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退屈は僕を殺したい  作者: おどろん


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害虫駆除Part.2

決着はついた。

項垂れる豚を無視して、後でデータを送るために報道連中の代表者を決め、連絡先を聞いて解散した。

俺は映像データを入手するため、同じく解放されていた仲の良い(話したことも無い)警備員にお願いして難なくデータを入手することに成功する。

たったの三万で済んだ。

アイツらには一人五万程度で売りつけるつもりなので、最低でも二十二万は儲かる。提供するとは言ったが、ただでとは言っていない。だが確実に五万など取るに足らないほどの功績を生み出せる上に、出し渋った所で俺の気分を害する危険があるだけなので奴らは素直に金を出すだろう。

全く、いい商売だ。


しかしすぐに気が滅入る。


ちょうどデータのコピーが終わったスマホを操作し、再び録画状態へ。

これからのことを想像し、ため息が出る。

心配そうに顔を覗く警備員に大丈夫だと手を振り、その場を後にする。

映像を入手し、ガードマンボックスから出たところで、二人の男が待ち構えていた。

生徒ではない、教師だ。

ハゲ茶瓶の教頭、それと体育の…なんだっけ?教頭の金魚の糞だ。

二人ともこちらを厳しい視線で睨んできていた。


「おい、天地。お前、また問題を起こしたのか?いい加減にしろよ?」

「あちらの記者の男性から、お前から暴言、暴力を受けたという話を聞いている。詳しい話を聞かせてもらおうか?もし事実であるならば…、停学じゃ済まないと思え。」


教頭が指し示す方を見ると豚、もとい例の記者がにやけてこちらを見ていた。

心底呆れる。

こんなしょうも無いことで一矢報いたつもりになれるのか。

もはやこいつらなど無視でいいのだが、姉さんが通う学び舎にこんな愚図教師がいることは許容しがたい事実だ。

是正しなければならない、…追い出す方が簡単だがな。


「そいつは本校の女生徒に傷害行為を働いた、言わば犯罪者です。そんなヤツの言うことを鵜呑みにするんですか?この学校の教師は。」


呆れるように吐き捨てる。

それに腹を立てたのか、こちらの言い分を聞き入れる様子は無いようだ。


「…相変わらず目上の人間に対する態度がなってない奴だな。そんな戯言が吐けるのも今の内だぞ。」

「どうせその失礼な態度であの記者の方を困らせたのではないのか?あの姉を見習ってもっと品行方正に学生生活を送ったらどうだ?」


ブチ殺すぞゴミカスが…。

今日だけでとんでもなくストレスを与えられている。

もういい加減にしてほしい。

馬鹿に言葉で論じても意味が無いので、入手したばかりの映像を見せつける。

声は入っていなくてもそのシーンを見せてやると寸前までゴチャゴチャとぬかしていた教師たちは一発で押し黙った。

そして二人して豚野郎に目を向けると、バレたと察したヤツは必死にその短足を精一杯動かし、走って逃走した。

それを呆然と見送る2人、先に口を開いたのは教頭。


「全く。普段から態度が悪いから怪しまれるんだ。以後は気を付けるように。」

「あんまり外部の人間と問題を起こして学校に迷惑をかけるんじゃないぞ。」


そう言い残し、颯爽と去ろうとする二人。


「待てこらカスども。他に言うことは無ぇのか?おい。」


その言葉が自分たちに対して使われたことに理解が追いつかなかったようで、『えっ?』と言わんばかりの顔をしていた。


「謝罪は無いのかと、そう聞いてんだよカス。脳だけじゃなく、耳まで腐ってんのか?」


馬鹿には皮肉も通じないからハッキリ言ってやるしかない。


「貴様!教師に向かってカスだと⁉」

「大人を舐めるのもいい加減にしやがれ‼」


激高しているが、怒りたいのはこちらの方だ。

立場を分からせる必要がある。


「大体お前はいつもいつも…」

「さっきの俺がガードマンボックスのドアを開ける前から、俺のスマホは録画状態だ。お前らが意味不明な因縁を吹っかけてきて、今現在までが録画されている。」

「だ、だから何だと言うんだ?」

「分からないのか?教頭。先ほど逃げ出す記者を見て流石にお前ら低能でも理解できたと思うが、俺がさっき言ったことはすべて真実だ。その証拠となる映像や音声も明日にニュースとして大きく取り上げられるだろう。そういう手筈にしたからな。」


