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ミキタビ始めました!  作者: feel
1章  初めての王国
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頑張った後には報酬がある 32


 瞼を刺す太陽の光に心地よい眠りから、リーナは目を覚ました。体を起こし、周囲を見渡すと王国の宿にいることが分かった。


「私、確か…」


リーナは頭に手を当て、これまでのことを思い出そうとする。ミサキとネルの二人に誘われて、エレネー村までの護衛依頼を受けた。エレネー村までは、何事もなく日が落ちきる前に着いた。


「それから、魔獣に会って…」


そこでリーナは全てを思い出した。魔獣をミサキと倒した後に、デルゴンとの戦いになり、バレンが────


「バレン、ミサキ、ネル!」


リーナは三人のことを思い出すと、不安が押し寄せる。部屋から飛び出そうとベッドから飛び降りた。すると、扉が勝手に開き


「お!起きたか、リーナ!」


扉の奥から、ミサキと頭の上で寝ているネルが入ってきた。


「ミサキ、ネル!」


リーナは二人に駆け寄り、抱き着いた。目から涙があふれる。ミサキはそんなリーナの頭を優しくなで

る。


「頑張ったな、リーナ」


リーナはひとしきり泣くと、息が落ち着いた。


「ミサキ、バレンは!?無事なんだよね!?」


幼い子供があんな状況に置かれれば、トラウマになってもおかしくない。リーナはバレンに会わなければと思った。


「大丈夫だよ。エレネー村にいるからすぐに会うのは難しいけど、はいこれ」


ミサキはネルのカバンから、手紙を取り出すとリーナに手渡した。リーナはその手紙を受け取り、中身を読む。



お姉ちゃんへ、やっと起きたんだね!本当は口で言いたかったけど、助けてくれてありがとう!って、僕、何も覚えてないんだよね…。でも、ミサキお姉ちゃんから夜の森で寝てた僕を家まで運んでくれたって聞いたよ!起きたら、また冒険の話聞かせてね!バレンより



 その手紙を読み、再びリーナの目から涙がこぼれ落ちる。何度ぬぐっても、更に多く涙がこぼれる。


「良かったよぉ…。本当に良かったよぉ……!」


命あるだけでもと思っていたリーナは、バレンが想像以上に元気なことに安堵する。


「ところで、やっと起きたって?」

「あぁ、リーナはあの夜から二日間も寝てたんだよ」

「えぇ!?」


そんなに寝ていると思っていなかったリーナは、驚きのあまり叫んでしまう。その様子を見たミサキは声を上げて笑うと


「リーナ、私達からもありがとうって言わせてくれ」


ミサキは腰を折る。その反動でネルが落ちそうになるが器用に掴まっているのか、落ちることはなかった。


「いやいやいや、デルゴンもミサキが倒したんでしょう?なら、こっちがありがとうだよ!」

「……違うよ、デルゴンを倒したのはリーナだよ」


リーナはデルゴンを倒した記憶がない。なら、リーナが気を失った後にミサキがどうにかしたんだと思っ

ていた。


「…リーナが倒れる直前に、リーナの頭がデルゴンの顎に当たったんだ。それで、ネルが縛り上げたんだって」


リーナは締まらない結末に頭をひねる。しかし、それならリーナが覚えていないのも説明がついた。


「それで、リーナはこれからどうする?」

「どうする、って?」

「まずは、ご飯でも食べに行くか?それとも、報酬をもらいにギルドに行くか?」


リーナはその言葉にハッとする。まだ、護衛クエストの報酬をもらっていないことに気付いた。


「ギルド!じゃないと、私お金が…」


リーナのお財布は、エレネー村での出費で寂しいものとなっていた。まずは、お金をもらいご飯を食べるつもりだ。


「そっか、ならあたし達も貰いに行こうか。ネル、起きれるか?」

「ん」


ミサキがネルを揺さぶると、ネルは転がるようにミサキの頭から降りた。


「まだ、二人も貰ってないの?」

「あぁ。きっと、びっくりする額だぞ!」

「ネル、たのしみ」


ミサキとネルは目を輝かせて、部屋を出て行った。リーナも最低限の準備をして、後を追った。




 三人でギルドに入ると、モミジが受付から走って出てきた。


「リーナさん!よかった、起きられたんですね…!」

「あはは、寝すぎちゃいました……」


リーナは少し恥ずかしくなり、頭の後ろに手をやった。


「モミジちゃん、報酬の方お願いできる?」

「はい!要望通りに準備できてます!では、受付まで!」


三人はモミジに案内されて、受付に足を運ぶ。そこには、魔獣の牙の一部みたいなものも置いていた。


「リーナ、この素材はどうする?片方はあたしたちが貰ったけど」

「んー、特にいらないですね」


リーナは少し用途を考えたが、飾る以外の使い道が分からなかった。それに、宿に飾るわけにもいかない。


「なら、売却しますか?ギルドで買取もできますよ」

「はい、お願いします!」

「では、そちらの分も報酬にお付けいたしますね」


モミジはそう言うと、牙を男性に運ばせ、自分も裏へ消えていった。次に現れた時には、籠を持っていた。


「では、まずネルさんからですね。護衛クエストと魔獣討伐補助、そしてデルゴンの制止補助の合計で、六十五万エルです!」


モミジは大きな袋を籠から取り出すと、机の上に置いた。


「むっふん!」


ネルは鼻息を荒くして、その袋をカバンの中にしまう。明らかに、容量オーバーに見えたが杖などもあのカバンに入っていたので、大きさは関係ないのだろう。


「次に、ミサキさんですね。護衛クエストと魔獣討伐メインとなりますので五十五万エルです!」


モミジは先ほどと同じような袋を取り出し、また机の上に置いた。


「ちょ、ちょっと!護衛クエストは五万エルもしないはずだよ!?」


焦るモミジは片目を閉じ、口に手を当てると


「ギルドからのボーナスですよ」


「…あり、がとう」


ミサキはそう言われると、どこか嬉しそうに、袋を受け取った。


「さて、最後にリーナさんですね!護衛クエストに魔獣討伐補助、そしてデルゴンの制止で合計が────」


モミジはにやつきながら、発表を止める。


「合計は!?」

「なんと、百万エルです!!」

「えぇ!!??」


あり得ない数字に驚いたリーナの声は、ギルド中に響いた。


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