デルゴン戦2 30
「ま、死んでも寂しくないだろうから、恨まないでくれよ」
その笑顔から出される挑発にリーナは必死に耐え、横の木陰に隠れ、左右に走る。デルゴンは暗闇のおかげか、リーナの位置を追い切れていない。リーナは動き回りながら、デルゴンの上に着いた。デルゴンはまだ、リーナと反対方向を向いている。
短剣を持つ手に力が入る。リーナは木から飛び降り、デルゴンの首筋を狙って短剣を振るった。
「信じてたぜ、クソガキ!」
完全に決まったと思われた一撃はデルゴンが後ろに伸ばした左手の短剣によって、阻まれた。
「っ!!」
リーナは慌てて、体を引こうとのけぞらせる。しかし、落下中のリーナの足が短剣を持っていたはずの右手に掴まれた。
「さぁて、反撃の時間だな」
デルゴンは口を歪ませて笑った。その顔にリーナは明確な恐怖を抱いた。
「簡単にはくたばってくれるなよ?」
デルゴンは左手に持っている短剣を腰に戻し、握り拳を作るとリーナのお腹に向けて振りかぶった。
「がっあ!」
魔獣とのダメージも重なり、口から血が噴き出す。それと共に、怒りで忘れていた体の疲労が重なり、体から力が抜ける。
「おいおい、こっからなんだぜ?」
デルゴンはもう一度、リーナのお腹を殴る。そのたびにデルゴンは笑みから生まれる皺を深くさせる。
「ぐっ!」
口から、空気か声か分からないものが漏れる。肩を上下させて息をする。それだけでも、体中に痛みが巡る。
「……早く、殺しなよ」
「嫌だね!俺は達成感を得たいのさ、相手の心を折るという達成感を!」
デルゴンがまた高笑いする。その声を止めようと、腕を上げるが木に叩きつけられ、抵抗もむなしく消える。
「このままでもいいが…。よし」
デルゴンはまた拳を作り、リーナの両足を殴る。
「がぁああ!」
リーナは足の感覚がなくなったのに気づいた。見れば気が折れそうな気がしてみるのをやめる。そんなリーナをデルゴンは投げ捨てた。
「そこで、見てな」
デルゴンはリーナから離れ、ネルたちの方へ向かう。ネルはミサキとバレンの前に立つ、
「……ま、て!」
デルゴンの考えに気付き、リーナははいずりながらデルゴンを追う。
「おいエルフ、ガキを起こせ」
「……ダ、メ!」
ネルは杖を持ちながら、デルゴンに抵抗する。しかし、杖の先は光っておらず魔法が発動しないのは見えていた。
「なら、そのガキから殺すか」
デルゴンはネルを掴み飛ばす。そして、バレンの頭を持ちあげた。
「最後だ、こいつを起こせ」
ネルが震えている。幼いバレンを起こせば生涯消えない傷になるのは見えていた。
「………ネル、お願い」
リーナはデルゴンに従うことで、バレンの命を少しでも長引かせる。
「リーナァ……」
ネルは泣きそうな目で、リーナを見つめる。そして、握った杖を光らせ
「スティング・アップ」
バレンの体がピクリと動き、目を開いた。それを確認すると、デルゴンはバレンを地面に投げつける。うつ伏せになったバレンの頭を掴むと
「ガキ。この剣で、あそこで寝てる女を殺せ」
バレンの前に短剣を突き付けた。
早くも30話!気楽に投稿していくので、読んでくださいね!




