保安隊海へ行く 95
「おい、カウラ」
ふざけていた要の目が急に光を失ってにごったような表情を浮かべた。
「わかっている。後ろのセダン」
信号につかまって、止まった車。誠が振り向けばその運転席と助手席にサングラスをした男の姿が映っていた。
「どこかしらね」
アイシャは小突かれた頭をさすっている。
「捲くか?」
「いや、どうせ行き先はご存知だろうからな。アイシャはこれを使え」
そう言うと要は自分のバッグからコンパクトなサブマシンガンを取り出した。
「あきれた。こんなの持ち歩いてたわけ?」
アイシャは受け取ったサブマシンガンにマガジンを差込んで眺めている。
「ケダールサブマシンガン。とりあえず持ち歩くには結構便利なんだぜ」
「私はこう言うのは持ち歩かないの」
そう言いながらもアイシャはボルトを引いて初弾を装填する。
「誠、ダッシュボードを開けてくれ」
運転中のカウラの指示に従って、ダッシュボードに入っているSIGザウエル226ピストルを取り出す。
「西園寺、どこで仕掛けるつもりだ」
「次のコンビニのある交差点を左だ。ウィンカーは直前で出せよ。捲こうとする振りだけしとけ」
要はそう言いながら、昼間弾を撃ちきった愛銃XD40のマガジンに一発、また一発とS&W40弾を装填している。
カウラは急にウィンカーを出し、すばやくハンドルを切る。後ろのセダンは振り切られまいと、タイヤで悲鳴を上げながらそれに続く。
細い建売住宅の並ぶ小道。カウラはこの道には似合わない速度で車を走らせる。後ろのセダンは振り切られまいと速度を上げるが、カウラはすばやくさらに細い小道に入り込む。
一瞬タイミングをずらされて行き過ぎたセダン。その間にもスポーツカーはくねり始めた時にねぎ畑の見える道を爆走する。
「この道だと行き止まりますよ!」
誠が叫んだ。しかし、三人はそれぞれ手にした銃を眺めながら、まるでこれから起きることがわかっているかのように正面を見つめている。
東都都立豊川商業高校が見える路地でカウラは車を止めた。