先ほどの記者に関する事実と今後発生することを明確にしておく。

すると見当違いなことで教頭が慌てだす。


「な、なんだと⁉メディアと保護者向けに説明会を開くと言っているのに、その前からまた余計な話題を増やす気か!勝手なことをしおって‼」


体育教師のほうは馬鹿すぎて話題について来ることさえできずに黙っているが、この教頭もまるで本質を理解していない。

だから教頭は無視して続ける。


「つまりだ。本来生徒を守るべき教師が誰もいない中で、見知らぬ大人たちに囲まれつつも、傷心しているクラスメイト女子を守るべく、立ちはだかる男子生徒。そして、事件が収束した後にノコノコやってきて、犯罪者の言うことを鵜呑みにして男子生徒に因縁を吹っかける愚かな教師たち。あまつさえ事実を認識した後でも、自分の非を認めて謝罪をすることすらできず、するのは面倒ごとに対する風評の心配だけで、肝心の被害にあった生徒や場を収集した生徒に対するケアも心配もない。それどころか興味すらない。そんな教師…いや、人間失格な二人組。それが今のお前たちだ。」


身の程を分かっていない愚か者に、純然たる事実を突きつける。


「な、なにを…」


何を言っているんだ、そんな風な言葉を出そうとしたのだと思うが言葉は続かない。

教頭は様々な感情によって混乱していた。

恐怖や怒り、悲愴、そして焦燥。

それらが激しく内側で渦巻き、正常に物事を考えられなくなっている。


「ま、まさかお前…、それもマスコミに…」

「マスコミだけじゃなく、PTAと教育委員会にも流すよ。」


その一言で完全に慌てふためく。

それはそうだ。

そんなことをしたら下手すれば…いや、結構な確率でこいつらの教師生命が終わりかねない。

おそらく処分内容的には減給程度で終わる可能性が高い。

だが問題はその話題性、つまりは世間的評価だ。

例の記者の件では明日のニュースでかなり盛り上がることは予想できる。

それに加えて生徒を守るべき教師が犯罪者の言いなりになって生徒を責め立てる様子はさぞ良い着火剤となるだろう。

懲戒処分とはならなくても、知らない人間から後ろ指を指され続けるようになっていずれは折れる。

それで耐えられるような根性を持つ人間ならそもそもこんな卑怯者にはならない。

逆に、面の皮が分厚過ぎれば大丈夫かもしれないけどな。


「お、おまえ…教師を脅す気か⁉」

「この卑怯者がっ‼」


停学じゃ済まんだとか、謝罪なしに逃げようとするカスが何を言っているんだ?


「まだ立場が分かってないのか?カスが。」

「た、立場…だと?」

「脅すと言ったな?これはお前らが始めた物語だ。俺は巻き込まれた被害者。降りかかる火の粉を払いたいだけ。お前らカスが纏わりついてこなければ俺は何もしなかった。する理由が無かった。そして卑怯と言うが、生徒を守るという教師として当然の義務を放置。碌に真相も確かめず、教師という権力を用いて事件解決に導いた生徒を一方的に責め立てる。そして謝罪もなく、捨て台詞だけ吐き捨てて逃げようとする。さて、どっちが卑怯なのか。そんなことも分からない馬鹿が俺や姉さんが通う学校の教師だと思うと情けなくて涙が出そうだぜ。」

