…。」
呆然としているアカネに振り向く。
「よし、アカネ。喧嘩しようぜ。鼻血出したほうが負けな?」
「いやいやいやいや。」
途端に俺を警戒して後退るアカネ。
実に気分が良い。
とりあえず能力の使い方自体は理解した。
後は応用を効かせられるようにしたい。
「姉さん、杏さん。とりあえず力の使い方は理解しました。後は力を行使する範囲を伸ばしたいんですが、これも何かコツのようなものは有りますか?」
「り、理解しましたって、あなた…。」
杏は驚きと…、呆れだろうか。
しかし、理解はできたのだ。
この単純に『力を消す』だけの修行は、もう必要ない。
「…ユウ君がそういうならもう問題ないわね。」
「ええ!?いいの、神楽!?」
「あなただって不意打ちの攻撃すら全くユウ君に届かなかったじゃない。」
「それはそうだけど…」
「とはいえユウ君。ユウ君の才能を疑うことなんてしないけど、焦るのは良くないわ。応用に関しては明日からにして、今日はひたすら反復練習をしましょう。」
「反復練習?」
繰り返して精度を上げていこうということだろうか?
「ええ。精度を高めるということもあるし、神通力を打ち消すという力もまた神通力。アカネじゃあるまいし、限界は必ずあるの。それを確かめておく、という意味もあるわ。」
「なるほどね!流石姉さん!」
良かった。
もう力の使い方は理解したのだ。
精度を上げるためだけであれば、
なんの意味もない時間を過ごすとこだった。
おれは既に『触って消す』という使い方は完全に会得した。
自信過剰でもなんでもなく、自分でそれが分かる。
これ以上やっても何も向上なんてしないが、
ちゃんと限界を測る、という意味があるならそれは有意義な訓練となる。
「それでは、よろしくお願いします!いつでもいいですよ!」
それから日が暮れるまで3人の力を消し続けたが、アカネ以外の2人が先に限界を迎えることとなり、修行の初日は終わりを迎えた。
5/7テコ入れしました
↓は過去投稿時のものです
今さらだけど、
皆さんはとっくの昔に気付いてると思いますが、
エピソードタイトルのセンスが壊滅してます。
誰か助けてくれ…




