表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミキタビ始めました!  作者: feel
2章 旅に出ます!
44/293

友達っぽい! 44


 リーナに追われる少女はリーロットに入ると、その足でギルドに入った。

「リンリン!早く、査定お願い!」


「アムリテさん、そんなに慌ててどうしました?」


少女──アムリテは慌ててカバンから大量のハタアラシを出し、リンリンに渡す。その、慌てようにリンリンが驚いていると、ギルドの扉が開き、元気な声が鳴り響いた。


「ねぇ、水の子ー!どうやったら、あんなにキレイに落とせるのー?」


リーナはアムリテを見つけると、大きな声で呼んだ。その呼び方にギルド内がざわつく。


「あ、リーナさん!アムリテさんと友達になれたんですね!」


「なってない!」


リンリンがその様子を見て、友だと思ったのをアムリテは訂正する。


「リンリンさん!その子、アムリテって言うんですね!」


リーナはアムリテとリンリンの方に近づく。アムリテはリーナから距離を取ろうとしたが、査定中のため離れられなかった。


「ちょっと、リンリン!早く査定を!」


「はいはい!今すぐに!」


 リンリンはアムリテが持ってきたハタアラシを持って、受付の奥に消えて行った。そのハタアラシの数は軽く二十は超えていた。


「ねぇ、アムリテ!どうやったら、あんなに取れるの?私が弓を打ってもすぐに飛んで行っちゃって…。何か、コツとかあるの?」


 アムリテはリーナの質問に一切反応せず、かたくなにリーナの方を向こうとしない。


「あの水の魔法すごかったね!あの魔法以外にも、使えるの?私は、全然魔法使えなくって…。でも、今弓の練習をしてるんだ!」


「うるっさい!誰もあんたの話なんて聞いてないし、話しかけないで!」


 アムリテは出会った時と同様、リーナを拒絶する。しかし、リーナはめげることなくアムリテに話しかける。それは、弓の上達のためだけではなかった。


「お待たせしましたー!二十七匹のハタアラシと処理報酬を含めまして、合計八千八百エルです!」


「二十七匹!?三十匹じゃなくて!?」


 アムリテは報酬の内訳を聞き、声を上げた。どうやら、想定していた数よりも少なかったようだ。


「数え間違いはない!?ちょっと待って、カバンの中にいるかも…」


 アムリテは先ほどとは別の焦りを出し、カバンの中をひっくり返して確認する。だが、中から出てくるのはハタアラシの羽だけだった。


「リンリン、明日の朝に三匹持ってくるから何とかできない?」


「すみません…。規則は規則なので…。今日中でしたら、なんとかできるのですけど…」


 アムリテとリンリンは困ったような顔を浮かべ、沈黙してしまった。


「三十匹だと何かあるの?」


 リーナは双方に聞くような形で質問する。その質問に答えたのは、やはりリンリンだった。


「えっと、このクエストでの処理報酬は十匹ごとに五百エルが入るんですよ。なので、あと三匹居ると報酬が上乗せできるんですけど…」


リーナはその話を聞き、自分が狩ったハタアラシを思い出す。


「アムリテ!私の狩った三匹あげるよ!」


「…え?」


 落ち込んでいたアムリテがリーナの言葉で少し顔を上げる。その目には期待の光が宿っている。


 リーナはその期待に応えようとリュックに手を突っ込み───そこで、もう一つ思い出した。


「あ、私ハタアラシ持って帰ってきてないや…」


リーナはリーロットに帰ってきたのは、矢の調達のためで、ギルドに報告しに来たわけではない。なので、ハタアラシも雑木林に置いてきたままだったのだ。


「うぅ…」


 一度期待したアムリテの肩がさらに落ち込む。


「元気出して!ほら、アムリテの魔法があれば───」


「うっさい!もともと、あんたが来たせいでこんなミスを!」


アムリテは泣きそうな目でリーナに近寄る。リーナは圧倒され、一歩後退する。


「ご、ごめん!あ、なら、お詫びにご飯おごるから!一緒に行こ?」


「ご飯!?」


リーナの言葉にアムリテは先ほどと同じように、目を輝かせた。よっぽどお腹が空いているのだろうか。


「うぅん!それって、ギルドのご飯でもいいわけ?」


