執念深いな
構えの姿勢を取り、お互いに睨み合う。
足を開き、腰を落とすダリア。三本の指で何かを掴むように構え、千鳥足の体勢を取るタツ。
涼しい風が倉庫に入り込んできた。二人は目を見張り、その距離をジリジリ詰める。
タツが一歩踏んだのを合図に、ダリアの長い足が襲いかかってきた。タツはそれを払いのける。だがダリアの攻撃は止まない。弾かれた反動を利用して反対の足を交互に回してきた。タツは一発一発熊手で制する。
「どうした、双拳の龍」
ダリアはなお攻撃を続ける。しかし、その足技にバラつきが見えてきた。それを見逃すタツでは無い。
彼は地面に転がり込み、ダリアの腹部につま先をぶち込んだ。まともに喰らったダリアがよろめく。
タツは瞬時に身を起こし、鋭い平手打ちを首もと目掛けて連続で打ち込む。ダリアはそれをすべて防ぎ、一瞬の隙を突いて膝蹴りを放った。胸に受けたタツが後ずさる。
二人の間に距離ができた。ダリアは前転し、地面に手をついて開いた足をブン回した。タツは身を逸らして避ける。
身を回転させながらダリアが起き上がろうとした時だ。タツの片足蹴りがダリアの顔に入る。
顔を抑えながらふらつくダリアの脇腹に、タツは間髪入れず肘打ちを打ち込んだ。嫌な感触が肘の先から伝わる。
ダリアは呻きながら身体を丸めて倒れた。男達が慌てて彼に駆け寄る。
タツは息を切らしながら見上げた。
「明蘭……」
彼は近くの木材に足をかけ、鉄骨の隙間を交い潜りスルスルと登っていく。
あっという間に頂上にたどり着いた。
明蘭は木材に縛り付けられ、布で口を塞がれていた。気を失っているのか、彼女は目を閉じてグッタリしていた。
「待ってろ」
タツが彼女に近づいたその時だ。
「まだだ、まだ終わっていない」
下から追ってきたダリアが肩で息をしながら叫んだ。彼は奇声を上げて飛び上がり、回し蹴りで襲いかかってきた。
タツは不安定な足場に手こずりながら何とかそれを避けた。資材がぐらつく。それでもダリアはなおも激しく、身体を捻って足を振り回す。
「ダリア、ダメだ止せ」
その言葉はダリアの耳には届かない。
タツが端の鉄板に足を乗せたその時、重たい音を立てて鉄板が滑りだした。
足を救われたタツは倒れ、それによって空振ったダリアもバランスを失い転倒。鉄板は止まらず、そのまま二人ごと下へと落ちていく。