「ぐっ………」

「戯言が吐けるのも今だけ…。そんな風に言っていたが、それは俺のセリフだ。あんたら、明日には『時の人』だ。あんたらの立場を考えると…さっきの記者、つまりは犯罪者のあいつより世間から叩かれるだろうなぁ。教頭、アンタ確か嫁も子供もいるよなぁ?教師が続けられなくなったら…どうなっちゃうんだろうなぁ?性格が終わってるし、元から家族仲もそんな良さそうなイメージは無いが…、この件が出まわったら…自分の子供に『こんな炎上ハゲ茶瓶なんていらない!』なんて…ククッ。いや、失敬。嫁さんにも『金も持ってこない、炎上ハゲ茶瓶なんて!』って…ハハッ。いや、スマンスマン。」


挑発全開で小ばかにしながら言ってやるが、リアルに想像してしまったのか。

怒りなんて欠片も湧いていなく、その心にあるのは絶望だけ。


「お、おれは…?」


体育教師だ。


「おまえは…知らん。金魚の糞らしく、教頭にずっとくっついて終わるか。離れて勝手に藻屑となるか。好きにすればええやん。興味ねぇよ。」


お前の未来などはどうでもいい、というか人から自分の未来を聞いて納得できるのか?こいつは。


「そ、それは困る…!」


ハゲ茶瓶が俺の右足にしがみつく。


「だからやるんだよヴァーーカ。離しやがれハゲ。」


右足を振ってハゲを払おうとするが、左足にも感触が。


「俺…、俺だけは許してくれ!お前に暴れられると困るって!人事評価上げるからって!教頭に言われてついてきただけなんだ!」

「おまえ!何を言って…⁉」


オッサン二人が俺の両足にしがみつきながら喧嘩を始める。

傍から見ていれば実に滑稽で面白いんだろうが、実際やられている身としては不快なだけだ。

せめてムサいオッサンどもじゃなく、美少女にしてくれ…


「お前ら俺に喧嘩売ってるのか?それなら大成功だが、許しを請うつもりなら今の状況を何とも思わないのか?」


そう言われ、ハッと目を見開く。

互いに隣の人間の姿を見てようやく自分たちの失態に気づき、慌てて立ち上がる。

遅すぎるが、やっと立場が理解できたか。


「と、とにかく悪かった。だからその動画を消しなさい!」

「ああ、俺も悪かった!だから早く消してくれ!」


と、一瞬でも期待した俺が馬鹿だった。

見誤っていた、こいつらの愚かさを。

申し訳なさ、謝罪の気持ちなど欠片も存在せず、あるのは自己保身の一点のみ。

そして俺自身もバカだった。

今まで何度も学習したはずなのに、自分に言い聞かせてきたはずなのに、まだ甘かったんだ。


馬鹿には言葉が通じない、と。


「それがお前らの謝罪なのか?」

「えっ?」

「少し待ってろ」


ポカンとした馬鹿面の二人を放置し、ガードマンボックスに再び入る。

休憩していた警備員に謝罪、そして財布から5万を抜き、手渡す。


「20分…、いや10分でいい。ガードマンボックスをのレンタル料。そしてあんたの拘束料。コレで入口を見張っていてくれるか?」


五枚の万札を確認し、親指をグッと立てる。


「分かってると思うが…」

「口外はしない。毎度あり。」


こいつは中々使えそうだな。

金さえ出せばかなり融通を利かせてくれるだろう、お互いに良い関係が築けそうだ。

そうして二人でガードマンボックスから出ると、馬鹿面二人がお出迎え。


「こっちへどうぞ。」


二人は頭上に?を浮かべていたが、俺に逆らうわけに行かないので大人しくついてきた。

警備員に目配せし扉を閉めてもらう。

俺はそれを確認し、先ほどまで警備員が座っていたパイプ椅子へと座って二人に向きなおった。


「いいか。これが最後のチャンスだ。お前らの心からの誠意を見せてみろ。」

「誠意?」


糞のほうがオウム返しする。


「余計な口を開くな。最後のチャンスという言葉が聞こえなかったのか?今、お前たちは破滅するかしないかの瀬戸際だ。そしてその運命を左右する俺は、お前たちのせいで大変ご立腹ときた。ならばやることは…わかるよな。」