自分でも興奮したのが恥ずかしくなったのか、アムリテは先払いをしてギルドのご飯を要求する。


「うん!その代わり、友達っぽく喋ろうね!」


「仕方ないわね…!」


 こうしてアムリテはハタアラシ二十七匹分の報酬を受け取り、リーナと共にギルドの食堂に向かった。



「おばちゃん!あたし、豚の煮込み定食ね!」


「お、アムリテちゃん!今日はしっかり食べるんだね!ちょっとサービスしてあげるよ!」


 アムリテは食堂に入ると、さっそく注文を済ませた。会話から分かるように、アムリテはずいぶん食堂の従業員と仲がいいようだ。


「そっちの子はアムリテちゃんのお友達かい?何にする?」


「私は焼き魚定食でお願いします!」


「あいよ!」


 リーナも注文を済ませ、料理を受け取るとアムリテが座っている二人用のテーブル席に着いた。


「「いただきます!」」


 アムリテはリーナを待っていたようで、リーナが席に座ると手を合わせて食事を始めた。


「見て!プリンおまけしてもらった!」


 アムリテは小さい子供のようにサービスで付けてもらったプリンに、ニコニコと笑顔を浮かべた。


「アムリテはよく食堂で食べてるの?あの人と仲も良さそうだったし」


「そうね。毎日、ここの食堂でご飯と豚汁よ。お肉うっま!」

アムリテは食事に夢中になりながらも、しっかりとリーナの質問に答える。先ほどまでと比べると、大きな進歩だとリーナは思った。


「そういえば、あんた弓の練習とか言ってたわね。弓を持ってどれくらいなの?」


「今日で三日目だよ。的には当たるようになってきたんだけど、鳥には全然で…。アムリテはどうやって、あんなに当ててたの?」


 魔法と弓とでは何から何まで違うが、獲物を貫くという点に関しては共通している。リーナはそこから、何か分かるかも知れないと思っていた。


「コツって言われても…。あ、でも、あの鳥は人間の事をよく見てるから、こっちがなにかしたらすぐに飛び立つの」


「うんうん!」


 アムリテは食事を止めず、リーナに解説する。気づけば、アムリテのお皿は半分ほどすでに消えていた。


「で、飛び立つのはその時体が向いてる方向だから、それを予測して打てば当たるわよ。あとは風とかもね」


「予測…!なるほど!」


 的は動かないから、見えている通りに照準を合わせればいい。だが、鳥は動く。しかし、その動く方向が分かっているのなら、そこに合わせればいいだけの話だ。


 リーナはアムリテの解説で何かが掴めたような気がした。


「ありがとう!食べ終わったら、もう一回行ってくるよ!」


 リーナは今すぐに弓を打ちたいと思い、料理をかきこむ。


「今からは無理よ。あいつら、日が落ちたら鳴くのをやめるし、姿なんか見えたもんじゃない。明日にしなさい」


 アムリテの言葉を聞き、リーナの上がったテンションが落ちていくのが目に見えた。


「どうして、そんなに焦ってるのよ。練習なら、いつでもできるじゃない」

「ううん、練習は明日までしかできないんだ。明後日には実践で使えるようにしないと…」


リーナは自分でも焦っているのを感じていた。しかし、その焦りも決闘のことを考えると必要なものと考え、藁にも縋る重いで練習をしている。


「何かあるの…?」


アムリテが真剣な眼差しでリーナを見つめる。その目には心配が混ざっており、リーナはニョルデゴートのこと、アッシュのことをアムリテに離した。



「そう…。あの貴族が…」


 アムリテは全てを聞き、しばらく考えた後に口を開いた。


「そういう事なら、あたしも手伝ってあげるわ。感謝しなさい!」

「いいの!?ありがとう!」


 リーナはアムリテに抱きつく。まさか、協力してもらえるとは思っておらず、少し寂しかった一人の練習に友達ができたことに嬉しくなった。


「でも、ここはおごってもらうからね!」


そうして、二人は食事を楽しんだ後、訓練場に入った。リーナはアムリテと食べる食事がこの街に来てから食べた食事の中で、一番おいしいと感じた。


この時間はいつもご飯を食べてるので、お腹が空いてやばいです...。

書いてて、お腹の音が鳴りやみませんでした笑

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