魔獣戦1 26
「…私が正面で時間を稼ぐから、リーナは隙を狙って足を攻撃してくれ」
「了解。気を付けてね…」
ミサキは静かに頷き、剣を魔獣が来る方向に向けた。リーナはミサキから離れ、いつでもカバーできる位置に着いた。
「来る!」
ミサキの合図と同時に魔獣が姿を現す。魔獣はミサキの姿を目視するも速度を緩めることなく、ミサキに突進しようとする。
「鬼纏!」
ミサキの全身が赤く光り、その光は剣先まで達する。その剣をミサキは高く掲げ、振り下ろす。赤い光が剣から離れ、地を切り裂きながら魔獣に向かって突き進む。魔獣は光に牙をあてるようにして、赤い光と正面から衝突する。
「ブモォォ」
わずかな土煙が起こり、小さなうめき声をあげて魔獣は足を止めた。だが、魔獣は右足で何度も地面を蹴り、いつでも突進できる態勢を取った。
「これで倒れないか……。牙以外は柔らかいといいんだけど」
ミサキは剣を腰の下に再び構え、魔獣を見据える。その体はもう赤い光を纏っていなかった。
魔獣はミサキが赤く光ってないのを確認してか、ミサキに向かって突進を始めた。
魔獣はミサキを牙で貫かんと、肉薄する。その突進をミサキは剣で受け、右上に剣を振り上げることで、猪の体制を崩すそうとする。しかし、勢いが足りなかったのかミサキの体と猪の顔が衝突する。
「ぐっふ!!」
ミサキは歯をかみしめるが、体が宙を浮き木に叩きつけられた。ミサキはすぐに体を起こして立ち上がるが、ふらついている。魔獣はその隙を見逃すまいと突進を始めていた。
「っは!」
その攻撃を阻止しようとリーナは魔獣の顔に飛び乗った。魔獣は視界を失い、突進を中断しようとしたのか、顎から地面にぶつけた。リーナは止まっている魔獣の右目に短剣を突き刺した。
「ブモォォォオ!」
魔獣は激しい声を上げて、顔を地面にこすりつけた。リーナは魔獣から飛び降り、ミサキの横に着いた。
「ありがとう、助かった…」
ミサキは意識がはっきりしたのか、再び剣を構えた。魔獣も冷静さを取り戻し、静かに息を荒げながら、残った左目で二人を睨みつける。
「もう奇襲はできないけど、今からは二人だよ!」
リーナは息を吸い、短剣を握りなおした。




