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ミキタビ始めました!  作者: feel
3章 もう一つの小さな世界
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個人的な恨み 82


「あの揺れは何だったんですか?」


「さぁな。なんせ揺れが伝わってきたときには草木に熱いキスをしてたんだ。お前らこそ、付いてきても安全の保障はできねぇぞ?」


「そういうやつに限って死んでいくのよね」


 リーナとアムリテの心配をして声を掛けたのに、アムリテが挑発的な言葉を返したことで気のせいか、ミネトラの足が速くなる。


「ちょっと!こっちは患者様よ!?もう少しゆっくり歩きなさい!」


「患者様なら病室で寝てろ!」


 アムリテとミネトラが言い合いながら歩みを進めていると、廊下を封鎖する形で多くのロボットが配置されているのが見えた。


「おい、そこを通せ」


「できマセン!これより先はカミネート様のご命令で、一人も通せマセン!」


 一体のロボットが目を赤く光らせて、ミネトラの前に立ちふさがる。


「おい、カミネートの命令だろうと優先権は同じはずだ。バグってんなら、スクラップにすんぞ?」


「エラーは出ておらず、当機は正常と判断いたしマス!ミネトラ様、どうかお引き取りを!」


「……カミネートはどこにいる?」


「カミネート様はこの先で客人をお迎えしていマス!ご用があれば、メールをお送りいたしマス!」


 ロボットの目の色が緑色に代わり、メールを送る準備を始めた。


「誰も信用できないカミネートへ、あの世で異世界人に土下座してこい。って送れ」


「送信いたしマシタ!返事が来ましたら、お伝えいたしマスカ?」


「着信拒否にしとけ」


 その言葉を残してミネトラは来た道を引き返す。リーナとアムリテは訳が分からないまま、再びミネトラの後を追う。


「あそこは通れないんですか?」


「あぁ。カミネート、この病院を管理している奴が封鎖したんだ。あの野郎、ずっと俺を騙してやがった…!」


 出会った時から口の悪かったミネトラだが、この言葉には明確な怒気が含まれていた。


「おい、アムリテだったか?体の調子はどうだ?」


「悪くないわ。でも、どうして今?」


「こっちの都合だが、協力してもらいたい。報酬はここの治療費でどうだ?」


 リーナはミネトラからの協力という言葉に、先日のカミネートの件を思い出す。


「あの、協力って…」


「簡単に言えば、カミネートの鼻を折る。アムリテにはあの通路を塞いでいるロボットに水をかけて欲しいんだ」


「そういう事ですか…。私てっきり、カミネートさんの時みたいな…」


「あぁ、君は…。安心してくれ。俺はあいつほどイカれてはないと自覚しているんだ。もちろん、今回の件も嫌なら断ってくれてかまわない」


 ミネトラがアムリテの方に手を差し出した。


「報酬を一つだけ追加しなさい。そのカミネートって奴の顔を殴らせること」


 アムリテの予想外な言葉にミネトラは声を上げて笑った。


「そいつは高くなるが、全てが収まったら約束しよう。なんなら、俺も殴る」


「成立ね!」


 アムリテはミネトラの手を掴み、しっかりと握った。リーナはその光景に若干の疎外感を感じていると


「ほら、リーナ!あんたも手を置きなさい。殴らせてあげないわよ?」



「私は殴りたいわけじゃないよ!?けど、蹴るくらいはさせてね!」


 リーナはアムリテとミネトラが握手している上に自分の手を置く。


「ミネトラ、あんた男なんだし何か言いなさいよ。がんばろー的なやつ」


「お前って俺に当たり強いよな…。んじゃ、俺の後に続けよ」


 ミネトラは大きく息を吸い、重なった手を上下に揺らす。


「サイコパスじじぃをぶっ倒すぞ!」


「「……おー」」


「テンション低くね!?」




 結束を結んだ三人はロボットたちの妨害を突破するために、ミネトラの部屋に集まった。


 そこはカミネートの部屋のように落ち着かない雰囲気はなく、生活感の溢れているごくごく普通の部屋だった。その部屋でリーナとアムリテは椅子に座って、お茶を飲んでいた。


「さて、作戦はどうするの?」


「どうしようか?今はロボットさんたちが邪魔っていうのしか分かってないし…」


 二人が作戦を立てに困惑していると、ミネトラが部屋の電気を消して二人の前に立った。すると、ミネトラの後ろに病院の地図が映し出される。


「ロボットどもが封鎖しているのはここ、一階にある通路だ。で、俺達がいるのが二階のこの通路の端っこな」


 ミネトラは銀色の棒をもって、口頭で説明している箇所に先を合わせる。


「硬い床を壊すのは不可能だから、俺達はロボットどもの通路を正面突破する。いいな?」


 リーナとアムリテは頷いてミネトラに先を促す。


「カミネートの干渉を受けない俺専用ロボットが三台あるから、計六個の水を運ばせる。アムリテはその水を四個使って、封鎖しているロボットを壊してくれ」


「あたしはロボットを貫けばいいの?」


「いや、人間でいう耳の位置に通信用の穴があるから、それに水を入れれば勝手に壊れる」


 ミネトラは部屋のクローゼットを開ける。その中には青色をしたロボットが三台入っていた。


「起きろ」


 ミネトラが一声かけると、青い専用ロボットは目を光らせて動き出す。そして、二体がリーナとアムリテの横に付いた。


「封鎖しているロボットどもを突破した後は何があるか分からねぇ。だが、そいつらがいれば通話はできるから付けておく」


 青いロボットはほかのロボットのように喋ることはなく、目を光らせているだけだ。


「カミネートは封鎖している場所で何をしているんですか?」


「内容は知らねぇが、おそらく人類を救う実験だな。この世界の人間だけを救う」


 リーナにはミネトラがあえて最後の部分を強調した理由が分かった。それは、人間の中に魔族などが入っていないことを言っているのだろう。


「俺は正直、そこらへんはどうでもいいって言えるが、許せねえことができたんだ。簡単じゃないだろうが、許しちゃいけねぇことだ。お前らは何のために戦う?」


 ミネトラの問いにリーナは言葉を探し始める。しかし、そんなものはアムリテが口にする言葉ですぐに必要なくなった。


「リーナを実験動物みたいにされたからよ」


「だそうだ。リーナの方は?」


「アムリテが怪我しそうだからかな。あと、嫌な気持ちになったから」


 三人はそれぞれの理由を聞いて、少しだけ笑った。


「ま、俺ら三人とも個人的な理由だ。気負わず行こうぜ!」


「そうね。あたしも殴れたらそれでいいし」


「ちゃんと謝ってくれたら、つねるだけで許そうかな」


 そんな三人は準備を整えて、再びロボットの群れに立ち向かう。



昨日の件でスマホ執筆を考え始める今日この頃です笑

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