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保安隊海へ行く 97

「まあこの程度の腕の護衛なら私だって断るわねえ」 

 取り出したサブマシンガンの弾をマガジンにこめるアイシャ。

「それじゃあもうちょっと揉んでやろうか?」 

 こぶしを握り締める要を見て、後ろに引く二人。

「それくらいにしておけ。しかし、この程度では確かに護衛にはならんな」 

「そうよねえ。第三艦隊第一教導連隊の連隊長くらい強くなくちゃあ……」 

 軽口を叩くアイシャを要がにらみつけた。

「つまり、楓を連れて来いってことか?」 

 要はタバコに手を伸ばす。

「わかってるじゃない!いとしの嵯峨楓少佐殿にお姫様だっこしてもらってー……」 

「アイシャ、灰皿がいるんだ。ちょっと手を貸せ!」 

「冗談だって!冗談!」 

 アイシャの肩をつかんで引き寄せる要。笑いながら逃げようとするアイシャ。

「冗談になってないなそれは」 

「カウラ良いこと言うじゃねえか!そうだ、何だってあの……」 

 あきれている二人の男達に見守られながらカウラの顔を見る要だったが、そのまじめそうな表情に思わず肩を押さえていたアイシャに逃げられる。

「それに楓さんのうちへの配属は時間の問題みたいだからね」 

 アイシャは笑っている。

「……マジかよ」 

「今頃気づいたのか?今日来た米軍からの出向人員は『第四小隊』の要員として保安隊に来たわけだ。現在保安隊の実働部隊は第二小隊までしか存在しない。つまり、すでに書類上は第三小隊が存在していることになる」 

 カウラの言葉にくわえていたタバコを落とす要。

「ちょっと待て!だからと言って……あの揉み魔がうちに来るっていう証拠にはならねえだろ?」 

 今度はアイシャを見つめる要。要は絶望していた。その先には貴腐人と呼ばれるアイシャにふさわしい笑みがあった。

「うれしそうだな、オメエ」 

「別に……、それじゃあねえ君達は帰ってもいいわよ!あとは私とベルガー大尉が引き継ぐから」 

 要達の会話にあきれていた海軍士官達は、アイシャの声を聞いてようやく解放されたとでも言うようにすごすごと車に乗り込むと路地から出て行った。

「それじゃあ行きましょう!」 

「ちゃんと話せ!ごまかすんじゃねえ!」 

 要の叫び声を無視して車に乗り込むカウラとアイシャ。仕方なくその後ろに誠は続いた。

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