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ミキタビ始めました!  作者: feel
1章  初めての王国
28/293

魔獣戦3 28

魔獣は剣を胃まで落としたのか、二人の方を向き直した。


「?」

「回る動きが無ければ、なんとか……」


前足を軸に回転することで、突進の反動を最小限に抑える。それだけでなく、浮いた足を木に着けて蹴ることで、突進に必要とする時間を大幅に短縮する。


リーナはミサキの余裕を信じるよりも、目の前の魔獣の脅威に冷や汗をかいた。

魔獣はリーナの不安を感じ取ったのか、リーナに向かって突進を始めた。


「リーナ!」


ミサキの声に返すほど余裕はなく、リーナは魔獣に集中する。魔獣は一直線にリーナに向かってくる。リーナは姿勢を低くして魔獣の方へ走る。魔獣とリーナが衝突する、瞬間にリーナは魔獣の牙と足との間に滑り込む。


魔獣は突進が失敗すると、回転の時と同様、前足を地面にめり込ませた。


「させない!」


仰向けの体を横に倒し、魔獣の後ろ脚に腕を回して掴まる。魔獣は足に掴まったリーナを振り落とそうと、後ろ脚を浮かせ地面に足を何度もぶつける。しかし、リーナは必死の思いで腕に力を込めて離さない。


「ありがとう、リーナ!」


その攻防の最中にミサキは木から飛び降り、魔獣の背中に着地した。


「さぁ、あんたの好きな血だよ!」


ミサキは木の上で拾ったのか、枝を自分の右腕に突き刺した。ミサキの腕から血が流れ、魔獣の体の奥にしみ込んでいく。その間も魔獣は二人を落とそうと、暴れまわる。


「ミサキ、まだ!?」

「……反応がないんだ!っち!」


ミサキは剣の反応がないことに気付くと、魔獣の頭の上まで進んだ。魔獣は顔を地面にこすりつける。


「いい加減に帰ってこい!」


ミサキは頭の上から、魔獣の目に右腕を突き刺した。その瞬間、魔獣が声にならない悲鳴を上げバタリと

倒れた。


「リーナ!」


ミサキが魔獣から降り、リーナに駆け寄る。その手にはミサキの剣が握られていた。


「やったね…!」


リーナは笑顔を作り、ミサキに手を伸ばす。


「あぁ!」


ミサキはその手を握り、リーナの体を抱きしめた。リーナも強く抱き返す。しかし、違和感に気付いた。ミサキの息が弱弱しくなり、意識がなくなっていた。見ると、背中には矢が刺さっていた。




パチパチパチパチ


木の陰から拍手が鳴り響く。


「お疲れ様。もう、死んでいいぞ」


木の陰からデルゴンが笑みを浮かべて現れた。



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