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退屈は僕を殺したい【第一部完結】  作者: おどろん
第七章 無限のユリヤ

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邂逅

重大なミスに気づきました。

神楽はアカネがユリヤに会いに行ったことを知らなかったのに、知っている前提の文章になっていたため9/10にて修正しております。

(杏とごちゃまぜになってました)

すみません。。。

体から力が抜けていく。

ユウトの腕から逃げることもできない。

【超越】の無いアタシは普通の女だ。

こんな高いところから落ちたら確実に死ぬ。


「結局、思い出してはいないのか?」


自分を抱き締めている男に問いかける。

何故か、不思議と落ち着いていた。

自分自身、敗北を受け入れられたからか。

それとも、『怪物』という運命から解放されるからか。

全てがスローモーションになり、

死という結果へ繋がっていく。


「全部思い出したっていうのは嘘かな。でも、さっき言ったことも嘘じゃないよ。」


「さっき?」


「アカネと一緒にいるのは気を遣わなくていいから、嫌いじゃなかった。それに僕自身、アカネは見てて面白いから結構好きなんだけどね。めちゃくちゃだし。」


「…ふんっ。」


初めてユウトの口から『好き』という言葉が聞けるのが死の間際だとは。

皮肉過ぎて笑えてしまう。


「神楽はどうするんだよ?」


「べつに。何もしやしないよ。邪魔をするというなら別だけどね。」


「神楽が悲しむぞ。」


「だから?」


「……お前はユウトじゃない。」


「そうだよ。僕は『ユウキ』だから。」


「!?まさか、本当の名前…?」


「まさしく冥土の土産ってやつだね。さようなら、アカネ。楽しかったよ。」


見上げて上…ならぬ、下を見る。

体の上下が反転しているから。

叩き付けられる地面には黒いモヤモヤしたものがある。

おそらくは闇女の転移する力か何か。

アタシを地面に叩き付けて死ぬと同時に、ユウトは死なないように回収するということか。

良い作戦だ。


「君は自分を怪物と思っていたみたいだけど、普通の女の子として終われるんだよ。最期まで僕が一緒にいてあげる。」


そうか。

それは、ありがたいな。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



暗闇だった。

突然世界から光が消えた。

状況の把握ができない。

狭い空間で、空気も薄いように感じる。

おそらくは地下。


異常な事態。


ポケットに入っていたスマートフォンのライトを点ける。

そこは何もない道だった。

照明もなく、ただ狭い通路が真っ直ぐ繋がっている。

何故このような状況に置かれたのかを把握することはできないが、この場に留まり続ける理由はない。

進む道は2択。

前か後ろか。

冷静に判断しなければならない。


()()()()()


あり得ない程の神通力。

どれだけ離れているのかは分からない。

だが、その力の波長は自分にまでハッキリと感じられた。

自分の手には余る。


これほどの力、アカネを連れてこないと…


そこで思い至る。


これほどまでの巨大な力。

アカネ本人なのではないか?

時折聞こえてくる爆発音のようなものや地響き。


誰かと戦っている?


そして、自分がどうやってこの場所に来たのかを想像した。

空間転移なんて特異な力…思い当たる存在なんてほんの僅か。


狩人協会1位、ユリヤ。

それから、シロとクロも瞬間移動を可能としていた。

ただ、今襲われていない上にケガもないことを考えると敵によるものではない?


少なくてもユリヤがそれを可能としているのは何回も目にしている。


確かめなくてはならない。

こんな規模の力で戦っていては、絶対に無事では済まない。

もしユリヤとアカネが本気で戦っているとしたらなら、ユリヤは死んでしまう。

それに、本当にユリヤと戦っているならその理由は一体…。


その理由を聞くためにも、何とかして戦いを止めないと!


走り出す。

走りながら考える。


ユウ君はこんな危ないところにいないよね?


考えてしまうと、嫌でも不安が襲ってくる。

杏とユウトに食事をどうしようかと部屋に訪ねに行って、何故かユウトは部屋にはおらず、杏も何故か意識を失っていたとのこと。

聞いても分からないということで、2人で心当たりを探すもユウトは見つからず、家に戻ってドアをくぐったと同時にここに転移させられた。


「ユウ君っ…!」


いないはず。

こんな危険なところに。

アカネがそれを許さないはず。

大丈夫。

だから落ち着きなさい…!


