案外良い奴らだな
間一髪でタツはダリアの手を掴み、右手で側の鉄筋にぶら下がった。
「タツ……」
ダリアは目を丸くして、自分を掴むタツを見上げた。
唸りながら踏ん張るタツ。しかし、ダリアを掴む手の痙攣が激しくなってきた。鉄筋を掴む右手がだんだん緩んでいく。二人は覚悟して目を閉じた。その時、誰かがタツの右手を掴んだ。
「大丈夫か、頑張れよ」
ダリアを慕う男達だった。どうやら心配して上がってきていたらしい。彼らの協力で二人は何とか復帰し、資材の上で息を切らしながら天井を仰いだ。
「た、助かった……」
虚ろな目でタツは呟く。
「チックショウ」
ダリアは額に手を当てた。先に起き上がったタツは、彼の手を引いて立たせた。
「ダリア。いつだって周りを見ずに熱くなるのは悪い癖だ」
タツに言われたダリアは言葉を詰まらせた。
「……今回も俺の負けだ、学ぶ事はまだまだあるな」
「俺もだよ」
彼はそう言ってダリアの肩をポンポンと叩き、明蘭の縄をほどいた。
下へ向かう時は、男達が彼女を降ろすのを手伝ってくれた。
「悪いな」
タツは礼を言う。丁度その時、腕の中の明蘭が目を覚ました。
「タツ……」
その瞳が潤む。彼女はタツを強く抱きしめ、その胸に顔を埋めた。
ダリアの合図で、男達は入り口のシャッターを開けに行った。
次の瞬間だ。
凄まじい轟音と共に、一台の国産セダンがシャッターをぶち破って突っ込んできた。




