デルゴン戦1 29
前話で一部抜けていましたので、追加させていただきました。
訂正箇所「いい加減に帰ってこい!」から「やったね...!」の間です。
大変失礼いたしました。
「ミサキ!」
離れていたネルが、ミサキの異変に気付き飛び出してくる。ネルはミサキの傍まで来ると杖を取り出し、先を光らせる。
「アンチ────」
「エルフ!!」
魔法をかけようとしたネルはデルゴンの大声に怯み、杖の光が消えてしまう。
「次、そいつの毒を直そうとすると、その瞬間全員殺すぞ。ミサキさえいなければ、難しいことじゃない」
デルゴンはネルを睨みつけたまま、ボウガンに弓を装填する。ネルはミサキの手を握り、震えている。リーナは寄りかかるミサキをネルに預ける。
「デルゴン、あなたの望みはその魔獣でしょ?さっさと、持っていって」
「そうだな。だが、お前たちがギルドに戻ると厄介なことになるんでな。お前たちには死んでもらう必要がある」
「……結局、殺すつもりなんだ」
バレンを見つけた時と同様、否、それ以上に強い感情がリーナを襲う。
「まぁまぁ、落ち着け。俺もそこまでの悪じゃない」
デルゴンの声が、動きがリーナの神経を逆なでする。
「俺とお前の一騎打ちをしよう。それで、お前が勝ったら三人とも、いや四人か。ま、全員見逃してやるよ」
「……どうして、そんなことを?」
リーナは叫びだしそうな感情を抑え、冷静さを保とうとする。
「どうしてって、そりゃあ、達成感のためさ!」
デルゴンは挑発するように、大きな声で笑いながら言い放った。
その答えを聞いた瞬間、リーナはデルゴンに向かって駆け出していた。生まれて初めて抱いた殺意共に。
「交渉成立だな!無様に生きまわってくれよ!」
デルゴンはボウガンをリーナに向け、恐らくミサキを倒した矢と同じものが放たれる。
リーナはそれを、逆手に持った短剣で弾き飛ばす。
「…名も通って無いガキが」
デルゴンはボウガンを放り投げ、左右の腰から短剣を取り出した。リーナの持っている短剣よりも少しだけ長いだけだが、本人の体格も合わさり、リーナから見るとミサキの剣と同じだけのリーチを持っているように感じた。
「実践の差を教えてやるよ、クソガキが!」
デルゴンは迎え撃つようにリーナに向かって走る。リーナが短剣の範囲に入ると、デルゴンは左手の短剣でリーナのお腹を突き刺そうとする。それをリーナは右手に持っている短剣に当てて逸らす。それを意に介さず、デルゴンは右手の短剣でリーナの頭を狙う。
それをリーナはしゃがむことで回避する。そして、頭の腕に来たデルゴンの腕に自分の腕を絡ませ、宙に浮く。そして、踵をデルゴンの頭に叩きつけた。
「っぐ!」
デルゴンは少しよろけたものの、すぐに体制を立て直した。体格差のせいで大きなダメージにはなっていないようだ。
「身体能力は認めてやるよ。さぞ強い冒険者になれただろうよ。俺に出会わなければな!」
「……」
リーナはデルゴンから距離を取り、短剣を持ち直す。デルゴンは攻撃を食らったにもかかわらず、余裕の笑みを絶やさない。




