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ミキタビ始めました!  作者: feel
3章 もう一つの小さな世界
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二つの進行 81


 カミヤの瞬間移動が終わり、ナオキがゆっくりと瞼を開けるとそこは瞼を開けていないのかと思うほどの真っ暗闇だった。


「うわぁぁあ!」


 ナオキは拘束されていたトラウマがよみがえり、大声を上げた。


「落ち着きな!」


 そんなナオキの頬が聞き覚えのある声と共に、勢いよく弾かれた。その後、ナオキの視界に光が入ってきた。どうやら、カミヤが魔石で明かりを灯したようだ。魔石の明かりに照らされた地面は土がむき出しになっており、周囲を囲むのは何の装飾もされていない鉄だ。


「わ、悪かった…」


「気にしなくていいよ。私もアナザーの外に飛んだつもりだったからね。こんなことは初めてだ」


 カミヤはアナザーの外へ飛ぶつもりで瞬間移動をしたが、二人がいる場所は明らかに何かの建物の中だった。


「ばあさん、ここはどこなんだ?」


「おそらくアナザーの最下層だね。なんの部屋かは分からないが、上に人間の反応がある。そこの階段から上がるよ」


 カミヤが指さす方向には壁と同じ鉄で出来た階段があり、二人はそれを使って上に上がる。


「……ばあさん、アイカは助けられるのか?」


「状況は厳しいね。おそらく、カミネートは私の瞬間移動に干渉できるようになった。どの範囲までかは分からないけどね。それに、当のアイカがカミネートを信用しきっている。洗脳を解くよりも難しいね」


 洗脳を解くにはそれの矛盾点を突いたり、記憶を強く揺さぶることで解決することが多い。だが、アイカの場合は正常な精神状態でカミネートを慕い、カミヤを悪だと決めつけているのだ。


「それでも、俺の言葉なら…!」


「今は考えるのをやめな。上が見えてきたよ」


 二人が階段を進んでいくと上から細い光が差し込み、階段の先に蓋がされていることが分かった。


「ナオキ、あんたの未来視はあと何回使えるんだい?」


「えっと、一週間で使えるのが七回だから、あと四回だな」


「なら、この蓋を開けたあとの未来を見ておくれ。待ち伏せされて、八つ裂きなんてのは勘弁だ」


 ナオキは目をつぶって未来を見通す。その際の発動の際にカミヤが聞いた呪文をナオキは言わなかった。


「見えたぞ。上には街が広がっていて、この蓋は地面に埋まってる。俺達が蓋を開けて地上に出る時に周りの人間が驚いた顔をするけど、後を追ってくるような奴はいなかった」


「いい能力だ。ところで、あの訳の分からない言葉は言わないのかい?」


 カミヤに指摘されたナオキは顔を赤くした。


「そんなことより、早く出ようぜ!暗いのは嫌だからな」


「分かってるよ。とりあえず、地上に出て軽食屋を探すよ。そこで情報取集だ」


 カミヤは階段を隠している蓋に手を振れて、人の反応がない位置へと瞬間移動させた。その瞬間を見た周囲の人間はナオキの言った通り、驚いてこちらを見ていたが、近づいてくるものはいない。


「ナオキ、早く行くよ。日が落ちるまでには寝る場所を見つけないとね」


「あ、あぁ。今行く」


 カミヤは周囲を歩く人間の服装が気になったが、騒ぎになる前に場所を離れる。ナオキもそれについて行くように、小走りでカミヤの後を追った。




 リーナとアムリテが本を読んでいると、二人の病室に不自然な振動が伝わってきた。


「今のなんだろ…?」


「さぁ?地震とかじゃないの?」


 リーナが外の様子を確認するために病室のドアを開けると、廊下を走り回るロボットたちがいた。


「ねぇ、何かあったの?すごい揺れだったけど…」


 前を走り抜けていくロボットに声を掛けても、一体としてリーナの問いかけに反応するものはいなかった。異様な光景の中で、リーナはあることに気付いた。


「みんな、同じ方向に行ってる…」


「行ってみる?」


 本を読むのにも飽きたのか、アムリテは興味津々な様子で体をリーナの上に乗りだした。


「でも、忙しそうだしなぁ…」


「なら、あたし一人で行ってくるわよ。あんたはお留守番ね」


 アムリテは病室から出て、ロボットたちが向かった方向へと歩いて行く。


「ちょ、私も行くよ!」


 リーナもアムリテの後を追うようにして、病室を出た。




 廊下の突き当りにある階段を降りて、一回に着くとロボットが行った方向が分からなくなってしまった。二人は勘で廊下を進んでいると、庭の植草に頭から入っている白衣を着た人物を見つけた。十中八九ミネトラだ。


「アムリテ、あれって…」


「リーナの知り合い?変わった趣味を持ってるのね」


 アムリテは無視して廊下を進もうとするが、リーナが肩を掴んで止める。


「あれは助けに行こうよ!?一応、私達の恩人だよ!?」


「そうなの?なら、仕方ないわね…」


 アムリテは乗り気ではないながらも、病院の庭に出て二人係で白衣の人物を救出した。


 草むらから救出されたミネトラは、口からも葉っぱを吐きだした。


「た、助かった…。お前らは、この前の蛇に噛まれた奴と魔力のお姫さんだな」


「魔力のお姫さんって何よ?あたしはアムリテって名前があるの」


「あはは…。そんなことより、ミネトラさんはどうしてこんなところに?」


 リーナの問いにミネトラは顔を曇らせる。


「幼なじみ、いや、妻に投げ飛ばされてな。ロボットどもには秘密にしてくれよ?」


「投げ飛ばすって…。患者にでも手を出したの?」


「アムリテ、容赦ないね…」


 アムリテはなぜかミネトラに対する当たりが強い。


「ま、もう一回行って話し合ってくるわ。お前らは病室で寝とけよ?」


「嫌よ。あんたの修羅場、見守ってあげるわ!」


 ミネトラはアムリテを振り払うのを諦め、二人の同伴を許す形にした。



Wi-Fiの不調により本日、六月二日に朝の八時に投稿ができませんでしたが、これからも毎日投稿は続けて行きますのでよろしくお願いいたします!

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