何故ここまで説明しやらなければならないのか、本当に辟易する。


「えっ?わ、悪かった…?」

「あれ?でもさっきも謝りませんでしたっけ?」


俺は立ち上がり、目の前の体育教師の足に蹴りを入れる。

痛がり、屈んだところで髪を掴んで引き倒す。

倒れたところで背中を強く踏みつけて教頭を睨んだ。


「おまえらみたいなゴミカスがいつまで優位でいるつもりだ?『悪かった』だと?そんなことは分かり切ってんだよカス。お前らが悪いかどうかを聞いてるんじゃない。謝罪をしろと言ってるんだ。大体俺が暴れた時の保険がこの屑なのか?どこまで俺をコケにすれば済む?こんな屑が俺を止められると本気で思っているのならどこまでもめでたい馬鹿どもだな。」

「く、苦し…、やめ…」

「黙れ。」

「ぐっ⁉…」


うるさいから背中を踏みつけたが、それだけで気を失ってしまった。

大分セーブしたのにだらしないやつだ、仮にも体育教師だろう。


「ひっ、ぼ、暴力はやめろ…。」

「『やめろ』?何まともに口聞いてるんだカス。ブチ殺されたいのか?」


その無駄に高価そうなネクタイを勢いよく引き寄せる。

俺に睨まれたコイツの眼にはもう恐怖しか映っていない。


「一体何度チャンスを与えれ良いんだ?いつになったら理解できる?お前みたいなゴミカスが俺の貴重な時間を奪っていいわけないだろ?いい加減にしてくれないか?」

「分かった!分かった!」


もう俺の眼を見ることもせずに、両手をブンブンと振り回してどうにか解放されようと必死だ。


「…そうか、分かったか。」


そう言ってネクタイを放してやる。

ハゲは安心したようにホッと胸を撫でおろしていた。


「『分かりました』だろうが、このハゲがぁ‼」


円形脱毛症が進むヤツの生き残った毛をブチブチとむしり取る。


「ぎヤァあああああー⁉」


痛み故か、或いは悲しみか、その両方であるかもしれない。

ハゲは叫び倒れる。


「今度はできるよな?もう一回やってみろ。」


優しく微笑みながら問いかける。


「も、もうやめて…」


俺は壁側に置かれた折り畳み机の上から電気ポッドをひったくり、ハゲの背中にぶちまけた。


「ぐああああぁぁあああ⁉」

「うるせーんだよハゲ。」


ポッド同様、机の上にあった台ふき代わりと思われる雑巾をハゲの口に突っ込む。

まだ言葉にならない叫びをあげていたが、視線で黙らせる。


「さっきは皮肉のつもりで言ったが…、マジで俺を挑発して殺人犯にでも仕立て上げる気か?考えた上なら大した奴だ。お前をブチ殺すことを全力で我慢している。必死にさせられてるよ、いやホントに。」


教頭の顔は涙でボロボロ。

背中も後ほど広範囲で火傷となるだろう。

だがそれも自業自得だ。

これはまさしく躾なのだ。

できるようになるまでしっかりと教育しなければならない。


「いいか?俺は優しいから何度も教えてあげるんだぞ。上から目線はやめて、ただ謝罪するだけだ。簡単だろ?なぜそれができないんだ?お前の要望なんか聞いてないんだ。動画を消せだとかもうやめてだとか。なんで許してもらう前に自分の要望を言うんだ?おかしいとは思わないのか?…さて、もう大丈夫だよな?はい、テイクスリー…アックション!」


