野菜野菜 37
お昼をご馳走してもらった後にリーナは村を出る準備を始めていた。古くなった毒消し草を買い直し、次の街までの軽食と保存色を購入する。保存食と言っても、食品の劣化は保存リュックが遅くしてくれるので、大体は好きなものでよかった。
「さて、準備もできたしそろそろ行こうかな?」
宿で宿泊料を払い、建物を出る。すると、頭の真上から太陽の光がリーナを突き刺した。
「あぅ…。この時間は暑いから、夜明けに出るって言ってたのに…」
思い出しても後の祭り。すでに宿を出る手続きは済ませてしまったので、もう一度取るのも気が引ける。リーナがどうしようかと悩んでいると
「リーナさん、次の街はリーロットですか?」
クラムが宿から出てきた。その手には荷物がまとめられており、クラムも宿を出発するようだ。
「そうなんですけど、この暑さの中歩くのもなぁって思って…」
「馬車は使わないんですか?もう少ししたら、リーロット行きが二台出るそうですよ」
徒歩で旅をしようと思っていたリーナには想定もしていなかった手段だ。馬車でなら、少し観光してから、宿を探す時間もあるだろう。
「私も馬車で行こうかな…?」
「それでしたら、案内しますね」
リーナはクラムの案内で、馬車の手続きを済ませてから、馬車に揺られてリーロットに向かった。
馬車に揺られること小一時間で、リーナはリーロットへ到着した。検問の方も、馬車に乗る際に冒険者カードを出していたからか、止められるようなことはなかった。地図には、リーロットは王国よりも少しだけ小さい街で、ギルドもあると書いている。
「僕は楽器を見に行きますね。またどこかでお会いできることを」
「私はおいしい物でも探してみます。とっても楽しい旅でした!」
二人は別れを告げ、それぞれの方向に歩き出す。リーナはおいしい物と言っても、この街のことを一切知らないので、この街のギルドに向かうことにした。
「こっちの方向かな?」
リーナは地図を頼りに、ギルドの方へ歩く。道中には見るからに新鮮な野菜を並べている店が多くあった。野菜ジュースなどと看板に書いている店もあったので、この街は野菜が特産だと分かった。しばらく通りを歩くと、ギルドらしき建物が見えてきた。王国のギルドは
見た目に特徴らしきものもなかったが、ここのギルドは建物に植物が巻き付いていた。
「野菜に関係してるのかな?」
リーナはギルドのドアを開き、受付の方を目指す。空いている席に座ると、その受付にはモミジより若い、女性がいた。
「初めまして!今日はどのようなご用件でしょうか?」
「実はこの街に来たばかりでして、この街の地図が欲しいんですが」
「冒険者カードはありますか?なければ、十五エルいただきますが?」
リーナはリュックから冒険者カードを取り出し、女性に見せる。
「はい、確認できました。こちらが、リーロットの地図とおすすめ施設の紹介誌です」
リーナは地図と冊子を受け取り、一通り目を通す。
「やっぱり、野菜が有名なんですね。ここに来る途中もたくさんありました!」
「そうなんですよ。リーロットに来たら、野菜スムージーを飲んでみてください!新鮮な野菜で作られて
いますので、とっても甘くて健康にもいいですよ!」
この女性は自分が好きなのか、目を輝かせて解説する。
「へぇ!楽しみです!」
リーナは地図と冊子をリュックに入れ、ギルドを出ようと立ち上がる。
「あ、そうそう。あと一時間ほどしたら、屋内に居てくださいね。それから、一時間ほどで収まりますので」
女性は少し顔を曇らせ、リーナに言った。その言葉は少し気になったが、リーナはなぜか聞く気にならずお礼を言って後にした。
野菜が好きな人は尊敬します!




