やべぇ、正気じゃねぇ
吹っ飛ばされる男達。皆地面に打ち付けられ呻き声をあげる。
「なっ。皆大丈夫か」
ダリアが叫ぶ。
車のドアが開く。タツは目を疑った
「え、エリカ……」
彼女は血走った目でタツを睨んだ。その顔にダリアも思わず後ずさる。
「今度は逃がさない……」
エリカは一枚の紙切れを投げ捨てた。タツがお茶会の会場に残していったメモだ。
「殺してやる」
車に乗り込むエリカ。後輪が甲高い音と共に煙を巻き上げた。
「いかん」
ダリアがそのボンネットに飛び乗った。彼を振り落とそうと車はスピンする。
「ダリア」
「早くその娘を逃がすんだ」
その言葉の通り、タツは明蘭を非常口へ走らせた。ダリアは振りほどかれ、ヘッドライトがタツを睨む。
荒々しいエンジン音を響かせながら車は突進してきた。タツは飛び上がってそれを避ける。
急旋回しようとした車は後輪を空転させ、トランク部分を資材にぶつけた。それを見たダリアは何か閃き、急いでタツを呼んだ。
「ーーこう言うわけだ」
「……よし」
迫るヘッドライト。二人は二手に別れて車の後ろへ。
車は一回転し、再び二人を睨んだ。
そのエンジンは高回転し、悲鳴にも似た爆音を響かせる。
車は白煙を纏い、どんどん速度を上げて二人に迫ってきた。
「ダリア」
「タツ」
二人は声を揃えた。
「いくぞ」
車に向かって駆け出した二人は阿吽の呼吸で飛び上がり、フロントガラスに足を叩きつけた。ガラスが真っ白にひび割れる。弾かれた二人は、地面で受け身をとった。
視界を失った車はそのまま資材の山に激突。崩れた鉄骨が凄まじい音と共に車に降り注ぐ。その中から、微かにエリカの悲鳴が聞こえたような気がした。