口から雑巾を取り出し、慌てて立ち上がって頭を下げた。


「も、申し訳ありませんでした…」


俺は無言で近づき、教頭が下げた頭に手をやる。

『ペチッ』と乾いた音がして少し笑いそうになってしまったが、堪える。

手の先からは若干の安堵が伝わってきた、俺が優しく手を置いたからだろう。


「土下座しろ。」

「はぇ…?」

「土下座しろぉ‼」


頭に置いた手を思いきり押し込む。

当然、非力な奴は倒れ込む。

だが流石に学習したのか、すぐに土下座の姿勢をとった。

鈍感なやつの教育には本当に苦労させられるが、ようやく終了かな。


「本当に悪いと思っているか?心から反省しているのか?」


優しく問いかける。


「は、はい!誠に申し訳なく思っております!この度はご迷惑をおかけし、本当に申し訳ありませんでした‼」


ちなみにその言葉は嘘だ。

恐怖で支配、教育をしたから当然だが、コイツにあるのは恐怖だけで、そこに反省の気持ちが入る隙はどこにもない。

だがそれでいい。


肝心なのは一時の反省などではなく、『俺に二度と逆らわないこと』だ。


それが絶対なら理由、心情など関係ない。


「…30万だな。」

「…へ?あ、あの…?」

「俺への慰謝料、迷惑料。拘束料に授業料。この場のレンタル料、そして動画の口止め料。締めて三十万。教頭という立場なら一ヶ月分の給料にも満たないはずだ。簡単だろう?それで全て許してやる。ただ、裏切りは絶対に許さない。以上。ここでの話は終わりだ。」


正直、教頭という立場を考えればもっと金を吹っかけることは簡単にできる。

だが、限界まで絞ろうとすると開き直ってくる可能性も出てくる。

痛いと言っても全く破滅する程ではない。

貯金も有るなら嫁にだってバレないだろう。

その多少の痛みで問題を解決できるのなら…と考えさせればもう勝ちだ。

報道連中にも渡した口座情報をメモした紙を渡す。


「わ、分かりました。手持ちは無いので後で用意を致します…。」

「別に急がなくていいが、1週間以内にそこに振り込んでおいてくれ。ちなみにそこで寝てるカスの手取りはいくらくらいだ?月の。」


気を失ったままの体育教師を指差す。


「彼は…、額面で30万程度かと思います。なので…、手取りで言うと23万辺りかと思う…、思います!」

「税金高っけーなぁおい⁉しょうがねーから10万にしといてやるか。貯金してそうな計画性を持ってる人間にも見えないしな。起きたらそう伝えといてくれ。同じ口座に振り込むように。」

「わ、分かりました…。」

「じゃ、そいつも持って帰れ。それでこの件は完全に終わりだ。お前たちが蒸し返してきたり、俺に歯向かうようなことが無ければ、動画の件はもちろん口外しないし、学生と教師の範囲内での発言なら素直に従うからそこら辺は安心しろ。たった今から、僕たちは普通の生徒と普通の教師。いいですね?教頭先生。」

「分かりまし…、分かった。」


互いに頷き、教頭は体育教師を担ぐ。

そもそも非力そうな見た目なのでかなりキツそうだった。

ドアを開けるとすぐ近くに待機していた警備員と目が合う。

頷いて合図すると二人と入れ替わりでガードマンボックスに入っていった。

しばらく二人を見送ると、途中で体育教師も目を覚ましたようで、おぼつかない足取りで戻っていった。

ガードマンボックスに再び入り、清掃代として2万を追加で渡す。

散らかしたことへの謝罪と軽い自己紹介をしておいた。

彼は伊藤というらしい。

警備員というのは基本中年くらいのイメージが強いが、どうやら伊藤はまだ三十歳になったばかりだとか。

少し事情があるようだがそこまで踏みこむ意味も、意義もない。

お互いにうまくやっていこう、そう話して別れた。


時間を大いに無駄にした。

収入は得たが、時間には代えられない。

ハヤテに電話を掛けるとどうやら近くの公園で俺を待っているとのことだった。

別に帰っていても良かったのだが、俺に押し付けるような形になったことを悪いとでも思っているのだろう。

実にくだらない心配である。

まぁハルカの怪我の写真も撮りたいし、すぐに向かおう。

これ以上待たせるわけにはいかない。


だから俺は、記者たちに囲まれる前から感じていた視線のことは放置することにした。


おそらくアイツだと思うが。


先ほどまではともかく、一人でいる今でも接触して来ないということは、今は接触するべきではない、或いは観察していること自体に意味があるのかもしれない。

俺も話したいとは思うが、今は待ち人を優先しよう。

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