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ミキタビ始めました!  作者: feel
3章 もう一つの小さな世界
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電球から生み出される生命 88


「ミネトラ君。君は死因の中では何が一番好きですか?」


 黒い煙が渦巻く部屋の中からカミネートは悠々と歩いて出てくる。その手には異世界人が作り出した小さな拳銃が握られている。


「好きな死因なんてあるわけねぇだろ。死因を一つでも減らすが俺の仕事だ」


「そうですか。私はてっきり、爆死が好きなのかと…。ちなみに私は何でも好きだよ」


 カミネートは銃口をミネトラへ向け、引き金に指を掛ける。拳銃を使用する光景を見たことのあるミネトラはすぐに体を起こして、銃口から逃げるように廊下を走る。


「ミネトラ君、窓から下を見てみなさい」


 カミネートはミネトラが逃げたにもかかわらず、焦る様子を見せない。


 ミネトラは廊下を走りながら視線を窓の外へとやる。窓の外ではリーナとアムリテがアイカと対面しており、そこにナオキの姿はなかった。


「君の患者と僕の人形。どちらが優れているでしょうね?」


「あいつらはもう俺の患者じゃねえし、アイカはお前の人形でもねぇよ。一人の人間だ」


 カミネートは廊下の角を曲がり、ナイフで自身の足を切り裂く。足から流れ出る血液は地面に落ちることはなく、体の表面を駆け上がるようにしてミネトラの衣服と手首までの腕に纏わりついた。


「出血量は落ちるが、今死ぬわけにはいかねぇからな…」


「部位ごとに血液の効果を分けているんですか?腕は爆発や発熱、足からでる血は鎧と言ったところでしょうか?」


 廊下の角を曲がったミネトラの姿をカミネートは見えないはずだったが、カミネートは顔を出す前にミネトラの能力を声に出して解析しだした。


「お前の目は監視カメラにもなるのかっよ!」


 ミネトラはナイフで自分の指を傷つけることで、数滴の血液を体表に出現させる。そして、カミネートの足が見えたところで、その足に向かって血液を投げ飛ばす。


 カミネートの足元に着弾した血液は白い煙を上げて、カミネートの視界を覆い始めた。


「これも発熱の応用ですか?多彩な芸は認めますが、私の目が監視カメラになっているなら有効ではないですね」


 カミネートの言葉が終わると共に白い煙の中から破裂音がする。その直後、ミネトラは胸部に強い衝撃を受けた。


「くそ!煙幕の中からでも見えてんのかよ!?」


「拳銃で致命傷を負わないとは驚きました。その鎧はずいぶんと硬いんですね」


 いまだ煙の中にいるカミネートは見えているぞと言わんばかりに、ミネトラへ声を掛ける。


 ミネトラは煙が無意味だと判断すると再び廊下を走りだし、下り階段を一飛びで駆け降りた。


「鬼ごっことは懐かしい…。私が優位すぎるのが難点ですが、どんな状況だろうと結果は変わらないで文句は言わないでくださいね」




 中庭に放り出されたリーナとアムリテは植草をクッションとして、大きな衝撃を受けないで済んでいた。


「あいつもあの子に放り出されたのかしらね」


 アムリテは今の自分たちの状況で、植草に頭を突っ込んでいたミネトラの姿を思い出した。


「アムリテ、抜けれる?」


「引っ張って…」


 自力で植草から抜け出したリーナはアムリテの足をつかみ上げて、アムリテを植草から救出する。その先に口に入った枝や葉っぱをアムリテは吐き出す。


「こんにちは。異世界人さんたち。あなた達のお名前は?」


 二人が体に着いたゴミを払っていると、上空からアイカの声がする。二人が上を見上げると、植草の上にある木の上にアイカが座っているのが見えた。


 二人は咄嗟にアイカから距離を取り、武器を構える。


「私の名前はアイカ。あなた達は?」


「リーナ、あいつとここでやり合うわよ。向こうで止まってるロボットを動かされるのはまずいわ」


「うん。私が先に行くから、アムリテはバックアップをお願いね」


 二人はアイカに聞こえないように小さな声で会話をし、リーナがアイカに向かって走り出す。その様子にアイカは悲しそうな表情を浮かべる。


「実は私、この世界に来てから女の子に会うのは初めてなの。だから、お友達になれたらなって思ってたんだけど…」


 アイカは接近するリーナから目を離して、涙をぬぐう様子を見せる。リーナはそんなアイカを構うことなく、アイカの足を狙って短剣を振るう。


「ま、私よりナオキに近づいた時点でそれも叶わないことだったか」


 アイカがリーナを一瞥する。しかし、リーナの攻撃は止まることなくアイカの足に直撃する。はずが、短剣とアイカの足との間に何かが挟まり、リーナの攻撃は止まってしまった。その正体はアイカが座っていた木の枝だった。


「私の愛する人形ちゃん。この泥棒猫をつまみ出して」

  

 アイカに命令された木は全身をしならせ、人の腕ほどの大きさの枝でリーナを貫こうとする。リーナはその枝を短剣で受けようと構える。


「アルト・ヴェロス!」


 短剣と枝が接触する前にアムリテが魔法を使って、木の枝に水矢を当てる。枝は軌道を逸らされて、リーナの横の地面に深く突き刺さった。


「やっぱり人型が一番安定するなー」


 アイカはそう言うと、ポケットから三つの電球を取り出した。リーナはアイカに能力を使わせまいと、アイカの腕を狙って短剣を突き出す。しかし、その攻撃もやはり木の枝に止められてしまい、その隙にアイカは電球を足で踏みつけた。すると、アイカの周りにあった葉っぱが宙に浮き始める。


「落ち葉の妖精、名前は枯紅(こぐれ)かな?まずは後ろの子を狙ってね」


 アイカの周囲に浮いていた落ち葉は高速でアムリテの方へと向かい、アムリテの正面で止まった。リーナは落ち葉を追うように、アムリテの方へと駆け出す。


「アルト・スフィア!」


 アムリテは周囲の水をかき集め、自身を覆う水球を作り出した。一方、落ち葉はアムリテの正面で密着し始め、次第に人の形を形成していった。その落ち葉人形は自分の腕を水球の中にいるアムリテに向かって振り下ろす。


「そんなの届かないわよ!」


 振り下ろされた落ち葉人形の片腕はアムリテに届くことなく、水球の中で分裂した。


「枯紅、そのままで戻ってきていいよ」


 片腕を失った落ち葉人形は体を複数枚の葉っぱに分けて宙を漂い、アイカの元へと戻った。


「魔法使いちゃん、ばいばい」



88話目にして初めてのルビでしたね!これで反映されるのかと、少し不安でした笑

何か間違いなどあれば、報告してくれるとすごく助かります!


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