ユウト
書く時間が足りません…
かなり走り書きになってしまっている自覚はあるのですが、とりあえず進めないことには何もできないので頑張って書いております。
もうすぐお盆休みに入れるのでそこまで気合いで乗りきれば…!!
ということで、どうぞよろしくお願いしますー。
「おい!なんで、今ユウトの名前を…」
言った通りって、どういう意味だ!?
今の言い方だとまるで、アタシたちの敵みたいな…
「事ここに至ってはもう隠し立てする意味もありませんね。」
ユリヤがアタシの隣に降り立つ。
「正直、襲撃に来ると思ってはいましたが…彼の名前まで出してくるとは思いませんでした。本当に、ここで決着をつけようということなのですね。」
「ユリヤ、一体どういうことなんだ?」
「ユウ君は、彼は…」
突然の悪寒。
本当に一瞬。
突如としてユリヤの後ろに現れた闇から、ユリヤは咄嗟の回避を見事に成功させた。
「あら。確実に仕留めるつもりだったけど、すごい反応速度ね?」
闇の中から見覚えのない少女。
…見覚えがない?
本当に?
この顔、姿、どこかで…?
「シロとクロは確かにとてつもなく速い。しかし、瞬間移動であれば問題なく回避可能です。ですが、あなたの力はそもそも察知することが不可能…私や彼以外には。」
「…なるほど。視覚ではなく、神通力に常に網を張っていたということね。まぁ、それができたところで普通は避けるとこまでは無理だと思うけれど。」
怪しい笑みを浮かべる謎の少女。
「おいユリヤ!あの女は一体…」
なぜ見覚えがある!
つい、最近だったはずだ…!
どこで…
「彼女が、【闇女】です。」
「コイツが、【闇女】…。」
それはもうなんとなく気付いていた。
アタシが聞きたいのはそういうことじゃない。
「面と向かっては初めまして、『最強』さん。【闇女】…なんて無粋な呼び方ではなく、どうぞ『ユキ』と呼んでちょうだいな。それも、今日だけのことだけどね。」
ユキ。
ユキ…聞いた名前だ。
確か、ユウトの…
「ユウ君が想いを寄せていた、例の女性です。それが、」
それが…闇女?
「バカを言うな!!そんなわけないだろう!?」
「バカでも嘘でもありません。ユウ君は…彼は、」
ユリヤは言葉途中に止まってしまう。
何故か目を見開いたまま固まってしまっていた。
「ユリヤ?」
直後、ユリヤの口から流れ出る血を見てようやく異常事態だということを悟った。
「ユリヤァ!!」
「どこを見ているんだ?」
即座に駆け寄ろうとした地を蹴ったところでクロに叩き落とされる。
「ぐっ!?」
「あなたの相手は私たちでしょう。無視しないで欲しいわね?」
シロも来てしまう。
片方だけでもキツいのに、このままじゃ…!
それにユリヤの背後に見えたアイツ!
アイツも確かどこかで…!
「ユキが表に出てきたら警戒が全部ユキに行くはず。神通力を持たないメグなら必ず裏をかくことができる。ユウトの見立て通り。」
そうだ…アイツ、転校生の…!?
白井、メグ!?
なんで彼女がここに!?
「…なるほど。気配のないユキさんを無理やり察知するための策が、まさかこんな大胆な手で…普通の、人間に…」
ユリヤはその場に倒れてしまった。
でも、ユリヤなら即座に致命傷でも回復できるはず…
そのはずなのに、ユリヤは動く様子がない。
神通力が働く様子も。
「彼女はもう終わり。」
淡々と告げる少女、白井メグ。
「転校生。どういうことだ?」
必死に自分を抑える。
シロとクロに囲まれている状態ではまともに動けない。
少しでも情報を…
「この短刀。すごくいい。手に馴染むし、ユウトの力が込められてる。永続ではないみたいだけど、病弱が女が急所を突かれてから死ぬまでは充分有効。」
「ユウトの力、だと?…まさか!?【神通力の無力化】!?そんなこと、できるはずない!!」
武器に【神通力の無力化】を…纏わせる?
神楽の炎のように分かりやすいものなら理解できるが、あんな鬼憑き相手にしか意味がないような特殊な力でもできるのか?
そもそも纏わせることができるとしても、神通力を扱う本人が近くにいないのに、どうやって力を維持していると言うんだ!
