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ミキタビ始めました!  作者: feel
2章 旅に出ます!
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新クエスト 65


 アムリテの案内で連れられたのは一軒の家だった。外見に目立った特徴はなく、それらしき看板もないため、案内されなければ分からないだろう。


 アムリテがドアを三回ノックすると、中からドアが開き女性が出迎えた。


「ご用件は?」


「クエストの受注です」


「なら、中に入って二階に上がって。二階にいる男に冒険者カードを見せてクエストをもらってね」


 二人は中に入り、玄関の隣にある階段を上る。そこには大きな机と長椅子が置いてあり、奥には体格の良い男性が座っていた。


「冒険者カードを見せてくれ」


 低い声で言葉を発した男に二人はそれぞれの冒険者カードを渡す。男はカードを受け取ると、一目見るだけで二人に返却した。


「クエスト内容の前に報酬の払い方だが、ここでは払えないのを理解してくれ」


「分かってるわ。クエストを達成した後は、ロドリアに行く予定なの」


 リーナは会話を聞いて、先ほどの話しから内容を理解した。


 ミッシェル・ヴェリルにはギルドが無い────置くことができないため、堂々と運営をすることができない。そのため、受注だけは可能にして支払いは周辺のギルドで、ということだろう。


「クエストの希望は?」


「高額優先で、地形や対象は問わないってとこかしら。討伐でも採取でもいいけど、メルモへの道からは逸らさないで」


「なら、こことロドリアの間にある洞窟にいるドットバットの討伐でどうだ?魔獣だが、比較的弱い。使う魔法も一種類だ」


 リーナは魔獣という言葉に身を震わせた。エレネー村で出会った猪は魔法を使わなかったが、ミサキとネルが居なければ勝てなかった。それだけでなく、リーナの攻撃はダメージになっていなかったのだ。そ

れなのに、魔法を使う魔獣と戦うのは気が引けた。


「…アムリテ、他のに───」


「それを受けるわ。他の冒険者の同行は禁止にして」


 アムリテは男からクエストの紙を受け取ってしまった。


「大丈夫よ。ドットバットならお姉ちゃんが倒したこともあるし、毒も市販の毒消し草で治る。使う魔法だって、小さくなるだけだから」


「……分かった。でも、危なくなったらすぐに逃げようね?」


「分かってるわよ。念のために毒消し草は多めに持って行くし、マナ草も買い足しておくわ」


 リーナは気がのらないまま討伐の準備を始めた。毒消し草は二人合わせて三十を持ち、マナ草はアムリテの要望で液体にしたポーションを十本も買った。これだけで、毒消し草の二倍の価格だ。


 そして、二人は個人用馬車を雇うことで洞窟に向かった。この費用も報酬に入るそうだ。




 ミッシェル・ヴェリルから二時間ほどで、二人は目的の洞窟に着いた。洞窟の中からはひんやりとした空気が流れてきて、気温とは関係のない汗が流れそうになった。


 二人は洞窟に入る前にアムリテの指示で、太さのある枝を何本か集めて紐で縛っていた。


「アムリテ、ドットバットってどんな魔獣なの?」


「もとは様々だけど、そこらへんにいるコウモリが何らかの原因で魔力を手にしたやつよ。夜になると洞窟から出てきて、主に家畜の血を吸うの。中には人間を襲ったケースもあるわね」


「…その人はどうなったの?」


「貧血で倒れた後に医療施設に運び込まれて、毒が入れられてるのが分かった。でも、毒消し草を飲んで安静にしたら元気になったそうよ」


「貧血…。ってことは、あんまり血は吸わないだね」


 魔獣と聞いてリーナは、エレネー村で出会った猪のような大きさを想定していた。しかし、襲われても貧血で済むようなら、あまり大きくはないのだと思った。


「そうね。襲われた家畜も毒を抜けば元気になってるし、魔獣の中では安全よ」


 二人はドットバットの生態をある程度確認すると、洞窟の中に足を進め始めた。中はさらにひんやりとしていて、奥の方には日の光が届いていなかった。


「リーナ、マナのポーションを出して」


 リーナは保存リュックからマナポーションを取り出し、アムリテに手渡す。アムリテはそのポーションの蓋を開けると、一口で飲み干した。


「くぅー!やっぱ、不味い!」


 アムリテは飲み干した容器をリーナに渡す。リーナはそれを袋に入れてから、リュックにしまった。アムリテいわく、この容器は使い捨てにするにはもったいないそうだ。


「アムリテ、どうして今飲んだの?」


「たいまつを作るためよ。あたし、火の魔法の燃費が悪いから、通常時は使えないの」


「あ、だからポーションを飲んで魔力を高めたんだ。枝を集めたのも」


「そういうこと。リーナ、さっきの枝を前に出して」


 リーナは枝の束を二人分アムリテの前に出した。


「フェイティア!」


 アムリテが杖を光らせ呪文を唱えると手の先に火の球ができ、リーナの持つ木の束に火が点いた。


「ありがとね。この洞窟はそんなに広くないって言ってたし、さっさと見つけましょ」


「うん。いつでも戦えるようにはしておくよ」


 洞窟の中をたいまつの明かりを頼りに二人は歩く。地面は石が転がっており、草は生えていない。天井も岩肌がしか見えるものはなく、生物と言えるものはいないように思えた。


「アムリテ、ドットバットってどれくらいの大きさなの?」


「個体差はあるけど、大きい物でも三十センチくらいよ。魔法を使えば、数センチになるから見つけにくいのよね」


 二人は上下左右を見渡しながら洞窟を進んでいると、二人の前に分かれ道が現れた。分かれ道の奥にたいまつの光が届くことはなく、先がどうなっているかなどは分からない。


「どっちに進もうか?」



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