神通力で強化した身体能力で全力で走っているのにまだ目的の場所には着かない。

ずっと暗い、一本道。


ここは一体どこ?

それに、なんて圧なの…?


ここまで『現場』と離れているなんて思わなかった。

普段アカネと一緒にいることが多い自分でも、ここまでの圧を感じたことはない。

近づくにつれて、より強くそれを感じていた。

この先にいるのは本当にアカネとユリヤの2人なのだろうか?


アカネはともかく、ユリヤ様にここまでの力が…?


とはいえ、彼女も神と呼ばれた存在。

会ったばかりで、本気なども見たことはない。

あまりの圧に吐き気すら覚えそうになるが、必死に走る。

あるいは、やはりシロとクロ…?


でも、私にはなんの危害もないし…。


ようやくだ。

まだ遥か先だが、確かに光が漏れている。

振動や轟音も強くなり、あの先が目的地であるという確信が持てる。


「急がなきゃ…!」


この規模の戦いに巻き込まれれば自分程度の力量では命はないだろうが、2人が気づいてさえくれれば一旦は戦いを止めてくれるはず。


そこでなんとか説得を…。


違和感。


この先にいるのがアカネとユリヤだとして、

何故、ユリヤは自分を転移させたのか。

戦いを止めるため?

…なら止めればいいだけ。

自分は必要ない。

説得など不要だ。


それに何故、現場ではなくこんな離れた場所に呼び出したのか。

自分が何かに必要だとして、何故直接目の前に呼ばなかったのか。


やっぱりユリヤ様ではなく、敵の策略?

…考えても分からないわ。

とにかく、一刻も早くあの場所へ!!


走る。

いつの間にか轟音も収まっている。

戦いが終わったのではないかと考える。


良くて和解。

悪ければ……


息の続く限り走る。

もうすぐだ。


ようやく狭い通路を脱した。

広大なドームのような場所。

各所の破壊跡は戦いの激しさを物語っていた。


まだ遥か先に、しゃがみこんでいるユリヤの姿を確認した。

遠い上に動いていないから()()()かと思ったが、しゃがんだまま上を向くという行動を見せたため、少なくても生きていることは分かった。


やっぱりユリヤ様だ…!

間に合った!!

それじゃアカネは…?


走りながら左右を見るが誰も見当たらない。

鉄筋がむき出しになってボロボロになった壁が並んでいるだけ。

一体どこにいるのだろう?


「ユリヤ様っ!!大丈夫ですかっ!?アカネはどこに…!?」


ユリヤの元にたどり着き、肩を叩く。

彼女は一切反応を見せなかった。

ただ、上を見ているだけ。

自分も彼女が見ている方向に顔を向ける。


いた。

アカネだ。

誰かに捕まっている。

顔はよく見えないが、男だ。

【超越】を持つアカネが振りほどくことができていない。

状況が全く分からないが、この距離から落ちたらたとえアカネでも危ないのでは?

それにアカネはなんだか、抵抗する様子をまるで見せてはいなかった。


嫌な予感がする…!!


本来ならアカネの戦闘に割って入るなど自殺行為にしかならないが、介入しないといけないと思った。


間に合うか。

もう地面まであまり距離がない。

何やら落下地点にも黒いもやのような物も見えるし、危険度も測ることができない。



でも行かなきゃ!!



「アカネーー!!」




お疲れ様です。

この物語を大きく2部に分けたとしたら、

この場面が第一部の終わりの場面になります。

もう一話、締めを挟んで第二部の方に話を進めていきたいと思っていますが、一回ある程度書き貯めたいという思いもあり、休止期間を置こうかとかなり迷っているところです。

書き貯めもそうですが、第一部のテコ入れもしたいと考えているのもあって、今のところ少し期間を頂くという方向で調整したいと考えております…。

まだ分からないけどね。

焦ってダメにしたくないのよ、要は。

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