仲直りで作戦開始 22
朝食も終わり、温かいお茶を飲んで一息ついた後に魔獣への話し合いを始めようとすると。
「まず初めにあたしから、いいか?」
ミサキは手を上げ、席から立つ。リーナとネルが頷くのを見て、ミサキは息を吸う。
「リーナ、改めてごめん!魔獣もそうだけど、デルゴンが来てから自分の自分を思い出すと殴りたくなっ
た!許してくれるまで、何度でも謝るよ!」
ミサキは深々と頭を下げ、リーナに謝る。
「ミサキ、許すも何も私は怒ってないよ?」
「え?でも…」
ミサキはリーナの顔色を見るために、わずかに顔を上げる。
「ただ、ただ悲しかったかな?ミサキを心配したのにって…」
リーナは思い出すように、顔を上に向ける。リーナが逃げたのも、声を掛けたのも全てミサキを心配してのことだった。
「けど、ミサキを心配するだけで理解しようと思えなかったから…」
ミサキの様子を見れば、もっといい方法があったのではと。魔獣から逃げるのではなく、少しでもヒントを探すべきだったのではないかとそう思えた。
「だから、仲直りしよう!ミサキ小指出して!」
「あ、えっとこうか?」
ミサキは慌てて小指を出し、リーナは自分の小指と絡めると
「ゆーびきーりげんまん!なっかなおり!」
その小指同士を縦に振って、最後にパッと離した。それは昔、リーナが父に教わった仲直りの方法だった。
「はい!仲直りできたね!」
「仲直りって…これ、約束のときにする奴じゃなかったっけ?」
ミサキは笑いながら、自分の小指を見た。
「ま、いっか!」
それから三人は席に座りなおして、本当に魔獣についての話し合いが始まった。
「二人は、昨日、魔獣見た?」
「うん、湖のところで。猪型だったよね?」
「だな。相当大きかった。魔法を使うかどうかまでは分からないけど」
昨日見たのは姿と水を飲むところだけだ。戦うにはあまりにも情報が少ない。上に、居場所すらも分からない。
「魔法は使わない、居場所もわかる」
ネルは静かに目を閉じて、二人に話す。どうやら、ネルはすでに魔獣を魔法で見つけているようだ。
「魔法を使わないなら、あたしの剣で切れると思うよ」
ミサキは自信満々に、剣をコンコンと叩いた。確かに、あの大きな剣ならと、リーナも思った。
「でも、魔獣すごく鼻いい。自分より強いとすぐ逃げる」
「逃げるんなら、追いかても無理だよね…。鼻が良いと待ち伏せもダメだと思うし」
三人が頭を悩ませていると、食堂に入ってくる小さな人影が見えた。リーナはちらりと目線を向けると、その影はバレンだった。
「あ、お姉ちゃんだ!」
バレンはリーナを見つけると、走って駆け寄ってきた。
「魔獣はどう!?倒せそう!?」
「んー、今のところ良い案が思いつかなくて…」
リーナは苦笑する。戦うことさえできればと思うが、どうやってそこまで持ち込むかが重要だ。
「三メートルの魔獣ってやっぱりドラゴン!?」
デルゴンが大声で話したせいで、魔獣の話は村中に広がっているようだ。
「ううん、猪だよ。すごく大きくて怖いんだよー」
猪と聞くと、明らかにバレンはがっかりした様子だった。
「なんだ猪かぁ。そんなの僕でも狩ったことあるよ」
バレンは興味をなくしたのか、帰ろうとすると
「待って!バレン君!その話聞かせて!」
リーナはバレンの肩を掴み、引き留めた。そして、バレンから聞いた狩猟方法で猪魔獣狩りが始まった。




