これがお茶会か
会場となっているホテルの中ホールに入ると、明蘭と似たような格好をした女の子達がテーブルの間を行き交っていた。
思わず後ずさるタツ。彼の目には、明蘭のクローゼットの中身が歩き回っているように映っていた。
男の参加者も決して多くは無いがちらほら見える。皆それぞれ、どこかの国の王子様や、伯爵、ヴァンパイアやパンクロッカーを思わせるような格好をしている。
彼らは入ってきた二人に気がつき、一斉に視線を明蘭に向けてきた。彼女が微笑みながら手を振ると、皆頬を染める。
周りの女の子達も明蘭を見てざわつく。
「見て見て、あの娘めっちゃ可愛い……」
「メイちゃんだよ、本物のお嬢様なんだって」
「じゃあ隣の男は誰。何か冴えないけど……」
彼女らは、ジャケットのポケットに手を入れて猫背で立ってるタツを見てクスクス笑った。それを聞いた明蘭が固まる。
「見られてる……」
「ど、どうした」
彼女はいきなり持っていた鞄をタツに押し付けた。受け取ったタツは目を丸くするばかりだ。
「おい、お嬢どうしたんだよ……」
「違う、メイのことはお嬢様って呼んで」
いつもとは違い、彼女の目が鋭い。
「落ち着けよメイ、お前変だぞ」
素で出たタツの言葉に、明蘭はますます目をつり上げた。
「何なのその言葉使いは。皆見てるんだよ。アナタは執事、メイに仕える身なの」
彼女は強く吐き捨て、顎でタツについて来るように命じた。
あちこちで、明蘭の顔見知りらしい娘達が声をかけてくる。その度に、彼女は自分がタツを雇って従えている事を自慢気に見せつけた。それを繰り返される内に、タツの顔も険しくなっていく。




