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退屈は僕を殺したい【第一部完結】  作者: おどろん
第七章 無限のユリヤ

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終演

「アカネーー!!」


「!?」

「!?」


突然の第3者の来訪。

想定外。

僕たちだって、ユキの『マーキング』がなければここにたどり着けなかったのに、一体誰が…

あるいは伏兵?


声の方に目を向ける。

女。

見たことがあった。


「神楽っ!?おまえ、なんでここにっ!?」


アカネも驚きの声をあげる。


天地神楽…?


今いるメンツと比べては伏兵にもなり得ない、圧倒的弱者。

しかし、問題は彼女がここにいるという理由。


どうやってここに…

いや、『誰』がここに…?


そしてすぐに思い至る。


ユリヤの仕業だね。

どんな策を用意していたのかと焦ったけど、

警戒して損したよ。


シロとクロは…動けない。

まだショックから立ち直っていないみたい。

可哀想なことをしたね。

そして僕も今は動けない。

アカネに全集中しないと。

だが、なにも問題はない。

ユキがいる。

ほぼ万全のユキなら()()()()、すぐに瞬殺してこっちに戻ってこれる。


「ユキ。その女を、」



殺して



『…ユウト?』


「こ、…カ、……」


口が言うことを聞かない。

何をされているか分からない。

腕の力が弱まっていくのを感じ、必死でアカネを捕まえていた。


これは念動力……?

まさかユリヤがっ!?


とはいえ神通力も感じないし、横目で見てもユリヤの体はただこっちを見上げているだけのように見える。

そもそも僕はアカネを抑えるために全力で【神通力の無力化(ニュートラライズ)】を行使している。

今の僕を能力でどうこうしようとするのは不可能だ。

そのはずなのに、どんどん腕を開こうとする()()

力を込めようとしても少しずつ拘束が弱まっていく。


「くっ…、この……!?」


ダメだっ!!

拘束が解ける!!


こうなったら神楽は無視し、ユキがアカネにトドメを刺すようにするしかない。

無防備なところを襲われたらユキと神楽の力量さでも危険は生じてしまう。

しかし、それでもユキならば問題はないはずだ。


「ア…カッ……!!」


アカネを殺せ!!



「アカネッ!!神楽を頼む!!」



全力でアカネを神楽の方へ放り投げた。


僕が。


いや、僕じゃない。


天地優人。


もう1人の自分。


僕の存在を奪った者。


「何をしてるの!?ユウト!!」


背後の何もないところからユキが現れて空中で抱き止められる。


「か、体が…言うことを……」


「なんですって?」


指先ひとつ動かせない。

頭を動かすこともできず、辛うじて視線だけをアカネを投げた方に向ける。


「アカネ!大丈夫!?」


アカネは既に神楽によって抱き抱えられていた。


失敗だ…!!


この瞬間、こちらの目論みは破綻した。

動揺するアカネに、アカネを抱き抱える神楽。

何がなんだか分からない様子で、やがて2人は顔をあげこちらを見上げてくる。


「…ユウ、君?」


甘く見ていた。

『天地優人』の天地神楽に対する想いを。

ユリヤの策を。


「…今回は僕たちの敗けだね。」


ようやく体の制御が戻ってきた。


「撤退するのね?ユウト。」


「うん。この場は引こう。シロ!クロ!おいで!!」


ユリヤもとい2人に声をかける。


「ご主人様…。」

「いらなくなって…ない…?」


不安に圧し潰されたような表情の2人。


「えっ?ご主人様って…」


背後からユキの疑問の声があがる。

もう隠し通すことは難しいだろう。

聞かれたら答えるようにしよう。


「いらないわけないだろう。2人は僕の【家族(ファミリー)】なんだから!」


「ご、ご主人様ぁ!!」


地面を蹴り上げ跳躍し、僕をユキごと抱き締める。


「ユウ君!ユリヤ様!説明してください!!この状況は!?それに、その子は…?」


天地神楽。

この女さえいなければ…


一矢報いたいところだが、下手をすればまた体の制御に問題がでるかもしれない。


「天地神楽。君とはもう、2度と会うことはない。」


さようなら。

ユウトが愛した人。

僕の天敵。


「ユキ、お願い。」


「…分かったわ。」


ユキの異空間ゲートが開かれる。


「待ってユウ君!待ちなさい!!待って!!」


この偽物め。

僕の時間を無駄に奪い続けることになった根本的原因。

その張本人。


消え失せろ。


「ごめん。」




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