それに、ユウトがそんなことする理由が…
でも、メグが握っているあの短刀は確かに…杏がユウトに送っていた物と非常に似通っている。
「白井メグ。お前は何者なんだ…?それに、ユキと言ったな?お前とユウトは一体どういう関係なんだ?」
「ふふっ。それは…」
「それは僕から説明するよ。」
「…ユウト。」
ユキと呼ばれる女の後ろから現れた。
もう、疑いようがない。
「いつからだ?いつから、裏切っていた?」
展開の流れからいって予想はついていたが、目の前に現れるまではとても信じられなかった。
「裏切るなんて、人聞きが悪いなぁ。」
まるで悪びれる様子もなく、言い放つ。
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「お前は、記憶を失っていなかったのか?」
「いいや、ユリヤのせいで確かに失っていたよ。でも、今は少しずつ思い出してきている。」
「少しずつ?」
「うん。まだ直近のことがほとんどだけどね。ユリヤに記憶を消されたこととか、自分の立ち位置とかね。」
ユキの異空間の中で家族と話していくうちに、最近の記憶が少しずつ思い出されてきていた。
まぁ思い出すというよりは、不自然に空いた記憶の領域が埋まっていく…と言った方が正確かもしれない。
僕の中で邪魔をしている存在…天地神楽耶という存在をハッキリ認識すると同時に、【神通力の無力化】の力も扱えるようになった。
自分でも具体的にどうしているのかが分からない。
ほとんど感覚のようなものだけど、僕の中にいる天地神楽耶の支配を破ることができたのだと思う。
その影響か、よく話しに出ていた僕のもう一つの力…【読む力】も聞いていたより便利なものになっていた。
気配や感情が分かるみたいな力だったはずだけど、今では他人の考えていることも結構分かったりする。
それに、天地神楽耶の支配を破ったことで記憶も段階的に戻ってきている。
僕の正体やシロと2人きりで話したことに関してはまだユキには話していないけど、時期を見て話すつもりだ。
ユキには深い謝罪が必要だけど、それは今のあやふやな僕じゃない。
しっかりと自分を取り戻したあと、誠心誠意謝罪するんだ。
「いつからお前は闇女と…ユキと繋がっていたんだ?」
なんだ。
アカネはここまで言ってもまだ心の底から現実を受け入れることはできていないようだ。
「初めて鬼憑きと会ったときかな。いや、ユキと会った時と言うべきだね。」
「初めて…駅の時か…。」
「そう。僕は、天地ユウトは退屈に苦しんでいた。周りの人間のレベルの低さ、違和感のある自身の人生、偽物を姉と慕う愚かな自分に。」
「神楽を偽物扱いか…たしかにお前は記憶を失っているみたいだな。」
さっきから僕を『ユウト』ではなく、『お前』になっている。
僕を必死にユウトとは別の存在、敵として認識するための微笑ましい努力。
「ちなみにだけど、ユウトはアカネのことを結構邪険に扱っていたみたいだけど、内心は結構アカネと一緒にいるのは気を遣わなくていいから、嫌いじゃなかったみたいだね。」
「……今のお前には関係ない。」
ほら。
少なかった殺意がまた減った。
なんて簡単なんだろう。
アカネはユウトに好意を寄せていたみたいだから、騙し討ちなんて簡単にできそうだけどな。
とは言っても、さっきアカネに話したユウトの心情も嘘ではないからね。
アカネは敵。
いずれ倒す。
そんなことを考えていたユウトも、なんだかんだと理由をつけて戦おうとはしていなかった。
本当は、戦いたくなかったから。
でも、僕は違う。
今の僕にとって大切なものは【家族】だけ。
他はどうでもいい。
最も厄介とされるユリヤに、最強のアカネ。
この2人をいっぺんに始末できる。
やらない理由がないだろう。
ユリヤはもう虫の息。
アカネはシロとクロの2人なら勝てる。
もう勝ったも同然だね。
「1つだけ聞きたい。」
「ん?どうしたの?」
戦う覚悟が決まったのかな?
覚悟ができたところでシロとクロには勝てないだろうけど。
「ユウトは闇女と組んだ時、何も悩んでいなかったのか?後悔はなかったのか?」
「悩み?後悔?そうだね、うーん…」
僕とユウトの考えは違う。
あくまで断片的な記憶からの解答となる。
「少なくても後悔はないはずだね。退屈な地獄に突如として差した希望の光。そこから彼は本気で生きたいと思ったんだ。惰性で生きているのを止めて、精一杯生きようと考えることができたんだよ。もちろん、神楽のこともあるし立場での悩みはあったようだけどね。」
今の僕には悩みも迷いもないけれど。
「逆に言うと、それまでのユウトの人生には後悔と悩みしかなかった。ずっと、苦しんでいたんだ。かわいそうだね。長い間一緒に生活していたのに、アカネはそれに気付かなかったの?」
「……だまれ。」
「聞かれたから答えたのに。」
アカネは非常に怒っていた。
ただし、頭の中は逆に冷静になっていく。
色々と彼女の中で決まったらしい。
「話していてよくわかった。今のお前に遠慮をすることはない。お前ら全員ボコボコにして、ユウトの記憶をユリヤに消させる。それで終わりだ。」
「あははは!ここから勝てると思っているの?ユリヤももう助からないよ!アカネだって、シロとクロに勝てないじゃないか!!」
何を言うかと思えば。
それはもはや夢物語だ。
「アタシは今まで化物染みたヤツとは何度も戦ってきた。そして必ず勝ってきた。お前たちのような本物の化物と戦ったのも、今日ほど苦戦して、勝てないと思ったこともない……だから、」
雰囲気が突如として変わる。
何か策が…?
いや、単純な策なんかではこの状況をひっくり返せるとは思えない。
だけど、僕はこの怪物を警戒している。
「お前たちに超越は通じない。このままじゃ、アタシはお前たちに勝てない…だから、」
「アタシは、アタシを超越する。」
この女は、真に怪物であった。




