保安隊海へ行く 91
話題の人、島田准尉は当番の整備員達を並ばせて説教をしているところだった。
「おう、島田。サラはどうしたんだ」
要の声に振り向いた島田。
「止めてくださいよ、西園寺さん。俺にも面子ってもんがあるんですから」
そう言って頭を掻く。
「とりあえず報告は常に手短にな!それじゃあ解散!」
整備員達は敬礼しながら、一階奥にある宿直室に走っていく。
「サラ達なら帰りましたよ。もしかするとお姉さん達とあまさき屋で飲んでるかも知れませんが……」
そう言って足元の荷物を取ろうとした島田にアイシャが走り寄って手を握り締めた。
「島田君ね。良いニュースがあるのよ」
アイシャの良いニュースが島田にとって良いニュースであったことは、誠が知る限りほとんど無い。いつものように面倒を押し付けられると思った島田が苦い顔をしながらアイシャを見つめている。
「ああ、アタシ等オメエのところに世話になることになったから」
「よろしく頼む」
島田はまず要の顔を見た。何度と無くだまされたことがあるのだろう。島田は表情を変えない。次に島田はカウラの顔を見た。カウラは必要なことしか言わないことは島田も知っている。そこで表情が変わり、目を輝かせて島田を見ているアイシャを見た。
「それって寮に来るってことですか?」
「そうに決まってるじゃない!」
島田はもう一度要を見る。その視線がきつくなっているのを感じてすぐにカウラに目を移す。
「よろしく……頼む」
照れながら頭を下げるカウラ。
「ちょっと、どういうことですか……神前。説明しろ」
「それは……」
「あのね島田君。私達は今度、誠君と結婚することにしたの!それで……」
アイシャの軽口にぽかんと口を開ける島田。
「ふざけんな!馬鹿!」
要のチョップがアイシャを撃つ。
「冗談に決まってるじゃないの……」
「お前ではだめだ。誠!説明しろ」
そう言うカウラの顔を見てアイシャは仕方なく引き下がる。
「三人は僕の護衛のために寮に引っ越してきてくれるんですよ」
島田は全員の顔を見た。そして首をひねる。もう一度全員の顔を見回した後、ようやく口を開いた。
「隊長の許可は?」
「叔父貴はOKだと」
また島田が全員の顔を眺める。
「まだわからねえのか?」
「つまり、三人が寮に入るってことですよね?」
「さっきからそう言っているだろ!」
さすがに同じことを繰り返している島田にカウラが切れた。そこでようやく島田も状況を理解したようだった。




