保安隊海へ行く 83
目をつぶる誠。彼を囲む要、茜、カウラ、アイシャが小声で話し合っているのが聞こえてくる。要が声を荒げようとするたびに、アイシャがそれを制し、カウラが強い調子で茜を詰問している。振動が適度な子守唄となり、リアナに歌わせないために交代でカラオケを歌い続けているサラとパーラの歌声が次第に誠の意識を奪って言った。
激痛が額に走り、誠は目を覚ました。車外はすでに闇に包まれていた。
「よう、起きたか」
要の顔と握りこぶしが誠の顔の前にあった。
「いきなり殴らないでくださいよ」
額を押さえながら誠は起き上がる。
「起きて大丈夫?」
アイシャはそう言うとポットに入れたコーヒーを紙コップに注ぐと誠に差し出した。
「どうにか……かなり楽になりました」
「一人で歩けるか?」
心配そうなカウラの表情が見える。誠はとりあえず立ち上がってみた。以前のような立ちくらみは無い。
「顔色もよろしいんでなくって?」
そう言って四人を見守っている茜。
「すいません!荷物降ろすんで、降りてくれませんか!」
運転席の脇に立っていたキムが叫ぶ。
「とりあえず行きましょ」
そう言うとアイシャが通路を歩き出す。カウラと要が続き、アイシャはとりあえず誠が普通に歩くことが出来るのを確認すると彼の後に続いた。
「西園寺さん。何が入っているんですか?このバッグ」
重そうに荷物を取り出す島田。
「ああ、それにはちょっと物騒な物が入っているからな」
「止してくださいよ、警察の検問とかがあったら止められて説教されますよ」
島田が苦笑いを浮かべるのを無視して自分のバッグとその後ろの誠のバッグを取り出した。
「そう言えば、おっぱいおばけはどうした?」
荷物を誠に押し付けると要はそう言った。
「その言い方酷いんじゃないですか?レベッカさんなら西の案内でハンガーに向かいましたよ」
その言葉を聴くと要は情けなさそうな顔をして誠を見つめた。
「何か言いたいんですか?」
「別に。それじゃあ叔父貴の面でも拝みに行くか」
そう言うと要は荷物を持たせた誠をつれて歩き始めた。茜、カウラ、アイシャもその後に続いてハンガーを目指す。




