ながら射撃! 45
二人は訓練場に入ると、それぞれの武器を取り出した。アムリテの杖もリーナの弓と同じく、青い色をしていた。
「アムリテの杖、きれいだね!水を使います!って感じ」
「あんたの弓だって青じゃない。魔法は使えるの?」
アムリテは話してる間にカバンから水筒を取り出すと、逆さにして水を出した。その水は地面に落ちる前に一つの球体となって、昼間と同じようにアムリテの周りに浮いた。
「私は魔法なんて、使えないよ。だから、この弓で遠くも対処できたらなーって。まぁ、武器屋のおじさんに勧められたからだけど」
リーナは勧められるまで、弓を使うなんて発想はなかった。だが、これから先短剣だけではどうにもならないことも増えていくだろう。
「いいんじゃない?あたしも魔法はお姉ちゃんが使ってたからだし、杖も餞別?みたいな形で貰っただけだから」
「アムリテのお姉ちゃんって、どんな人!?やっぱり、魔法を使うんだね!」
記憶にある肉親が父だけのリーナは兄弟というものに、少なからずの憧れがあった。
「一言で言うと何でもできる人、だったわ。最後は愛想をつかされちゃたんだど…」
アムリテは薄い、自嘲のような笑みを浮かべた。
「さ、そんなことより練習するんでしょう?聞いただけでも、あんたより弓がうまいみたいだし」
「うん。私が弓を当てられるようになったのも、その人のおかげなんだ」
つい三日前のことが遠い過去のように感じる。それほどまでに、昨日は大きな出来事があったのだ。
「とりあえず、的を撃ってみなさい」
アムリテの指示に従い、リーナは姿勢を取り、弓を撃つ。その弓は真っすぐに的に向かい、円の中心を捕らえた。
「…あんた、三日目って言ってたっけ?いいセンスしてるわね」
「ありがとう!」
リーナは次の矢を取り出し、もう一度撃とうとするとアムリテから待った、がかかった。
「今度はあたしの水球を目の前に置くから、何とかして的に当ててみて」
そう言うと、アムリテの周囲を漂っていた水球が、リーナと的の間で止まった。
リーナは水球を貫いて的に刺さると思い、矢を放つと、矢は水球の中で止まってしまった。
「…力が足りなかったのかな?」
リーナは先ほどよりも強い力で弓を引き、矢を放つ。しかし、その矢もまた水球の中で止まってしまった。
「あたしの水球はそんなんじゃ、貫けないわよ!障害物があるのに、撃ち続けでも意味ないでしょ!?」
「障害物…。アムリテ、これって私は移動してもいいの?」
「あたしは的に当てろ、って言っただけ。それ以外はあんたの自由よ」
リーナはその言葉を聞き、水球の対面から少し横に逸れる。それだけで、的とリーナの間には障害物がなくなり、容易に当てることができた。
「それじゃ、次ね。今度はあんたの邪魔をするように動くから」
そう言うとアムリテの杖が光りだす。それに同調して、水球がリーナの横にゆっくりと動いた。リーナは先ほどと同じように横に逸れる。だが、先ほどとは違い、リーナが弓を構えると、リーナと的の間には常に水球がある状態だった。
「えっと、そんなに早くはない…。けど、構えるころには追い付かれる…」
リーナは口に出し、状況を整理するとあることが思い浮かんだ。
「動きながら、撃つ…!」
歩き出す前に矢をセットし、水球を避けるように動く。的が顔を出した瞬間に矢を放つと、矢は的の遥か横を通り抜けてしまった。
「もう一回!」
リーナはもう一度矢をセットしてから、歩き出す。そして、今度は正確に的を狙って撃つ。その矢は正確に的に向かって、走る───が、水球が的に届く前に矢を捕まえた。
「見えてから構えるのは間に合わない…。なら!」
リーナは歩く前に弓の照準を的に合わせ、ゆっくりと、しかし水球よりは速い速度で歩く。そして、的が顔を見せた瞬間に矢を放つと、水球が遮る前に的の中心を貫くことができた。「おめでとう。戦い中は移動しながら、撃つことが結構あるから覚えておいた方がいいわよ」
アムリテは手を叩き、リーナを褒める。しかし、その顔はできて当然だと言わんばかりの顔だ。
「あたしがアドバイスできるのは次が最後よ」
アムリテは再び杖を光らせる。すると、水球が青く輝き、小さな四つの球に分裂した。
「これで、あんたを攻撃するから避けながら、的を撃ちなさい」
「うん!やってみる!」
リーナが弓に矢をセットしようとすると、小さくなった水球が飛んでくる。それは決して早くはないが、矢をセットしながら避けるのは少々、難しい物だった。
「相手が攻撃の準備を待ってくれるなんて、思っちゃダメよ。全ての動作は避けながら、と思いなさい」
リーナは何とかして、弓に矢をセットする。的の方向を見ると水球と重なっていなかったので、すぐに撃った。その矢は正確に的を貫いた。しかし、リーナもまた水球を顔に受けていた。
「うへぇ、べちょべちょ…。でも、この感じシオンを思い出すなぁ...」
リーナの独り言はアムリテの耳に届くことはなく、アムリテから指摘が入る。
「今、止まってたうえに相打ちになってたわよ?もっと、集中しなさい!避けるのが大前提よ!」
「はい!」
その後も、練習を続けたリーナは持っている矢を全て使い切るころには全身がびしょ濡れ、一回も的に当てられなかった。
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