海と言えば 60
リーナとアムリテは白い砂漠に足を入れて、海に近づいた。最初に感じた潮の香りは更に強くなり、この海が香りの原因と言うことが感じられる。
「リーナ、ちょっと舐めてみて!」
リーナは海に人差し指を入れて、指を濡らす。その指を口に入れた。
「しょっぱーい!」
「やっぱり、そうなのね!」
アムリテも自分の人差し指を海に入れて、その指を舐める。
「しょっぱいわ!これこそ、海の味よ!」
「なんで、この水はこんなにしょっぱいの!?それに、湖とか川の水とも違うような?それにそれに、寄ってきたと思ったら消えるの!?」
リーナも初めて見る海に興奮し、喋り方が幼くなってしまうがそんなことがどうでもよく思えるほどだった。
「リーナ、落ち着きなさい!その質問全てに答えてあげるわ!」
アムリテは大きく息を吸い、肺に空気を溜める。リーナはその様子に唾を飲み込む。
「答えは……分からない!よ!」
「えぇ……」
リーナは驚きよりも先に、落胆が来てしまった。それほどまでに不思議に思っていたのだ。
「どうして、しょっぱいか?どうして、波が出るか?あ、波ってのは寄ってくるこれね」
アムリテは波にが来るたびに、足で蹴る。しかし、波は水が作っているために、足を避ける形で砂浜に上がっては引いて行く。
「どうしてかなんて、偉い学者が分かりやすく説明してくれるわよ。そんなことより、この街に来たなら、海を存分に楽しみましょ!」
そう言ってアムリテは再びリーナの腕を掴んで、走り出した。リーナは連れられるようについて行くと、アムリテは一軒のお店に入った。
店内には女性しかおらず、女性ものを専門にしている水着屋だということが分かった。
「リーナ、あんたの水着を選んであげる!光栄に思いなさい!」
「それじゃあ、私はアムリテの選ぶね!絶対に似合うと思うのがあったんだ!」
二人は店内を見て回り、それぞれに似合う水着を選択する。といっても、リーナは店内に入る前に見えた水着だと決めていた。
「それじゃ、着替えて見せあいましょ!」
二人はそれぞれが選んだ水着を交換して、試着室に入った。受け渡しの時点ではお互い見ないように水着から目線を外していた。
「何よこれ!?」
リーナがアムリテの選んだ水着を見ようとした瞬間、隣の試着室からアムリテの叫び声が聞こえてきた。
その声に反応して、店員がアムリテの入っている試着室に声を掛けた。
「どうかなさいましたか!?」
「あ、いえ、何でもないでーす」
その間にリーナは、アムリテが選んだ水着に着替え終わった。
「アムリテー、終わったー?」
「今終わったわ!せーので出ましょ!せーの!」
二人は試着室から飛び出し、お互いの姿を確認する。アムリテが選んだリーナの水着は、水色を基調とした物で、胸のあたりには白や黄色の花の飾りがつけられているものだった。一目見た瞬間に、リーナはこの衣装を気に入った。
一方、リーナが選んだ水着を着たアムリテは赤面し、体が震えていた。
「あんた、どうしたらこんなのがあたしに似合うと思ったのよ!?」
リーナが選んだ水着はピンク色の水玉模様が入った水着だった。
その水着が気に入らなかったのか、アムリテはリーナの肩を掴んで揺らし始めた。
「こんなの子どもみたいじゃない!あたしはちゃんと、選んであげたのに!」
「お、落ち着いて!すっごく似合ってるから!」
「それは暗に、あたしが子供っぽいって言いたいの!?」
この騒動を聞きつけた店員が、二人に駆け寄ってくる。
「ど、どうかなさいましたか!?」
「あ、店員さんもあの水着似合ってると思いますよね!?」
「はい!すごくお似合いです!」
その言葉を聞いたアムリテはリーナの肩をピタリと止めた。
「もし、嫌なら他のにする?」
「……これでいいわよ」




